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144話 出発するんだが

144話です! 王都編が始まります。

 遂に王都へと出発する日が来た。薄ら寒い早朝から屋敷は出発の最終確認で騒がしい。そして、俺もまた自身の荷物の最終確認をしていた。


 最近は常に持っている棒、この日のために作っておいたポーション類と作るために必要な器具、馬車での暇潰しに本10冊、涼風の餌となる魔石などなど日用品を除いても大した量だ。だが、これだけでもまだ足りない程だ。何しろ王都までの道のりは長い。50日程掛かるのだ。これだけの荷物では絶対暇になってしまう。


 そこで、俺は暇にならない方法を1つだけ考えてみた。馬車の中は護衛も雇い、父親が側にいるため、凄く安全だ。ならば、馬車の中で魔素を切らし続けて気絶していれば暇な時間は無くなるのではないかと。傍から見れば狂人的な考えなのかもしれない。だが、それで暇な時間を潰せて、自身の魔素量が増えるため、俺は一石二鳥だと思っている。


 勿論、今回はスライムの涼風も連れていくため―――王都でのパーティなどではイネアに世話を頼むが―――それ程長く暇になる事はないだろう。それに、自分もそれが飽きてきてしまえば他の暇潰し方法を考えるかのんびりとしているだろう。だから問題ないのだ。


 そんな事を考えている間に荷物の最終確認を終えた。出発時間までまだ時間があるため、このまま部屋でのんびりとしていても良いが、一足先に馬車に乗ろうかな。スライムを肩に置いて、馬車へと向かう。


 ……さて、気になる人もいるかもしれないが、俺がステータス変更の事で焦っていないのは訳がある。まあ、簡単な事なのだけれど、つい先日、ようやくレベル6になったのだ。先に無魔法が上がったのが鍵だったのかどうかは分からないが、間に合ってくれて良かったと思っている。


 そう思いながら縦に3台並んでいる馬車のうち真ん中にある馬車に乗り、荷物を自分の席の隣に置く。俺と父親だけが使う馬車のため、そんな事が出来てしまう。まあ、位が貴族ならもっと大きい馬車でメイドさんも入れてくつろいでいるのだろうがな。


 席に座り、荷物から適当に本を取り出して読んでいると父親が馬車の中に入ってきた。


「カイ、もう来ていたのか。出発までは時間があるぞ?」

「残りの時間ここでゆったりとしていようと思ってね」

「それも良いとは思うが、今のうちに体を動かした方が良いと思うぞ? 馬車の中はあまり動かさないからな」


 確かに、そうだな。これから体を動かす時間が少なくなるから筋力も下がってしまうだろうし、今のうちに動かしておこうか。


「そうだね。なら、馬車の近くで稽古しているね」

「そうしておいた方が良い。時間になったら呼ぶから思う存分やってきなさい」

「うん、行ってくる!」


 棒を手に持ち、馬車から近く、邪魔にならない場所で稽古を始める。まずは素振りだ。


「1、2!」


 掛け声と共に棒を振り、動きを調節する。棒にすべり止めを付けているため、手が痛くなる事はない。それに、この棒を買ってからはショートソードと同じ位使っている武器だ。流石に慣れている。


 素振りを600回程行い、次に腕立て伏せ、腹筋、背筋を続けて行う。だが、小さな体躯にしては力が大人以上ある力では筋トレの意味があまりない気がするため、リバース身体強化を行い、自ら負荷を掛けている。


 すると、腕立て伏せ1回でも中々大変になる。体も重りが付いたかのように重く、動きにくい。1歩も歩けなかった以前と比べれば大分進歩していると思うが、まだまだ足りない。普段から使えて、動けるようにしていきたい。


 各10回を行った所で体力の限界を迎えたため、筋トレを止めて、そのまま走りだす。正直、かなり疲労が溜まってきているが、自分を追い込んでいかないと成長もあまりしない。そのため、休憩を挟まない。翌日は筋肉痛になるだろうが、体を動かす機会が少ないため気にしない。


 そうして、息を切らしながらも走り続けていると父親が戻ってきた。


「カイ、そろそろ時間だ……って凄い汗だな。少し水を浴びて、着替えてきなさい」


 ……確かにかなり汗を掻いているな。びしょびしょまでとはいかないが、このまま馬車に乗ると体が冷えてしまいそうな程だ。庭の縁に移動して服を脱ぎ、ウォーターボールで汗を取り除いて、メイドさんに新しい服を用意してもらう。わざわざ仕事を増やしてしまい、申し訳ないな。


 少し反省をしつつ再び馬車に乗る。既に父親は乗っており、他の馬車も出発可能らしい。なら、王都へ行こう!

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