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155話 料理が美味しいんだが

155話です! 昨日は投稿出来なくてすみませんでした!

 ステータスの測定も全員終わり、いよいよパーティが始まろうとしている。周りには緊張している子もいれば友達が出来たのか少し大きな声で会話を弾ましている子や、余裕がある事を見せつけているのかドヤ顔でメイドさんに出されたジュースを飲んでいる子などなど、子供によって動きが大分違っている。


 しかし、階級が高い子供たちはそのような行動はあまり取らず、自分の椅子に座って近くにいる子供たちと楽しそうに、それでいて品のある行動を取っていた。その姿は5歳とは見えない程であり、この場でなければ逆に浮くのではないか? と思う程だ。


 そうして、辺りを見ていると檀上に先程の階級の高そうな人が立ち、声を発した。


「皆さん、静かにしてください。はい、ありがとうございます。では、全員の測定が完了しましたのでこれより、食事会を開催します。今回は皆さんが多くの人と交流出来るように立食となります。勿論、座って食べてもらっても構いません」


 開催します。と言ったところで扉から様々な種類の料理が運ばれてきた。肉だったり、サラダだったり、パンだったり、デザートだったり……どれも美味しそうだ。扉からは少し距離があるというのに料理の匂いがここまで来ており、その匂いに涎が口の中に出てきた。早く食べてみたいなあ。


 出来れば座ってゆっくり味わっていたいが、この場合、座って食べていたら駄目そうだな。コールディのパーティーの時みたいに変な子供に絡まれそうだ。まして今回は立食だ。座って構わないというのは罠だろう。


「では、これより食事が会場に並びますまでしばらくお待ちください。それまでは、これから流れる音楽をお楽しみ下さい」


 最後に階級の高そうな人がそう言ってから壇上から降りて、会場から出ていった瞬間、音楽が流れ始めた。音源を探すと、壇上の床から徐々に楽器を持った人たちが現れた。いや、その人たちの床が上昇しているのか。


 そして、床の上昇が終わると同時に音楽が盛り上がり始めた。その盛り上がり方は前世に聞いた新世界よりの盛り上げ方に似ていた気がした。こちらの世界の音楽はまだあまり知らないが、前世の音楽と似ている所がありそうだ。


 そう考えている間にも料理がどんどん並んでいき、遂に全ての料理が並んだようだ。それを見ていた他の子供たちは一斉に立って料理が置いてあるテーブルに群がり始めた。少しでも早く料理を食べたいのか、列を作る事もなく他の子供とぶつかり合いながらも料理を皿に取っている。


 勿論、礼儀作法の観点で言えば失格だ。本当ならば近くにいるメイドさんなどに頼むのだが、階級の高い子供以外のほとんどの子供が料理に群がってしまっている。メイドさんや執事さんなどは特に驚いている様子もない様だから毎年そうなのかもしれない。


 まあ、ここにいる子供たち全員が5歳なのだからしょうがないか。ただ、あんなにぶつかり合って皿から料理がこぼれないのだろうか……。


 そう思いつつも、隣で俺と同じように見ているエファさんに話しかけてみる。


「エファさん、皆が料理に群がってしまっていますね」

「そうですね。確かに美味しそうなお料理ですけども、あ、あんなに群がって危ないですよね……。それに、怒られないでしょうか……?」

「確かに危ないですね。皆、礼儀作法を忘れてしまっているかもしれないですね。でも、怒らないと思いますよ。あ、ねえ、美味しい料理を2人分持ってきてくれない? 最初はサラダを食べたいな。エファさんは何を食べたい?」

「私もサラダが良いです。お願いしますね」

「かしこまりました」


 エファさんと話していると丁度近くにメイドさんがいたので、料理を頼んでおく。お城のメイドさんは色々とハイスペックだからすぐに持ってきてくれるだろう。


「本当に怒られないでしょうか?」

「ええ、怒るのならばもうすでに怒っていると思いますよ。それにメイドさんや執事さんの対応を見る限りおそらく毎年このような状況になっているのだと思います」

「そ、そうなのですか? なら大丈夫なのですね」


 でも、こうなると分かっていて毎年こうやっているんだよな。群がらないように他の形式に変えたりしないのだろうか? 考え過ぎなのかもしれないけど、わざとこうやって状況を利用しているのかもしれないな。


 そう思っていると先程頼んだメイドさんがサラダを持ってきてくれた。お礼を言ってから受け取る。流石王城と言えばいいのか見栄えが綺麗だ。サラダには見ただけでも新鮮だと分かる野菜を使っており、ドレッシングらしき液体が掛けてある。


 早速食べてみると、新鮮な野菜の旨味と少し酸味のあるドレッシングが口の中に広がった。また、野菜を噛むたびにシャキシャキという音が鳴り響いており、音からでもサラダを楽しませてくれる。


「うん、美味しいですね。ドレッシングの量も丁度良いです」

「そうですね。新鮮で食感も良いです」

「サラダでこの美味しさなら他の料理も期待できそうですね」

「楽しみですね」


 そう会話をしつつ食べ続けていると、遠くから怒鳴り声が聞こえ、その後すぐに軽い悲鳴と泣き声が聞こえた。

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