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157話 美味しそうなんだが

157話です! 選択肢は②にしました。

6/8追記、体調不良のため投稿が2日遅れそうです。

6/10追記、何故か上書き保存が出来ません、質問版を覗いたら他の方々も同じようになっているようなので運営が修正次第、投稿します。

 誰に話しかけようかと子供たちを眺めていると一人だけ他の子供たちと話さずにぽつんと立ちながら黙々と食事をしている男の子がいた。遠くから見た限りでは黒髪の緑目の男の子で、服装はしっかりとしているが、緊張しているのか表情が物凄く硬い事から、明らかに場慣れしていないように感じた。


 ……この子に話しかけてみようか。


「初めまして、私はカイ・アイン男爵と言います。あなたのお名前を教えていただけませんか?」

「わあ!」


 話しかけた瞬間、体をビクゥとして、こちらを向いてきた。予想以上の反応があって逆にこっちが驚いた。そこまで驚かなくて良いと思うんだけどなあ。


「すみません。驚かせてしまいましたか?」

「い、い、い、いやいやいやいや! そんな事はないぞ! ただ、話しかけられるとは思わなかっただけだ!」

「反応からして驚いているのですが」

「き、気にするでない!」


 顔を真っ赤にしながら早口で言ってくる。先程とは打って変わって表情豊かになったなあ。


「ははは、分かりました。ところでお名前は何と言うのですか?」

「な、名前か? 僕はアポト・ネクロ男爵だ! 宜しく頼む!」

「はい、私もよろしくお願いします。アポトさん……で良かったですか?」

「う、うむ! 僕はカイ殿と呼べばよいか?」


 殿か。普段ではまず呼ばれなさそうだな。まあ、いいか。


「ええ、良いですよ」


 ……何話せば良いのだろうか。普段から相手から喋ってもらっているからどんな事話せば良いのか分からない。何か、話題になりそうなものはないのか? 


 目線だけ動かすとアポトさんとテーブル、他の子供たち、料理……料理の話題にしよう!


「ここの料理は美味しいですね。ついつい沢山食べてしまいます。アポトさんはどうですか?」

「僕も好きだぞ! 家ではこんな美味しい物は食べれないからな!」

「そうですね。家の料理も美味しいですが、ここのは格別ですね」

「うむ! 特にこのお肉が良いぞ!」


 突然の話題に少し驚いたようだけどすぐに笑顔になってアポトさんの皿に載っているあらかじめカットされたステーキを見せてくれた。


 何の肉か分からないが、肉とスパイスの香りが良く、食べてみたくなってきた。


「わあ、美味しそうですね。ですが、何の肉なのでしょうか」

「僕にも分からん! だが、美味しいから良いのだ!」

「その通りですね! あ、メイドさん、こちらと同じお肉を持って来て下さい!」

「かしこまりました」


 近くを通りかかったメイドさんに持ってくるよう頼んでおく。それにしても話題が上手くいって良かった。アポトさんも最初の緊張している様子はなく、饒舌に話してくれるから話も盛り上がってきている。


「他に美味しい料理はなかったですか?」

「この飲み物も美味しいぞ! シュワシュワってなって凄いのだ!」


 飲み物を見ると赤い液体から幾つもの気泡が出来ては浮かんで、空気へと流れていた。炭酸だこれ! 何気にこの世界で初めて見た!


「ああ、それは美味しいですね。好き嫌いがいるようですが私は好きですよ。口の中がシュワシュワとなる感じが好きです」

「そうであろう、そうであろう! これに肉と一緒に食べると凄く美味しいのだ!」


 そう言って、ステーキを食べた後すぐに赤い液体の炭酸を飲む。ああ、顔が凄くにやけてる。それだけ美味しいのか。


「そうなのですか? これは試してみる必要がありますね」

「ラクスゲーザーのステーキでございます」


 お、丁度良い所にメイドさんが持って来てくれた。ラクスゲーザー……確か、ワニと牛が合体したような魔物だったような気がする。それもランクBの。そうだとしたらかなり貴重な食材だ。


「ありがとう。ついでにあの飲み物と同じものも持って来てくれないか?」

「かしこまりました」


 何度もすまないと思いながら頼んでおく。美味しそうに食べる所を見せられるとやりたくなるからしょうがないのだ。

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