閑話 違和感
閑話です! 短いです。
6/1追記 帰宅時間の関係上次の投稿は明日の夜辺りに行います。
全ての子供が測定を終えて、ステータス測定装置改二だけが置かれている部屋の中、ステータスの測定をノートに写した男……ローヴァ・ウェル侯爵は、子供たちを案内していたメイド……クレア・ドニアス公爵と会話をしていた。子供たちに見せていた態度や言葉使いはどこに行ったのやら、どちらもかなり崩して会話をしていた。
「いやあ、今年の子供たちは凄いですね」
「だねえ、公爵家の2人は英才教育が行われているから当たり前だけど、伯爵家や、子爵家、男爵家にも良いステータスをしている子がいるよ」
「伯爵家は、魔法馬鹿の一家だよね? 子爵家は槍の才を持っている子と盾の才を持っている子で、男爵家は……5歳では有り得ない程魔素を保有していた子だね? 男爵家に関してはステータスに表示されていないみたいだけど。新しい魔道具だったはずなのにおかしいなあ」
魔道具をさすりながらローヴァは呟く。
実際、あの少年は色々な所に違和感があった。城に入った時に目線が魔道具のある所ばかり見ており、ここに来た時にもステータスを見たいとはあまり思っていないような顔であった。ステータスを測定する時にも、他の子供とは違い、すぐに手を触れずにまるで魔道具を観察しているようだった。他の子供は手を触れてから魔道具を観察していたのにもかかわらずだ。
「あの魔素量でこのステータスなんて絶対におかしいよね? 歩き方からしてもこの数値はおかしいし、誤魔化しているようにしか思えないよ。でも、この魔道具は性能良いはずなんだけどなあ」
「誤魔化すスキルと言えばステータス変更だけどこの魔道具は5レベル以下は問題ないはずなんだけどなあ。あの年齢で6レベル以上かあ」
さぞかし良い称号を持っているんだろうねえ。そして、それを隠そうとするなんて凄くもったいないよ。
「だとしたら後々不味い事になるかもしれないから宮廷魔導士に頼んでステータス確認してもらう? あの人たちなら分かるでしょ?」
「そうだね。そうしようか。でも、まずは陛下にこのノートをお届けしよう。そして、陛下に提案してから動こう。下手に動いて罰を受けたくないしね」
「それもそうだねえ。なら、早速向かおうよ」
「その前に……よし、陛下の下へ向かおう」
情報漏洩防止のため、ステータス測定装置改二の履歴を完全に削除しておく。そして、他の案も考えつつクレアと共に陛下がいる所へと歩みを進めていく。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「……以上が今年の結果です」
「ご苦労。このカイ・アイン男爵は確かに調べる必要がありそうだな? よろしい、調べてみなさい。ただし、ステータスがどの結果であれ、カイ・アイン男爵に危害を加える事は許さん。それと、分かっているとは思っているが、この件は極秘で調べるのだ。良いな?」
「「はい!」」
陛下に提案した所、概ね賛成してくれたので早速宮廷魔導士に頼んでみようか。あの人なら、口も堅いし、冷静だから穏便にやってくれるだろうね。
魔素を隠さないとばれない訳がないですという話。