12話 両親にはかなわないんだが
12話です。
こういうシーンって本当に書きにくいです……。
12/10改正。
「まあ、カイが転生者という事は既に知っていたのだがな」
え?
「ふふ、そうね。後、魔法を練習している事も魔法を隠そうと努力している事も知ってるわ。まあ、魔法を扱う人にとってはバレバレだったけれどね。後は、習得速度がおかしかったわね。それは転生者という称号のせいなのかしら?」
ええ?
「そうですね。私は魔法についてはあまり知りませんが、赤子にしては理性があるように感じましたから」
「でも、もう少し隠す気はなかったのかしら? ステータスを見るまでもなく赤ちゃんにしてはおかしかったわよ?」
「そうだな。初対面の時は分からなかったが、赤ちゃんにしては騒いだり泣く回数が圧倒的に少なかったからな」
まじか……。だけどどうやって転生者という事が分かったのだろうか? 赤ちゃんにしてはおかしい……だけでは説明が付かないだろう。
「だけどよく魔法スキルをそこまで上げることができたわね。もしかして前世は魔法使いだったかもしれないわね」
「もしそうだったなら、既にスキルで入っているだろう。そうでなければ算術と料理の説明が付かないぞ」
「あら、でも私が初めて鑑定でステータスを覗いた時は既にトリプルの魔法が各1レベルになっていて、無詠唱だって使えていたわよ?」
「うーむ……。独学にしてはいくら何でも早い気がするのだが……才能か?」
「まあ、その辺は大きくなったら聞きましょう」
完全に独学なんだが……。
というか鑑定はやはりあったんだな。だが、どうやって取るんだろうか? 本などで調べてみれば乗っているのかな?
「後は誑かす者ね。多分マインズとフレッツが初めて来たときに付いたわね。だからイリスが妙に気に入っていたのかもしれないわね」
「称号なんて関係なしで最初から気に入っていましたので関係ないかと思いますが……」
「あら? そうなの?」
称号がとれた時期が完全に特定されている……。
「そういえば最近ちょっとエッチになったんじゃない?」
「そうだな。リリィにも聞いたが随分とまあ楽しんでいるじゃないか?」
ウッ……まさかばれるかも? とは思っていたがついついやってしまっていたのが仇となったか。
「私ならまだしも乳母さんで私の友達あるリリィにまで手を出すのはねえ。そういうのはどうなのかな? カイ?」
「あ……あう」
やばい……威圧やばい……。きつすぎて気絶しそう。そして、漏らし……既に漏らしているわ。
もう勘弁して! もう俺のライフは0だ!
「マリン、そんなに威圧したらカイが気絶してしまうだろ。落ち着きなさい」
「……ふう。そうね。とりあえずもうリリィにした事みたいにエッチなことしちゃ駄目よ?」
「あ……あい」
うん。絶対にやめよう。思春期まではそういう事はもう行動だけでなく考えないようにしておこう。次やったら何されるか分からない。その事を考えただけでも恐ろしいよ……。
「あ、先に転生について言った方が良かったわね。転生についての事になるけれど、私たちは前世に何があったのかなんて特に気にしないわ。次期領主はマインズが継ぐから無理だけれど犯罪を起こさない程度なら自由に暮らすことは認めようと思うわ。これはカイが転生者という事が分かった時から話し合って決めたわ」
「だが、ここにいる人以外に転生者だという事は絶対に信頼できる人以外には言うなよ? いつ国がカイの事を狙うのか分からないからな。もちろんマイルズとフレッツにもだ。どこから漏れるか分からないからな」
「称号の方は頑張ってステータス変更というスキルを覚えなさい。それである程度は解決できると思うわ」
「逆にそれを覚えない限りは危ないから村から出せないな」
「そうよね。下手にばれたら村が危なくなってしまうわ」
……っほ。とりあえず両親たちが転生者について問題ない人でよかった。それだけでなく何を取った方がいいのかも教えてもらえた。いい家庭に生まれた事に感謝しないとな。それにしてもやはりばれたら不味いのだな。これからはより一層気を付けなければな……。
「後、魔法のことなのだけれど、これからはバケツを置いておくから水魔法はそこでやるといいわ。風魔法と無魔法は何もしなくても大丈夫わね。それと喋れるようになってからでいいから私に無詠唱を教えなさい」
「カイはあっさり出来たのかも知れないが無詠唱なんて使う人は宮廷魔導士くらいなものだからな」
え? 母親の配慮は嬉しいけど無詠唱って実はそんなにレアなスキルなの!? 初めて魔法使う時に一緒に出たからみんな取っているとばかり思ってたよ。
「他のことに関しては言葉を話せるくらいに大きくなったら話すとしましょうか。とりあえず言いたいことは転生者という理由であなたの親をやめるようなことはないから安心しなさいという事よ。だけど、おいたが過ぎるとお仕置きはするけどね」
「ああ、前世がどうあれカイは俺たちの愛する息子に変わりないからな」
「そうですよ。こんな可愛らしいカイ様が転生者であっても大丈夫ですよ」
本当にこの両親は……感謝しかない。
「だから安心して育ちなさい」
といって母親は俺の髪を撫でてくる。今までも何回も撫でてもらったのに凄く安心してしまう。両親にはかなわないな……。
俺はこの人たちが両親であって本当に良かったと心の底から思った。
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この後、両親の話をしばらく聞いていたら昼になったので昼食を食べることにしたらしい。
もうてっきり夜になってると思っていたよ。
「そうだ、どうせなら奴隷をカイにつけてみるのはどうだ?」
「奴隷? いいとは思うけれど、まださすがに早いんじゃない?」
「いや、今からつけた方がいいだろう。俺の勘がそう言っているからな」
奴隷とな。前世の世界でも奴隷はいたからこの世界にもいることはある程度覚悟していたけどいるんだ。そして、奴隷を俺につけるのか。どうせなら女性がいいな。え? 反省していないだろうって? 反省していますよ。でも男性か女性かどちらを選ぶかと言われたら女性選ぶだろ?
というか勘って何さ……。
「では、食べ終えてから奴隷商館に向かうとしようか」
「ええ、そうね。後、カイに選ばせたらどうかな?」
「そうだな。いいと思うぞ。カイが良いと思う奴隷を買わないとな」
お、選ばしてくれるのか。ありがたいな。でもどうやって選べばいいのだろうか? まあ、何とかなるか。
両親が昼食を食べ終えて、宿を再び出た。朝と比べて行き交う人は少なく移動しやすいな。まあ、この両親はスルスルと人込み関係なく進むんだが。
教会と比べて少し近いのかな? 思ったよりも早く奴隷商館に着いた。