表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
145/220

閑話 フェンドの焦り 4

閑話です! 後1、2話で終わるはず……。


追記:帰宅時間の影響で次回の投稿は明日にします。そして、その次の投稿は明後日投稿します。すみません……。

 最近9時に投稿が間に合わない事が増えていますので0時に投稿する事も少し考え中です……。

 ライル殿と共にシス村に向けて全力で馬を走らせ、一刻も早く馬車に追いつこうとする最中、ドナンドに向かう商人や旅人が何事かとこちらを見ていた。時には馬の速度に近くにいた小動物や魔物が逃げだしていた。


 だが、そんな事を気にしている余裕はない。こうしている間にもカイは苦しんでいるかもしれないのだ。あの時断っておけば……と後悔しながら走らせていると胴体ばかり大きく俺から言わせてみれば弱い部類であるオークが数体、正面に道を塞ぐようにして立っていた。


 オークたちはこちらに気づき、逃げるかと思いきや涎を垂らしながらこちらに向かってきた。その様子を見た俺とライル殿は剣を構えてそのままオークたちを攻撃し、吹き飛ばす。吹き飛ばされたオークたちがどうなったのか確認していないが、中々の音を立てながら地面に落ちていったようだ。


 そうして、進行を邪魔する者を時には無理矢理吹き飛ばしたり、避けたりして進むうちにシス村に着いた。奴らについて情報を得るために馬から降りて、誰かいないか軽く見渡すと丁度こちらに歩いてくる男がいたので、怪しげな馬車は通らなかったかどうか聞いてみる。勿論少々のお礼も添えて……だ。


「ああ、来たさ! あいつらこの村に着いた瞬間に俺を脅してきて丹精込めた野菜を沢山奪いやがったんだ! これはいらねえから奪われた野菜を取り返してくれ!」


 その男は下手に刺激するとこちらにまで被害が来そうな程に怒っていた。……どうやら奴らは子供を誘拐するだけでなく野菜をも奪ったようだ。


「野菜を奪うなど最低ですな……いや、子供を誘拐する時点で最低ですがな」

「その通りですね……丁度その馬車を探しているのだが、その怪しげな馬車はどこに行ったか分かるか?」

「ああ、勿論だ。この道を進んでいったんだ! ついさっき出ていったばかりだからすぐ追いつくはずだ!」


 男が道を指をさしながら叫ぶように言う。その道は幅が狭いのだが、森の中を突っ切るようにして作られており、少し地面が凸凹している。道が真っ直ぐなため、全速力で進めそうだ。


「そうか……! なら、私たちが何とかしましょう! ……ライル殿、すぐに向かいましょう」


 冒険者時代の時には必ず対価を要求していたが今は冒険者ではなく、時間も惜しいため、先を急ぐことを優先する。俺とライル殿は再び馬に乗り、馬車が進んでいった道を進んだ。すると前方から黒い点が見えて来て、さらに進むと馬車を確認する事が出来た。恐らくあれだろう。


「フェンド殿、あれですな」

「ええ、そうみたいですね。奴らはまだこちらに気づいていないみたいですからこちらから仕掛けましょう」

「そうしましょうぞ! 私はこのまま進み、馬車を追いますのでフェンド殿は森に入って馬車の前か横に出て攻撃して欲しいですな」

「私もそう思っていたところです。では行きます!」


 俺は走っている馬から降りて、そのまま森へと入る。森の地面は木の根が所々飛び出しており、落ち葉などが大量にあるため進みにくく、走る事など満足に出来ないであろう場所であるため、馬車が見える範囲を保ちつつ木の枝を伝って移動していく。ただ、この移動速度はかなりのものでライル殿が乗っている馬の速度には及ばないが、馬車の速度よりは速い。


 少しでも早く馬車に追いつくために全速力で移動していると前方の方から馬車が止まる音と共に怒鳴り声が聞こえてきた。どうやらライル殿を発見したようだ。俺も急がなくてはな。


 馬車の横側に辿り着くころには既に戦闘が始まっていた。数人の奴らがライル殿に突っ込んでいくが、横に剣を振って奴らの内1人を真っ二つにするだけでなく、その余波の剣圧で奴らに傷を付けていく。


「な……何だあ! どうなっているんだあ!?」

「おい! 逃げんぞ! 敵いっこねえ!」

「おい! 俺が時間を稼ぐ! その隙に行けえ!」

「無駄である! 1人残らず倒すのである!」


 奴らは早くも逃げる決断をしたか。だが、逃がすわけないだろう?


 剣を構えて森から飛び出し、御者ぎょしゃの首を気づかれる前に斬り落とす。そしてすぐに馬車と馬との繋ぎ目である手綱などを断ち切って逃走を防ぐ。


「な、何で進まねえ! ラドウ! 何やってやがる!」

「お、おい! 馬車の前に誰かいるぞ!」

「糞っ! 最悪だ!」


 逃げられない事に悟ってさらに混乱しているな……外はライル殿が制圧してくれるだろうから俺は馬車の中に入るか。


 馬車の後ろ側に向かい、立ち向かってくる襲撃者をなぎ倒しながら馬車の中に入る。中には鎖で繋がれた子供たちがおり、馬車の奥には奴がいた。


「キシ!? もうここまで!?」

「カイを返してもらうぞ!」


 一気に距離を詰めて首を断ち切る……が、ギリギリの所で奴は短剣を抜いて攻撃を防いだ。


「カ、カイ? キシシシ、あの化け物か!」

「っ! 許さん!」


 俺の息子が化け物だと!? 絶対に殺してやる! 


「キシィ!」

「まだまだぁ!」


 奴の肩を骨ごと切って腕を落とさせる。だが、こんなもんでは済まさねえ! 怒りに身を任せてもう片方の腕と両足を切り落として最後に心臓を貫く。


 ……これで奴は死んだな。返り血が大分ついてしまったがまあいいだろう。全然怒りが収まらないが……。


 さて、カイと子供たちは無事か? 子供たちを見渡すと……何故かカイが見当たらない。


 カイ……何処だ!?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ