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167話 宿に戻るんだが

167話です! 拙いですが短編を書いたので余裕があれば見て頂けたら幸いです。

 メイドさんの後を歩いていくととある扉の前で止まり、ノックをせずにそのまま扉を開けて入っていった。


 メイドさんの後を追いながら部屋の中に入ると、そこはテーブルにベッド、本棚といった寝室にもなりそうな所だった。


「では、アイン男爵様は子供会が終了なさるか、アイン男爵当主が来るまでお待ちください。何かご要望があるならばこちらの鈴を鳴らしてください。それではごゆっくり」


 メイドさんが軽くお辞儀をすると部屋を出ていった。さて、こうなる事は想定外であったが今から何しようか。適当に本棚でも覗いてみるかな。


 本棚を覗いてみるとほとんどが絵本、図鑑、学業の専門書などであった。稀に良く読めない文字のもあるが、気にしないでおこう。


 ひとまず図鑑から見ていこうかなと思い、数冊の図鑑を取り出して、椅子に座って読み始める事にする。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 そうして時間を潰しているとノックが聞こえた。慌てて本を片付けて返事をする。


「失礼します。アイン男爵様、子供会が終了致しました事を伝えに参りました。入り口でアイン男爵当主様がお待ちしておりますのでこちらへ」

「分かりました」


 もうそんな時間になってしまったのか。本に夢中になっていたからか思ったよりも早かったな。


 メイドさんの後をついていくと父親が見えてきた。


「案内ご苦労。では、帰ろうか」

「はい!」


 父親の隣を歩きながら建物から出て、宿の部屋へと歩を進める。


「……カイ、ある程度の事は聞いているが、何ともなかったか?」

「身体的には問題ないです。ただ、クル子爵が暴れたので止めようと腕を掴んでしまいました。そのおかげで別室ではずっと読書をしていました」

「クル子爵はあそこは元から良い噂を聞かないからな。宿では何もして来ないとは思うが、残り2日出来るだけクル子爵の近くには行かないように気を付けた方が良いだろうな」

「私もそう思います。再開したら絡まれそうですからね」


 いくら守るためであっても自分よりも階級が上の人の腕を掴んだんだ。反撃が来てもおかしくない。今回の事ではクル子爵のご乱心という事になったと帰る時にメイドさんから教えてもらったが、そのご乱心が続いているだろうな。クル子爵には出来ればこれ以上子供会に来て欲しくない所だが、無理だろうな。


 そういえばクィク子爵はあの後どうなったのだろうか。


「父様、クィク子爵様の事ですが」

「クィク令嬢については問題ない。ただ、大分ご立腹のようだがな」

「それはしょうがないですよ。喧嘩途中に入れたての紅茶を掛けられたのですから」


 魔法などの治療が無ければ笑い事では済まないだろうけどね。だが、ここは魔法のエキスパートが使える。酷い火傷でも一瞬で治してしまうだろう。……その様子を見てみたい、というのはあるけどね。不謹慎だけど。


「ああ、ただの口喧嘩ならまだしも手を出してしまったからな。クィク子爵がその事に激怒して危なかったぞ」

「その後はどうなったのですか?」

「流石に騎士たちによって止められたぞ。まあ、その代わりクル子爵には多額の慰謝料が請求されたようだがな」


 まあ、幾ら子供がした事とはいえ当然だろう。体は無事でも心は無事じゃないんだ。幼い頃に入れたての紅茶を掛けられてしまい、トラウマになってしまう可能性は十分にある。魔法で心を落ち着かせることは出来るが、治す事は出来ない。なら、何で解決するかと言えばお金だろう。


 それにこの場にいる人たちは全員貴族だ。子供だから、という理由で許される事など精々礼儀作法くらいだ。


「まあ、クル子爵もその請求に激怒していたがな。だが、どの道無理矢理払う事になるだろうな」

「激怒したんですか……」


 まさかの逆切れか? 流石にないな……。


「結果的に言えば丸く収まっている訳だ。表上はな」

「……父様。明日と明後日休んで良いですか?」

「駄目だ」


 ……厄介事に巻き込まれる予感がするから行きたくない。切実に。


そう思いながら部屋へと戻った。


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