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137話 ネルさんが生きていたらしいんだが+α

137話です! 次回から0時投稿にしようかと思います。これでおそらく帰宅が遅れて書けないという事が無くなる……はずです。

 目を覚ますとベッドの中にいた。馬車の中ではないから助かったのか……? そんな事を思いながらも横を見る。すると椅子に座っている女性が本を読んでいた。その女性は白いローブを着ており、本とは別の手で杖を持っていた。その杖は金属で出来ており、先端には5cm程の白色の魔石が埋め込まれていた。魔石を付けると魔法の効果が上がるのだろうか? 


 まあ、それは後で考えるとして声を掛けてみようか。


「あの……ここは?」


 声を掛けると女性は本を閉じてこちらを見つめ、少し意外そうな表情をしながらも声を発した。


「ん? 起きたみたいだな。ここはドナンドにある詰所の医務室だ。どこか痛い所はないか?」


 医務室か……良かった。助かったんだな……ってそういえばどこも痛くないな……かなりの傷を負っていたはずだけど、まさかもう完治したのか?


「痛い所はないよ。治してくれたの? あの傷を?」

「ああ、治したぞ。本当は傷つく前に助けたかったのだが……早く助けれなくて済まなかった」


 女性は立ち上がって頭を下げた。こんな子供に頭を下げるとはな……少し意外に思いながらも返事をする。


「今生きているのだから良いよ。詰所で治療してくれたという事は衛生兵なんでしょ? だとしたらあの時襲撃者の人たちを懲らしめに行ってたんでしょ? だったら仕方ないよ」

「そう言ってくれると助かる。ただ、1つ言うとするならば衛生兵ではなく、騎士団だ」

「騎士団……?」

「ああ、襲撃者の奴を懲らしめるためにこの街を訪れたのだ」

「そうだったんだ……懲らしめられた?」

「ああ、しっかりと懲らしめられたぞ」


 そうなんだ……だったら良かったなと思っているとノックの音が聞こえた。


「どうぞ」

「失礼します……カイ! 意識が戻ったのか! どこか痛い所はないか? 大丈夫か?」


 入ってきたのは父親だった。こちらに来て心配そうになって聞いてくる。いつもよりも過保護なような気もするが……まあ、結構傷を負ったから心配にもなるか。


「うん、この通りね」


 だから俺はベッドから降りて、腕を動かしたり足を動かしたりして元気な様子を見せる。父親はその様子を見て、良かったと小さな声で言ったのが聞こえた。


「骨折も治っているのか……。ケネディさん、カイの治療をありがとうございます」

「ああ、息子さんが無事に助かって良かったぞ」

「ええ、本当に……」


 そういえば名前を聞いていなかったよな……。女性の方はケネディさんと言うのか。


「それでは私はこれで失礼しよう。ゼノス団長にも報告しなければならないし、2人だけで話したい事もあるだろうからな。帰る時は一言ゼノス団長に言って欲しい」

「ええ、分かりました」


 ケネディさんはそう言うと部屋を出ていった。そして、父親の方を見ると父親はまた助ける事が出来なかった事を謝ってきたのだが……その話は割愛しよう。話しがグダグダした……という事もあるがそれよりも重要な事があるからだ……いや、父親の謝罪も十分に重要な事だけども。


「そういえば、カイ。カイの近くに倒れていた奴がまだ生きていてな……牢に閉じ込めているのだがどうする?」

「ネルさんまだ生きてたんだ……てっきりもう死んでいると思ってた。……会ってもいい?」

「いいのか? 無理はしなくてもいいんだぞ?」

「無理はしてないよ。ただ純粋に話をしたいだけ」

「そうか……分かった。では付いてきなさい」

「うん!」


ーーーーーーーーーーーーーーーー

 軽い閑話


 私、ゼノス・オルステッドは現在、帝国の奴らの処理に追われています。正直、戦いの後くらいはゆったりとしたいものですが次の任務も既に通達されていますので休む暇などありません……はあ、早くこの状況を何とかして欲しいですね。でなければいつか過労死してしまいますよ……。


 書類を見ながら少しため息を付いているとノック音が聞こえたので入って良いですよと声を掛ける。入ってきたのは……ケネディさんでしたか。


「ゼノス団長、カイ殿の意識が戻ったぞ」

「そうですか。フェンド殿には既に言っていますか?」

「言う前に部屋に来たぞ。カイ殿の姿を見て凄く安心していた」


 そうでしたか。フェンド殿の慌てようは見てて心配になる程でしたからね……。


「でしょうねえ……それで、カイ殿はどうだった?」


 フェンド殿には悪いですが、いくつか気になる事があったためケネディに調べて貰ったのですが……どうでしょうねえ。


「はっきり言えば……異常だ。魔素は今も回復しているのだが、その魔素量の反応が赤になった」

「赤ですか。あの魔素探知機の赤と言えば1500以上2000以下でしたか」

「そうだ。あの年であれだけの魔素を持つのはまず有り得ない。あのグルズ伯爵家の令嬢でさえ、まだ緑だ」


 緑は……1000以上1500以下ですか。それだけでも末恐ろしいですが、それ以上ですか……。


「という事は何かしら珍しい称号を持っているという事ですね」

「だろうな。それに、あの魔素量を扱いきれるだけの技量もある」

「中級は覚えていますね……今のうちに勧誘します?」


 もし入ってくれればこの仕事も楽になりますし。


「フェンド殿に怒られても知らんぞ」

「そうですねえ。そうなると怖いですので止めておきましょうか」

「そうしておけ。では、私は戻るぞ」

「ええ、お疲れ様です」


 私はケネディが出ていくのを見ながらもう一度ため息を付いてしまう。彼が強くなるのは構わないですが、そのせいで厄介事にならないと良いですねえ……。

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