116話 迷宮探索なんだが 8
116話です! 次の話かその次の話で迷宮探索は終わる……といいなあ。
ガサゴソ……と横で何かが動く音で俺は目を覚ました。何だと思い、横を見てみると俺の荷物を漁っているスライムがいた……は? 何故スライムがこんな所に? いや、とにかくスライムを何とかしなければ!
そう思ったが抱き着いて眠っているシンディがいる事に気づいたため、急いでシンディを起こす。
「シンディ! シンディ起きて!」
「……ん、後10分……」
「いや、後10分とかじゃなくって今すぐ起きて! スライム! スライムいるから!」
「後少しだけ……」
ああもう! シンディが起きてくれない! こうなったら荷物に当たるかもしれないが魔法で倒すしかない!
「水矢!」
スライムの核を狙って打ってみるが、核が異様に動いて当たらない……水刃だと荷物全部なくなりそうだし……そうだ!
「リバースウォーターボール!」
リバースウォーターボールをスライムに当てるとスライムの体積が急激に小さくなって核の周りに少しだ
け体液があるだけとなった。これで荷物の心配はほとんどなくなったな……ってそうだ、良い事思いついた。
「シンディ、ほら起きて」
「……うーん」
「ほーら、起きて」
「うん……」
「駄目だこれ……」
こうなったら木の枝に寝かしておくか……。落ちないようにそこにある瘤に寝かせればいいか……。シンディを寝かせて荷物の所に行き、昨日使ったHPポーションの瓶にスライムの核を入れてみる……意外とすぐに入ったな。餌は……昨日食事をする際に使った串でいいか。かすかに残った肉汁を食べるかもしれない。それに、下手に良いものを上げるとスライムが成長するかもしれないからな。
後は荷物の被害だな……フォルグの魔石が全部食べられてる……このスライム食べ過ぎじゃないか? だが、HPポーションなどを食われなかっただけ良しとしようか。
さて、とりあえずシンディが起きるまで出発準備をしてから待つか……。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「じゃあいこうか」
何十分か待った後、ようやくシンディが起きて、準備が終わったので早速出発する。どこに前の階層にいける場所があるかどうかは分からないが……地道に探すか。
「どの方向に向かうの?」
「こっち行ってみようか」
昨日来た方向と反対側を進んでいく。途中昨日狩ったゴブリンを食しているスライムを数体見たが……見なければ良かった。
そして、探知の魔法で魔物の遭遇を避けながら進んでいくと、開けた場所に出て、今度は200m程の湖があった。湖……冒険者と父親から聞いた話で確か迷宮内に湖は3箇所……6階層、11階層、16階層だけだったはず。11階層と16階層は出現する魔物のレベルが違うから6階層か。6階層なら湖の向こう側が5階層への道があるはずだ。
「シンディ、6階層で湖の向こう側に5階層があるはずだよ」
「そうなの!? なら、すぐ行こ!」
「シンディ、まだ話は終わっていないよ。この湖には大きな蛙がいるらしいから静かに移動するよ」
「大きな蛙?」
「たしかフォレストフロッグという魔物でジェフさんと同じくらいの大きさをしているらしいよ」
「何それ大きいね」
「うん、だから静かにね?」
「うん!」
湖を迂回しようと再び歩き始める。流石に湖の周りは魔物が多いな……戦闘して音を出してしまうとフォレストフロッグに気づかれる可能性が高いから戦闘は避けたい所だ。
なら、多少遠回りになってもいいから戦闘しないようにしないとな。
ピコン♪
忍び歩きがlv1になりました。
……こんな時にスキル習得か。いや、ありがたいけどね。出来ればもっと早く欲しかった。
とりあえず前方に魔物がいるらしいからまた森に入ろう……。
「キュオオオオオン」
……やめてくれよ。こんな時にそんな大きな音は……本当に見つかるから……。
「ゲロッ」
……あ、見つかった。