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閑話 マリンの思い(下)

閑話(下)です!

1つお詫びがあります。長男のマイルズですが都合によりマインズに変えます。すみません。


15話は明日投稿予定です。ストックが少ないですが頑張ります。

 私はカイのステータスを見て、思わず思考停止してしまった。まさかカイが転生者だなんて思ってもいなかった。転生者という存在は稀にいるらしく、転生者が出現する法則などは不明である。そして、自国では転生者は特に関係なく扱われるが、他国では転生者を積極的に殺したり、拘束したりする国があるらしい。

 もし、カイが転生者だということがばれてしまったら他国から追われる身となってしまう。

 そうさせないためにも彼に相談しないと……。


 私は急いで執務室に戻った。


「フェンド! 大変よ!」

「マリン? どうしたんだ? ノックなしにドアをおまえらしくもない。」

「ノックのことなんて今は関係ないわ! ちょっと人が来ない場所まで来て!」

 

 ここでは誰かに聞かれてもおかしくないため、森の中で話そうと思う。周りの人達は信用しているけれど万が一ということもあるからできるだけ知られないようにしたい。


「マリン? 分かったから少し落ち着いてくれ。せめて準備をさせておくれ。」

「落ち着いていられますか! 早くしてください!」


 そして、私たちは急いで森に入り、20分くらいのところまできた。


「マリン、このくらいでいいだろう? 一体どうしたんだ?」

「……ええ、そうね。じゃあ話すわね。」


 私はカイのステータスに転生者があることを伝えた。


「ふむ……、まさかカイが転生者とは。」

「フェンドはカイをどうしたらいいと思う?」

「そうだな……。まずは他の人にできるだけばらさないことが大切だろう。そのために、若いうちからステータス変更を覚えさせないとな。マリンのように鑑定できる人が居たらカイが転生者だって分かってしまうからな。」

「ステータス変更を覚えさせるのは分かったけれど、それまでは極力家にいるように言う?」

「いや、そこまではしなくていいと思うぞ。5歳までに何としてでも覚えてもらわないといけないがな。」

「5歳……。そうね、王都でお披露目パーティでしたか? あれは強制参加でしたからね。」

「ああ、そうだ。ステータス変更なしで行くと確実にばれてしまうだろう。」


 貴族の子供が5歳になると王都でお披露目パーティを受けなければならない。パーティは3日くらい続き、貴族たちが子供に無遠慮にそしてばれないように鑑定などをしてくることは珍しいことではない。有能なスキルや称号があれば縁談を決めたりする貴族も少なくないためだ。


「そうしないためにも早いうちに魔法も覚えてもらわないといけないわね。」

「そうだな。幸い属性はトリプルだから才能はあるだろう。」

「そうね。トリプルは本当に羨ましいわ……。」

「そうだな。ダブルだけでも十分勝ち組だがトリプルではどうしても違ってくるからな。」


 属性はゼロ、シングル、ダブル、トリプルと段々増えていき、一般的にはゼロは約50%、シングルは約40%、ダブルは約9%、トリプルは約0.7%と言われている。カイはトリプルなので十分に凄い確率を引いていることになる。

 私はダブルで確率からすると十分に珍しいがどうしても多い属性の人をみると羨ましくなってしまう。

 これはもう魔法使いの宿命かしらね。1つの属性のみを極めるならまだしも、ダブル以上だと合成魔法なども視野に入ってくるため、属性が多いほうがいいのだ。


「そういえばフェンドは転生者についてはどう思っているの?」

「転生者については前世の記憶を持ったまま産まれてくるものという認識だな。」

「前世のこととか気にならない?」

「前世は前世だ。今世とは関係ないさ。逆に前世のことをあーだこーだ言われたら困るな。」

「それは……そうね。前世のことは気になるけど、言いにくいことかもしれないしね。」


 前世でつらい経験などがあるかもしれないわね。相談しなかったら聞いていたわ。


「問題は次期領主はマインズの予定がカイになってしまう可能性だな。身内騒動など起こしたくないからな。」

「それは、カイにあらかじめ伝えておけばいいんじゃないかな?」

「そうだな。そうしよう。」


 流石に他人の人生を捻じ曲げたりはしない人だといいのだけど……。


「後は、転生者ということを家族でどこまで広めるかだな。」

「イリスにだけ教えればいいんじゃないかしら?」

「イリスか。たしかカイの専属を任せたんだったか? イリスは信用できるか?」

「ええ、そうよ。イリスは信用できるわ。だから転生者のことを教えても広めるような真似はしないでしょう。」

「マリンがそういうなら大丈夫だろうな?」

「イリスはそんなミスは犯さないから大丈夫よ。」


 イリスは冒険者時代によく一緒に話しをした仲だ。彼女はある程度力があり信頼できる人であったため、私が結婚する際にメイドを誘ったのだ。

 イリスはここ数年で仕事も完璧にこなすようになり、フェンドからもある程度の信頼はあると思う。


「他に決めないといけないことはあるか?」

「私は……ないわね。」

「なら他のことは気づいたときにまた話し合おう。」

「そうしましょう。」

「カイのことは全力で守っていこうじゃないか。」

「ふふっ、そうね。」


 カイは私たちが守らないといけないわ。カイが自分を守る力を持つまで頑張らないとね。

 そうと決まればまずはイリスに伝えないとね。


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