125話 名前を付けるんだが
125話です!
スライムを家に持ち帰るわけだが、この大きさだと不便だな……。リバースウォーターボールで小さくするか? でも、ダメージがありそうだなあ……。
「もう少し小さくならないと家に入れれないよね?」
「そうですね。30cm未満にして欲しいですね」
「どうやって小さくしよう……」
悩みながらスライムを見るとスライムがキルルク草を消化していた……結構消化速度が早いな……体積の影響もあるのか……? 後で調べておくか。とりあえずは……スライムに聞いてみるか? 言葉を理解出来るかどうかは分からないが。
「小さく出来ない?」
……反応ないな。ならもうリバースウォーターボールでやるしかないか。核が弱点だから核だけは絶対当てないようにしないと。
「リバースウォーターボール」
俺よりも大きかったスライムが20cm程まで小さくなった……加減間違えたらスライムが死ぬところだったな。こちらも加減をよく考えて撃たないとな。
HPの方は……2減ってるな。体積が減るだけでもダメージがあるようだ。話すだけで行動してくれたらリバースウォーターボールを使わないで済むのだが、スライムにそんな知能ないよなあ……。とりあえず水癒で回復してみるか。……うん、出来たみたいだ。
「よし、このくらいの大きさなら良いよね」
「良いかと思います」
「スライムの大きさも良くなったことだし帰ろうか」
「かしこまりました」
とりあえず帰ったら両親に報告だな。フレッツ兄さんに見つかるとややこしい事になるので、見つからないように動かないと……。
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「スライムをテイムする事が出来たようだな。良かったじゃないか」
家に帰ってすぐに執務室に行き、父親に報告をした。俺がスライムを持っている事に一瞬驚いていたが、すぐにテイム出来た事に理解したようだ。
「うん、でもまだ意思の疎通が出来ないみたい」
「意思の疎通は出来ない? ……種族の問題か? それとも……カイ、名前は付けたか?」
「名前? まだ付けてないよ?」
「では、今から名前を付けてみなさい」
「? うん」
名前か……種族は沼スライムだけど……ここからいじった言葉を名前にするのはなあ……それに性別はないみたいだからどうしようか……。
「すぐに決まらないようなら後でもいいぞ。テイムの事はよく分からないが、名前を付けたら意思の疎通が出来るかもしれないと思っただけだからな」
「確かにありえそう……なら、部屋でゆっくりと決めるね」
「そうしなさい……ああ、そうだ。テイムのスキルを得た時に渡そうと思った物がある。倉庫まで付いてきなさい」
父親の後ろを歩き、倉庫へと向かっていく……前よりも色々なものが置いてあるような……。
「ああ、これだこれだ。カイ、これを使いなさい」
そう言って出てきたものは1m程の大きさをした……箱だった。
「箱?」
「スライムの家だな。ちゃんと蓋もあるぞ」
「いや、蓋があるのはいいけど……スライム逃げない?」
「そこはカイが躾なさい」
「分かったよ」
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父親との話を終えて、母親の所にも行き、部屋に戻ってきた。母親曰く、意思の疎通は名前を付ける事により出来るようになるらしいので早速名前を考える事にする。
青緑色のスライム……いや、そこから考えるのは止めよう。安直な名前になる。だったら……自然や季節―――今の季節は夏だ―――の言葉などから決めてみるか。なら、属性の水と風に派生する名前にしよう。立夏、涼風、雫……涼風にするか。
「いいか。今からお前の名は涼風だ」
その瞬間、スライムの意思―――というよりも感情に近いのか?―――を感じれるようになった。これは喜びか?
「喜んでいる……という事はこの名前を気に入ってくれたみたいだな」
今度は……肯定か? まだ慣れないな……でも、名前を付けるのは大変だが、気に入ってくれたみたいで良かったよ。