173話 決闘なんだが1
173話です! TRPGしたいお年頃……。
決闘とは、主に貴族間の揉め事を解決するために行われる方法の一つである。決闘は主に2人で行われ、揉め事が3人以上の場合は代表して決闘を行う事が主流とされている。因みに勝敗を決めるのは主に第三者だ。
この世界における決闘はただ単に両者が武器を手にして戦うただけではなく、学力、運、魔法、力比べ、礼儀作法などなど決闘の内容は多岐に渡って決められる。決闘を行う両者はそれらの内容を選んで2回決闘を行い、勝敗を決める。勿論、それだと一勝一敗の場合があるのだが、その場合は延長戦が行われる。
そして、勝者は敗者に色々な事を求めれるようになる。とはいえ奴隷になれとかそういう事は求めれない。まあ、そもそもそれが出来たら貴族社会が世紀末になりそうだしね。
とまあ決闘について簡単に述べたが、目の前にいる階級の高そうな人はその決闘をしようと言う。俺としてはやりたくない。勝てるかどうかではなく、階級の高そうな人に実力を見せたくないからだ。どれだけ手加減したとしても違和感は出る事になる。かといって本気を出したら確実にさらに不味い展開となりそうだ。
かといって今更決闘を止める事は難しい。何故なら既に決闘が始まっているからだ。というか階級の高そうな人はある程度決闘の準備をしていたみたいで断る前にすぐ始まった。階級の高そうな人は元より決闘を行わせるつもりだったのかもしれない。
「ではまず、両者はこの紙にやりたい内容を記入しなさい」
場所は変わって別の部屋、階級の高そうな人が俺とクル子爵に紙を渡してくる。俺とクル子爵は受け取り各々行いたい決闘内容を選択し、階級の高そうな人に書いた紙を渡す。因みに俺は計算問題だ。これなら誤魔化しが聞くからな。
「では、計算問題と武器を使った戦闘の2つを行う。まずは計算問題からだ。10分程で問題が出来るのでそれまで待ちなさい」
階級の高そうな人はそう言うと部屋から退室した。部屋にはメイドさんが2人、俺、クル子爵となった。かといってクル子爵はこちらに話しかける様子はなく、ただこちらを睨んでいるだけだ。
「アイン男爵様、こちらへ」
その視線をメイドさんは感じ取ったのか。別室に案内された。少し居づらかったから丁度良い。そして、紅茶や軽いお菓子を用意してくれて嗜む事10分。紙を1枚持っているメイドさんが現れた。
「アイン男爵様、こちらが計算問題となります。制限時間は20分となります。では、初めて下さい」
出された紙にはびっしりと計算問題が書かれている。とは言っても20分あれば何とか解けそうな量だ。とはいっても前世込みの計算力でそれなのだから5歳だと確実に全問解けないようにしているのだろう。となれば間違えないように計算していけば良いはずだ。
そう結論付けて計算をしていく。計算は単純な足し算から複雑な四則計算まで様々だ。中には正解させる気がないだろと思わせるような問題まであった。だが、スキルの補正が入っているのか、前世よりも早く計算が出来るようだ。そのおかげか問題を解き終えるだけでなく見直しまでする余裕が出来た。
「そこまでです。では、紙を回収致します。数分の休憩を挟んだ後にまた案内されますのでそれまではお寛ぎ下さいませ」
メイドさんは紙を回収して退出した。数分後に戦闘か……。どの位手加減をすれば良いのか分からないから最初は様子見で動いていこうかな。