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117話 迷宮探索なんだが 9

117話です! 

追記 称号を付け加えました。

「ゲロッ!」


 フォレストフロッグが湖からゆっくりと出てきながらこちらを見ている。……やはり大きいな。ぬめりとした茶色の肌に発達した脚、俺らを丸呑み出来そうな胴体をした蛙がゆっくりと近づいてくる。


 フォレストフロッグから逃げるという選択肢は……止めといた方が良いな。蛙だから舌を使ってくるだろう。幸いまだ15m程の距離があるが4歳の足では追いつかれて食われてしまうだろうな……なら何とか撃退……出来れば倒さなければいけない。


「シンディ、下がってて。俺が相手をするから」

「カイだけで大丈夫なの?」

「大丈夫だって、安心して」

「うん……分かった。怪我しないでね?」

「出来るだけ怪我しないように頑張るよ」


 何しろフォレストフロッグはDランクの魔物だ。迷宮内だからもう少し強い事を考えるとC−ランクまで行くかもしれない。倒せる可能性は微々たるものだけど撃退ならまだ何とかなる……かもしれない。いや、死ぬ確率の方が高いな。でも、逃げたら俺かシンディが死ぬだろうしなあ……はあ、幸運者とは何だったんだろうな。


 フォレストフロッグに向けてショートソードを構え、身体強化、五感強化を付けて少しでもMPの減少を防ぐために探知を消す。


「よし、やるぞおおおお」


 フォレストフロッグに向かって走り出し、風刃の魔法を無詠唱で放つ。


「グぺッ」


 フォレストフロッグは大きくジャンプして風刃を避け、そのまま俺に向けて口を開ける。


「!? ガハッ」


 フォレストフロッグの口からほとんど見えない程の速度で舌が飛び出してきた。急いでショートソードでガードしようとするが、間に合わずにフォレストフロッグの舌が腕に強打する。


「っ!?」


 舌が腕から外れず、そのまま引っ張られる。なら、ショートソードで!


「グペエッ!」


 フォレストフロッグの舌を攻撃した瞬間、舌が外れて口の中に戻った。あ、危なかった……後少しで食べられるところだった……。


「シールド!」


 片手に大きめに作ったシールドを作り出し、体を隠すようにして構える。


「風刃……風矢!」


 再びフォレストフロッグに風刃を飛ばしたら先程のようにジャンプしたので風矢を放ち、命中させる。


「グエっ」


 少しは効いたようで風矢が当たった所から少しだけ血が出ている。この調子でいけば何とかなるか?


「ッ!」


 フォレストフロッグが口を開けたので舌に警戒した瞬間、かなりの力でシールドに舌がくっつき、そのままシールドを破壊する。シールドはなくなってしまったが舌の勢いがなくなったので、伸びきった舌に向かってショートソードを勢いよく突き刺す!


「グぺエエエエエ!!!」 


 突き刺されたショートソードはとても痛かったようで奇声を上げて急いで舌を戻す……ショートソードと一緒に……。


「グエエエエエエ!!」

「しまったあああああああ」


 何手を離しているんだよ!? フォレストフロッグが苦しそうにしているけど貴重な武器が! いや、それよりも先に!


「シールド!」


 急いで盾を作り出してフォレストフロッグの様子を伺う。


「グぺエ!」


 フォレストフロッグから何かが勢いよく吐き捨てられた。そちらをチラッとみると折れたショートソードがあった。……あんなに力があるのか!? 口の中に入ったらすぐに死んでしまうな。舌には本当に気を付けないと。


「ゲロオオオオオオオオオオ」


 突然フォレストフロッグがいきなり大きく鳴き始める。その瞬間、湖の方からゲロゲロという鳴き声が……。


「あんなにフォレストフロッグが!」

「仲間を呼び出した!?」


 1匹だけでも苦戦しているのに……っ!?


 湖をみて軽く絶望していると大きく鳴いたフォレストフロッグが勢いよく突っ込んできた。急いでシールドで防ぐが。


「グハァ!」


 フォレストフロッグの体当たりでシールドが一瞬で壊れ、そのまま俺を吹き飛ばす。全身の痛みを耐えながら、体勢を戻そうと急いで起き上がろうとする。


「ッ痛い!」

 

 どうやら今の攻撃でシールドを持っていた腕と片足が折れたらしい。こんな時に……。


「カイ!?」

「っ来るな!」

「でもぉ!」

「大丈夫だから!」


折れていない方の足でなんとか立ち上がり、フォレストフロッグを見てみるとさっきの攻撃でこっちがもう限界な事が分かったのかゲロゲロゲロと嗤っている。あの野郎……でも武器が……いや、まだ背中に棒があるか、だったら……。


 棒を構え、魔素を使えるだけ使い、風刃の魔法を構築していく。


「ゲロッ」


 俺がただ棒を構えているように見えているのか蛙がこちらを笑い続けている。でもそんな余裕、これで潰してやる!


「風刃!」


 棒から凄まじい勢いで出た巨大な風刃が目の前で嗤っているフォレストフロッグを切り裂いていき、湖からでてこようとしていたフォレストフロッグまでをも次々に切り裂いていく。攻撃がやんだ頃には数匹のフォレストフロッグを切り刻み、倒すことが出来たが……まだ残っている。


「やばい、もう魔素が」


 ―――ないと言った瞬間、身体強化と五感強化が切れる。魔素がなくなったせいで俺はその場で倒れ、意識が薄らいでいく。ここで意識を失ったら……ここまでなのか……。


「カイ、よく頑張ったな」


 最後に父親の声が聞こえて来た気がして、意識を失った。


ピコン♪

称号 守護者を獲得しました。

風刃強すぎない? と思った方がいるかもしれませんが、MP1000以上を込めた+棒の結果です。通常の風刃は30程です。

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