154話 測定するんだが
154話です! ストーリー上では明記していませんでしたが(もし明記していたら修正しますので教えて下さい)、スキルのレベルマックスを変更しました。そのため、スキルレベルの上昇率も少し変わってくるので一応ご報告を。
階級が高そうな人の長い話が終わると再び子供たちの話し声が聞こえ始めた。立つ子供は流石にいないが、そわそわしている子供はいるようだな。
「これから、ステータスを測定しますので、私に呼ばれた時以外は部屋から出ないよう、お願い致します」
ここに案内していたメイドさんの声が聞こえてくる。子供たちの声が聞こえてくる中、その声だけが妙に鮮明に聞こえた。メイドさんが話し終えると子供たちも同じように聞こえていたのか、一瞬だけ話す事を止めて、再度話し始めた。あのメイドさん……凄いな。
メイドさんの事が少し気になり、目で追っていると無駄のない動きで公爵家辺りの席にいる子供2人―――やたら豪華な服を着こなしており、とても似合っている男の子と女の子―――を連れてこの部屋から出ていった。
「カイさんは既にステータスをご覧になりましたか?」
メイドさんを目で追っていたら、隣からエファさんが聞いてきた。
「ええ、とは言っても良いスキルや称号などはありませんでしたが」
ばれても良いスキルや称号があまりないだけだけどね。まあ、魔法系のスキルはレベルだけばれたら不味いけれど……無詠唱以外は。
「そ、そうなのですか? てっきり持っているとばかり……」
「いえいえ、気にしないで下さい。もしかすると新しいスキルや称号を得ているかもしれませんし」
「そうですね。私も楽しみです」
そうして、暫く会話を続けていると遂に俺を含めて、机にいる子供たち全員が呼ばれた。
メイドさんの先導の下、この部屋から出て、左に曲がり、少し歩いた所にある部屋に入った。部屋の中は全てが白で統一させられており、部屋の中央にある机と、その上に置かれている板以外には何も置かれていなかった。いや、板から魔素を感じるので、魔道具か。
机の隣には男がいて、手にはノートを持っていた。恐らく、あそこに他の子供のステータスが書かれているのだろうな。
「あなた方は……男爵家の皆様ですね。皆さんも既に分かっているかと思いますが、こちらがステータスを測定する魔道具になります。この板のこの部分ですね、ここに触れて頂ければステータスが分かります。他の人にあまり見られたくないと思いますので、測定しない方は一度、部屋から出て頂きます。では、何かご質問などはありますか?」
俺含めて誰も特に聞きたい事はない様だ。ステータスの項目などは、他の子供も流石に分かっているか。
「……ないようですね。では、最初に測定する人以外は部屋から出る事になります。最初に測定したい方はいらっしゃいますか?」
「「「したいです!」」」
俺以外の全員が我先にと声を出した。皆それ程見たいのか、見たいよな。俺は最初から何故かステータスが見えるだけで、他の人には見えないらしいからな。……本当に何で見えるのだろうか。魔素を使う訳ではないのだから魔法ではないと分かっているのだが、それだと何故ステータスが見えるのだろうか。
そう考えながら他の人を見ているとどうやら元気そうな少年が先に測定してもらうそうだ。その少年はやったっ! と小さな声で呟きながら喜び、他の子供は少し残念そうにしている。
そんな子供たちをメイドさんは部屋に出るように誘導する。……やはり動きに無駄がないし、凄く効率よく誘導している。凄いなあ、と思いつつ俺も部屋を出る。
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1人当たり大体3、4分程で部屋を出て、中には喜んでいる子供がいた。何か良いスキルか称号を得る事が出来たのだろうか? そう思いながら見ていると俺の番が来たので部屋の中に入った。
「では、ここに手を置いて下さい」
板に手を置く前に軽く板を見てみる。黒色の板で、大きさは50cm程。板の下の方には手のマークがあるのでここに手を置けということなのだろう。板の上の方にはステータスの項目が書いてあり、何も置いていない現在では全て0と書かれている。
体重計みたいな感じに出るのかなと思い、手のマークに合わせて手を置きながら、ステータス変更で一般の子供の数値とスキル、称号を思い浮かべる。
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名前 カイ・アイン
種族 人間
性別 男
年齢 5歳
属性 水、風、無
レベル 8
HP 10/10
MP 200/200
物攻 7
物防 6
魔攻 10
魔防 8
速さ 9
体力 10
魔素 20
運 150
ースキルー
<魔素操作lv3><風魔法lv2><水魔法lv2><無魔法lv2><剣技lv1>
ー称号ー
<幸運者><魔法使い初心者><見習い剣士><守護者>
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どうやら変更は上手くいったようだ。心の中で一息つきつつも、これが私のステータス……と、呟く。その方が、気づかれにくいだろう。
ステータスに関しては、もう少し弱くした方が良いかも知れないけどもあまり弱くし過ぎるとそれはそれで違和感があると思うため、この程度にしておいた。おかしい所はおそらくないはずだ。
「……中々頑張っていらっしゃるようですね。では、そのまま暫く手を置いて下さい」
男の人はそう言うと、ノートに俺のステータスを書き始めた。プライバシーの侵害と言いたい所ではあるが、ここは異世界。そんなものはないので諦めるしかない。
「……はい、手を離して下さい。では、案内宜しくお願いしますね」
「はい。では、こちらに」
メイドさんが部屋から出るように指示するので部屋から出る。通路には他のメイドさんと3人の子供がいた。3人の子供は全員そわそわしているので、待ち遠しいのだろう。
他のメイドさんに最初にいた部屋まで案内してくれる。部屋に戻って、先程座っていた席に向かうと、エファさんがいた。
「カイさん! ステータスはどうでした?」
「少し良い称号が合った位ですよ。エファさんはどうでしたか?」
「そ、そうなのですか? それはおめでとうございます! 私は残念ながらそれ程良いスキルも称号はありませんでした。カイさんが少し羨ましいです」
少し苦笑いしながら答えてくれる。そうか、エファさんは何かしら持っていそうだから驚いたな。だけど。
「そこまで気にしなくて良いかと思いますよ。これから頑張ってスキルを獲得していけば良いのですから」
「そうですね。頑張っていきましょう!」
先程の苦笑いとは大きく異なり、満面の笑みで答えてくれる。納得してくれたようで良かった。