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171話 ダンスをするんだが

171話です! 一周年です! 今後ともマイペースで頑張りますので、引き続きお楽しみいただけますと幸いです。

7/18追記 風邪ひきました……暑さにやられました……。7/19追記 風邪が治ってきたので7/21に投稿します。

 パーティ最初のダンスが始まった。しかし、ダンスする人は思っていたよりもあまりおらず、それでいて階級の高い子供たちばかりがダンスをしていた。というか男爵が誰もいないのではないか?


 そんなダンスを見ながらエファさんと談笑していく。階級の高い子供のダンスは優雅に行われており、見た限りではミスなどなかった。常日頃から厳しい教育をされてきたからだろうな。でないとあんなミスのないダンスなんて出来ないだろうからな。……俺もミスがないように気を付けなければいけないな。 


 最初のダンスが終了し、俺とエファさんは身だしなみの確認などのダンスの準備を行ってからエファさんをエスコートしつつ、会場の中央へと向かう。


 会場の中央では続けてダンスをしようと体聞いている階級の高い子供たちや俺と同じ階級である男爵の子供たちが半々にいた。さらに中には男同士や女同士でダンスしようとしている子供もいるみたいだ。まあ、同性とは踊っていけないという事はないので問題ないだろう。


「エファさん、そろそろ始まりますが準備は良いですか?」

「はい、良いですよ」


エファさんが緊張しているのではないかと少し心配したが、大丈夫みたいだ。そう思ったのもつかの間、階級の高そうな人が一言述べて、その後に音楽が流れ始めた。


 俺とエファさんは対面に向い合い、俺は左手をエファさんの右手を持って右手はエファさんの背中に回し、エファさんは左手を俺の肩に乗せて、音楽に合わせながらダンスを踊り始める。しかし、ある程度練習したとはいえリード出来る程上手くは出来ず、時折ミスをしてしまう。だが、ミスしても顔を歪めたり、ミスをしてしまったと態度を出さずにダンスを続けていく。


 エファさんもミスがあっても動じずにダンスを続けていく……というよりもダンスを楽しんでいるな。そんな様子を見て、俺はただダンスをミスしない事だけに集中していたから楽しめていない事に気づいた。ミスしない事も大切だが、折角のダンスなのだから楽しまなければな。


 楽しむ事を第一にダンスを踊っていき、終盤に差し掛かった時、エファさんが話し始めた。


「カイさん、ダンスって楽しいですね」

「ええ、そうですね。でも、エファさんと踊っているからさらに楽しいですよ」

「そ、そ、そんな事……私と踊っているから……」


 ギザな事を言ってしまったと思い、後から少し恥ずかしくなってしまったがエファさんにとっては衝撃だったようで動揺していた。目を合わせながらも頬を少し赤らめている様子はかなり可愛らしかった。


「わ、私もカイさんと踊っていて……楽しいですよ?」

「っ!」


 顔を赤らめながらのその返事はコミュ障な俺に対しての効果は抜群であり、顔が熱くなっていくのを感じる。そんな様子を見たエファさんは赤らめた顔から一変して、少し驚いた顔をしていた。


「か、カイさんもそんな顔をなさるのですね」

「……嬉しいのですよ。楽しいと仰ってくれました事が」


 俺と何かをする事が楽しい。それは前世では言われたことがない言葉だ。例えその言葉がお世辞だとしても嬉しく感じるのだからしょうがない。


「カイさんも……嬉しいのですか。そうですか」


 エファさんは笑顔になって俺を見つめる。ダンスで至近距離であるのにその笑顔は、反則であった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 ダンスが終わり、先程座っていた席へと戻る。まだ俺の顔は少し熱く感じ、心拍数が少し早くなっているように感じる。隣を見るとエファさんはにっこりと笑っていた。いつもの優し気な笑みでなく、年相応の笑顔だ。その笑顔はここ数日間で初めて見たので余程ダンスを楽しんでくれたようだ。


 席に着くとメイドさんが飲み物を持って来てくれた。ありがたく頂き、再びエファさんと話し始める。主に先程のダンスについてだ。


「エファさん凄く踊りが上手でしたね。何時頃から踊っていたのですか?」

「私は3歳の頃からです。カイさんは何時頃から踊っていましたか?」

「私も3歳の頃からですね。今まで貴族の義務としてダンスの練習をしていましたが、こうして踊るとこうも楽しいとは思いませんでした」


 最初にミスをしないように気を付けていたが、エファさんが楽しむ事を教えてくれたから俺もダンスを楽しむ事が出来た。それにエファさんの新しい一面も見れて凄く良かったと思う。


「それは私も―――」

「おい」


 エファさんが返答しようとした所で突如横から誰かが話しかけてきた。反射的に声の主を見ると、その人物はクル子爵であった。

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