表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
136/220

131話 どうやら捕まってしまったようなんだが

131話です! 4月からはまた隔日で投稿出来ると思います。

 ネルさんの口に粘着の魔法を付けてからしばらくの時が経った。未だ父親は戻って来ないため、部屋でずっと父親の帰還を待っている……そんな状況であるが、俺は現在、睡魔に襲われていた。……まあ、そりゃあそうだよな。幾ら非常事態でも普段ならとっくに寝る時間だ。それに、寝ようとしたところからの激しい戦闘を経て、この現状だ。眠たくならない方がおかしい。だが、今寝るとネルさんが何をするか分からないし、他の襲撃者が部屋に入ってくるかもしれない。だからせめて父親が戻ってくるまでは起きてないといけないのだが……眠い。


 睡魔に抗うが、段々と眠たくなり、ベッドに座りながら船を漕いでいると不意に小さな音が辺りに響いた。その音は虫の声や誰かの笑い声などではなく、何か重たい物が落ちたようなそんな音だ。普段なら何とも思わないような音に俺は目を見開いて、急いで棒を手に持って辺りを警戒する。


 重たい物が落ちた音なのだから廊下か外なのだろう。先に外を確認……街灯などは当然ないため、暗くてよく分からないが、道に何かがあるような気がする。それが音の発生源であるかどうかは分からないがそれが動く気配はない。外の様子は一度置いておくことにして、次にドアをそっと開けて廊下を確認してみたが、廊下の方は何もないようだ。


 なら、一旦警戒を解いても大丈夫だな……とドアを閉め、棒を置いて一息ついた瞬間に再び小さな音が辺りに響いた。


 急いでまた外を見ると今度は先程見た何かが蠢いている……確証は出来ないがそう感じた。何して来ても対処出来るよう蠢いている何かを警戒していると不意に後ろから俺の口が塞がれた。突然の事に混乱しつつも棒で攻撃を仕掛けるも簡単に塞がれてしまい、腕も拘束されてしまった。さらに不味い事に拘束された際に棒を手から放してしまい、音を立てながらどこかに落ちてしまった。


 もうほとんど抵抗できない状態であるのだが、足で攻撃を仕掛けようとすると何故か口元が解放された。何故開放したのかよく分からないが、無詠唱を使おうと咄嗟に魔素を手に込める。そして、魔法を発動するために口を開くと、突然口の中によく分からない液体を入れられ、そのまま飲みこんでしまった。


 よく分からない液体を飲み込んでしまった事に驚くと同時に段々と視界が歪み、意識が朦朧としてきた。先程の液体のせいかと思いながら、俺は意識を無くしてしまった。


ーーーーーーーーーーーーーーーー


 馬車が動きだす振動で俺は意識を戻した。そして、先程の事を思い出し、急いで辺りを見渡すと、辺りの様子は明らかに異様であった。


 馬車特有の振動があるから馬車の中であろうが、馬車の中は、俺と同年齢かそれより幼いと思われる子供が10人程おり、全員が手足と首に鎖を付けられて座り込んでいる。いや、それだけならまだしも、その子供たちのほとんどはこのままでは不味いのではないかと思わせる程、体がやせ細っている。そして、誰もが下を向いているようだ。


 どうやら俺は誘拐されたそうだな。そう思うと徐々に恐怖がにじみ出て来て何故こうなったのかと喚きたくもなるが、それをしてもただ時間だけが過ぎるだけだ。時間が過ぎて、父親が助けに来てくれる可能性はあまりないだろう。助けなしでこの状況を自力で何とかしないといけない。自力で何とかするのはかなり厳しい事になると思うが、まだ何とかなる可能性があるだけ幸運だと思った方が良いのだろう。


 とりあえず他の子どもから何か情報を貰うと思い、話しかけようとするも、声を出せなかった。何故声が出ないのか分からないため、混乱しつつも自身の状態を確認する。……どうやら俺にも手足と首に鎖を付けられているようだ。そして、声を出そうとする度に首に付いている鎖が発光している。どうやらこの鎖が俺の声を妨げているのだろう。もしかして手足も声と同じく鎖のせいで動かせないのかと思い、手足を動かそうとするも、予想通り動かせなかった。代わりに手足の鎖が発光した。首についている鎖と同じく、手足についている鎖が行動を妨げているのだろうな。このままでは逃げる事も動くことも出来ないなと思いつつも辺りを見渡したりして情報を集めていこうか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ