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179話 言い合いなんだが

179話です!

多忙のため次の投稿は8/10です。

 宿に戻り、風呂に入ってから父親と話し合う事になった。内容は罰についてだ。対面に座る父親は何時ものような優しさではなく、むしろ怒っているようであった。


「カイ、何故一人で罰を受けようと思った?」

「短絡的な気持ちで子爵に逆らったからだよ。あの場で大人しく従っていればここまで騒ぎは起こらなかった。決闘する事もなかった。クル子爵からはこれからも何かされたかもしれないけれどそれは我慢すれば良かっただけだよ。むしろ、今回の件で罰を受けないと決闘で勝てば無礼を働いても許されると思われてしまうかもしれない。そういう事からも罰を受けた方が良いんだよ」


 後から思った事であるが、あの場でエファさんを守らず、ただ従っていれば良かっただけの話だ。胸糞悪くなってしまうが、騒ぎを起こさない点で言えばそちらの方が正解だった。そう言っていったら切りがないのだが、あの行動は不味かったと思う。


「それだけか?」

「え?」

「それだけかと聞いている」

「うん、それだけだよ」


 そう答えた瞬間、頬に衝撃が走り、椅子から落ちる。一瞬、目の前がチカチカとし、口の中が切れて血が出てくる。激しく痛む頬を抑えて前を見ると父親が顔を真っ赤にしながら拳を突き出していた。


「カイ! お前は何故自分を大切にしない! 何故そういう時こそ俺に頼らない! そんなに俺は無力に見えるか! 頼りないと思っているのか!」

「ち、違うよ! 父様は頼りにしている。でも、迷惑を掛けたくないだけで―――」

「迷惑なんて上等だ! 迷惑を掛けていけない家族なんて家族ではない! お前は息子だ! まだ子供だ! 何でも一人で抱え込もうとするな! もっと父を頼れ!」


 俺の主張を遮るようにして父親は一気に言葉を立て続ける。


「でも、父様には今まで色々と迷惑を掛けてきたし、頼りにしてきたよ! だからこそ少しでも迷惑を掛けたくないと思う事は間違っているの!?」

「間違っていない! だが、こういう時こそ頼らなければ何の意味もないだろう! カイは何歳だ? 5才だろう! 素直に頼りなさい!」


 確かに父親の言う通りだろう。だけど、一人で罰を受けた事を間違っているとは思えない。家族を巻き込んで罰を受けるより俺が罰を受けた方が被害は少ない。なら、俺が罰を受けた方が良いじゃないか。


 その事を告げると反対の頬を殴られた。痛い。


「被害が少ないからと言って一人で罰を受けるな!」

「だったら家族を巻き込んで罰を受けろとでも!? それは俺が嫌だ!」

「巻き込め! 全て何とかしてやるから巻き込めば良い! 子供の責任は親が取るものだ!」

「何で分かってくれないの!?」

「逆に何故カイは分からないんだ! 自己犠牲に酔い浸っているのか? そんな事をして喜ぶとでも思っているのか!」


 ……喜ばない。喜ぶはずがない。これで喜ぶような親であったらそもそも一人で罰を受けようだなんて思えない。大切な親だからこそ罰を受けて欲しくなかったんだ。


「思ってないよ! でも、それで家族が罰を受けてしまう方が俺にとっては嫌だ!」

「それでカイだけが罰を受ける方が駄目だろう!」

「駄目じゃない!」

「いいや、駄目だ! それにカイは罰の内容を理解しているのか!?」

「していないよ! でも、多分軽いとは言っていたよ」


 きっと階級の高そうな人が出来るだけ何とかしてくれるはずだ。


「軽いはずがないだろう! 何要求してくるか分かったものじゃないぞ!」

「なら余計に―――」

「だからこそ巻き込めと言っているんだ! 下手すると気づいてしまうのかもしれないんだぞ!」


 気づく……? 何を? ……もしかして、転生者である事を? 


 決して有り得なくはない可能性に俺は嫌な想像をしていく。


「家族皆で罰を受ければその心配などないんだ! 被害で言うなら気づかれた方が被害が大きいだろ!」

「た、確かに……」


 もしばれてしまったら本当に不味くなる。何かに利用されてしまうだけの人生を送るか、その場で殺される事だって有り得る。そして、転生者だと言う事を知っている父親にも母親にも迷惑が掛かる。そうなってしまえば本末転倒だ。


「だから駄目なんだ! 分かったか!?」

「……はい」

「はあ……分かったのなら寝室に戻ってもう寝なさい。契約や罰の事はおそらく明日だろう。明日に備えておきなさい」

「……はい」


 父親の言う通りに寝室へと向かう。寝室の中は静かだった。だが、内心では嫌な想像ばかりが膨らんでいく。そんな想像を振り払いながら俺はベッドに横たわり、目を閉じた。

 ※もうばれてます。

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