146話 宿が凄いんだが
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入り口の門を抜けると大勢の人が道の端を歩いていた。道の中央には車が通るように多くの馬車が通っている。前世のような歩道と車道に分けられているみたいだ。
建物に視点を変えると、ドナンドやコールディよりも何だか外見が良い。違和感を感じさせるような色をした建物がなく、高さもある程度統一させられているようだ。
見ている間にも馬車が進んでいく。進むにつれ景色が変わっていき、噴水や公園のような所といった観光スポットなども見受けられた。時間があれば言って見たいな。そういう所は人の密度が凄い事になっているけどね。
「カイ、最初は宿に着くことになっている。とは言っても今まで泊まったような宿とは訳が違うから目に見えて驚くなよ?」
「そんなに凄いのですか?」
「ああ、何しろ今回出席する貴族全員が泊まる事になる宿で、国自らが主催しているのだからな」
出席する貴族全員が集まるのか。なら宿はかなり大きいのだろうな。それに国自らだと確かに凄い宿になりそうだ。金もかなり掛けているだろうから魔道具などを惜しみなく使っているのかもしれないな。料理もかなり良い物を食べれそうだ。王都を過ぎた所に海があり、港町もあるらしいからもしかしたら魚なども食べれるかもしれない。村では中々食べる事が出来ないから是非食べたいなあ。
宿について想像を膨らませながら王都の光景を見ていると馬車が止まり、メイドさんが馬車のドアを開けてくれる。目的地に着いたようだ。窓から見ると前世のホテルなどと比べてもかなり大きく、豪華な建物で一般人では入る事も出来なさそうだ。
「さて、行こうか」
「はい」
父親と俺は馬車から降りてメイドさんの先導の下、進んでいく。そして、馬車の扉をイネアが閉めて、俺たちの後ろから付いてくる。周りを軽く見ると数人程が門番のように立っている。何かテレビなどでよく見た大統領を守るSPみたいだな。まあ、今のご時世このくらい警戒しないと駄目か。
メイドさんが門番のような人と何やら話した後、門番のような人がやたら豪華そうな建物の扉を開けてくれる。扉の前から見える光景は、細長い通路に赤いカーペットが敷かれており、その左右に風景画を何枚も飾ってある。奥の方には開けた空間がありそうなのでここは玄関扱いなのだろう。
それにしてもここだけでもかなり見栄えの良いように作られているみたいだ。魔素感知に反応するだけでも玄関だけで10個以上魔道具がある。ほとんどは照明器具などのようだが、流石だな。
そう思いながら付いていく。奥の開けた空間に入ると、思わず言葉に出ない程、豪華でいて上品な作りをした内装であった。
前世では大して豪華な所など行っていなかったから余計にそう感じてしまうのかもしれない。
「カイ、凄いだろう」
「はい、これは、凄いですね」
見た目だけでも凄いのに魔素感知の方も凄い、玄関とは使われている数が違う。一体幾つあるのだろうか。数え切れない程魔法具が使われている。
中でも目の前の石像が一番魔素感知に反応している。少なくとも俺よりも魔素量が多い。それ程凄い魔素が込められている魔法具なのだろうけど、どんな仕掛けなのだろうか? ゴーレムやガーゴイルみたいに動くのだろうか?
「カイ、あまりそっちは見ない方が良いぞ」
「そうなのですか?」
「ああ、あの石像は貴族の中では良く知られている事なのだが、兵器なんだ。主に侵入者への対処にあたる兵器なのだが、かなり強いらしいぞ」
護衛の役割をしているのだろうか? だとしたら、俺なんて瞬殺されるくらいには強いのだろうな。そんな兵器が護衛をしてくれるのだから心強いものだ。だが、
「故障などで暴れる可能性などないのですか?」
「ない、とは言えないな。だが、万が一故障などで暴れても宮廷魔導士が何とかしてくれるはずだ。この時期は護衛の役割としてもこの宿にいるはずだ。さらに、今のご時世だから例年よりも多いだろう」
「そうなのですか」
それって、不味くないか? 宮廷魔導士は出来ればあまり会いたくない相手だ。貴族相手に不用意に鑑定をしてくることはないだろうから、大丈夫だと信じたいが、ステータス変更を上回る鑑定をやられてたら不味いぞ。
宿でも気を引き締めないと不味いなと思っていると、これから進むだろう通路に40歳程の男性がこちらに歩いてきた。そして、ある程度近づいた所でその男は優雅にお辞儀をして声を掛けてきた。
「アイン男爵家ですね。ようこそいらっしゃいました。部屋に案内するように言われておりますので付いて来てくださいね」
開けた空間の詳しい内装は想像にお任せします。おそらく読者が思い浮かべる豪華な内装になると思います。(良い内装が思いつかなかったとは言えない……)