142話 一息入れるんだが
142話です! 前回に引き続き他作品でいう閑話や幕間に近いです! 少し短め?
ドナンドから戻ってきて既に1ヵ月程が経った。毎日鑑定を行い、練習していたのだが、結局ステータス変更のレベルが上がる事はなかった。
父親曰く、後2ヵ月で出発するらしいのでそれまでには何とかレベルを上げないと不味い。日を重ねるごとに焦りが募ってきており、少しでも鑑定をしようと、1回1回の鑑定が雑になってきている。なので、少し一息入れた方が良いだろう。せっかく今はシンディと遊んでいるのだからね。
そうそう、シンディなのだが、寿命が短いせいなのか体の成長速度がも早い気がする。具体的に言えば俺との身長差が10cm以上離れているのだ。ただ単にシンディの身長が高いだけなら問題ないのだが、同い年だと思えない程の変化があったら少しショックだな。いや、成長している事自体は良い事なんだろうけどさ。
「カイー、どうしたの? そんなにじっと見て」
対面に座り、積み木で遊んでいたシンディが俺の視線に気づいたようで聞いてくる。
「いや、何でもないよ。ただ、シンディが大きくなったなあと思っただけ」
「カイも大きくなってるよ?」
シンディが積み木を置きつつ、コテンと首を傾げてこちらを見てくる。相変わらず綺麗な赤色の目だ。
「いや、そうだけどね。ほら、シンディ立ってみて」
「ん? うん、良いよー」
シンディを立たせると同時に俺も立ち、背中合わせになって身長差を教えてあげる。
「ほら、結構身長が違うでしょ? 少しそれが気になってね」
「あ、私の方が大きい!」
シンディが顔だけこちらを向け、身長差を見て納得している。分かってくれたようなので背中合わせをやめて、座る事にする。
「シンディは何でも食べてるから大きくなれたのかな?」
「カイだって何でも食べてるよ? なのに何で私の方が大きいの?」
「それは、ほら、寝てる時間だと思うよ。寝る子は育つって言うからね」
思わず前世のことわざを言ってしまったが、ここからばれる事はないだろうからまあ大丈夫だろう。
「寝る子は育つ?」
「うん、良く寝るとすくすくと丈夫に育つと言う言葉だよ。シンディはよく寝ているから大きくなっているんだよ」
「じゃあ今よりももっともっと寝ればもっと大きくなれるの?」
厳密には睡眠、食事、運動をしっかりと取る事が大切だ。だがまあ、シンディは全てをしっかりと取っているので問題ないだろう。
「うん、そうだよ。でも、寝すぎてもいけないよ。夜に寝れなくて起きてしまうと怖~いゴブリンが出てくるかもしれないからね?」
「ゴブリンは嫌!」
俺も嫌だ。というか夜中に遭遇するくらいなら抵抗できるように起床時の方が良い。寝ながら死ぬのは絶対に嫌だ。
「だから今まで通りで良いんだよ。そうしたらちゃんと大きくなるから」
「本当に?」
「うん、本当に」
「なら、今から寝よ?」
まあ、そろそろお昼寝しても良い時間だし、寝ようかな。でも……
「積み木を片付けてからね?」
「うん! 早く片付けて寝よ!」
シンディに急かされながら積み木を片付けていき、ベッドの上に寝転がって布団を被る。すると数秒のうちにシンディが寝てしまった。いつもの事ながら寝るのが早い。
俺もお昼寝しよう。そして、今日の夜にしっかりと練習していこう。王都に行くまでにステータス変更のレベルが上がると信じよう。