114話 迷宮探索なんだが 6
114話です! 今回はいつもより拙いかも知れない……。
次回の投稿は2/10になりますのでご了承下さい。
「はあ……はあ……ここまで走れば大丈夫か?」
「はあ……はあ……もう……走れ……ない……」
フォルグと戦闘し、その場所から離れるために走り続けたおかげで息も絶え絶えだ。特にシンディは座り込んでしまい、話す事も辛そうな程だ。探知には魔物の反応がないのでここで少し休憩した方がいいな。とりあえず水を魔法で生成して水分補給しておくか。
「シンディ、水飲んで」
「……はあ……はあ……頂戴」
シンディの目の前にウォーターボールを浮かせてシンディに飲ませる。
俺もシンディも水分補給は終わったから次に傷の具合を見てみようか。直撃は何とかもらわなかったがかすり傷の数が酷いな……。所々血が出て来ているからすぐに治しておくか。この血で魔物がくるかもしれないからね。
「……水癒」
これで完全に治ったかな?
「……また中級……しかも無詠唱……」
シンディが少し頬を膨らませながらそう呟く。……ああ、説明しないとな。と言ってもどう言えばいいか……。細かく説明して矛盾点が出来るといけないから簡単に説明すればいいか。
「それじゃあ今から説明するね?」
「……うん」
「魔法に関しては母様に魔法を教えてもらったんだ。そして、沢山練習していくうちに中級まで使えるようになったんだよ。無詠唱は練習している時に偶然出来るようになった感じかな」
「……私も沢山頑張っているのに中級も無詠唱も出来ないよ? なんで?」
「シンディはもう既に初級を全て出来るようになったんでしょ? ならそろそろ出来るよ。無詠唱は……今度教えてあげるね?」
「……約束だよ?」
「うん、約束」
詳しく聞かれなくて良かったなと思っていると魔物が近くに来ているようだな。そろそろ移動しないと。
「シンディ、まだ疲れているかもしれないけど魔物が近くにいるから移動するよ」
「えー、もう?」
「うん、魔物はこっちの都合関係なしに来るからね。ほら、立って?」
「……はーい」
魔物の反対方向に歩いていく。この階層の魔物の強さがフォルグと同じくらいの強さならば体力があまり残っていない今は相手をしたくないな。となると安全な場所を探さして休憩しないとな。
……そもそも安全な場所というのはどこになるのだろうか? テンプレでいえば洞窟になるのか? でもその中に魔物がいそうだし、そこで休憩していて魔物の群れが洞窟に入ってきたら完全に詰みだな。なら、木の上? 確か木の上にも魔物がいるから地上よりかは安全というレベルだな。だけど木の上でじっとするなら何とかなるかもしれないな。なら、木の上にするか。木から落ちる心配もあるが……太い枝に座っていれば大丈夫かな?
「シンディ、木の上で休憩しようか」
「木の上?」
「うん、魔物があまり来ないと思うからね」
「でも登れないよ……」
「あー、それは何とかするね」
確かに4歳では木の上に登る事自体が大変だよな。その事をすっかり忘れていた。登る方法はシンディをおんぶして俺が登るか。4歳とはいえそのくらいなら出来る力があるからね。
「シンディ、今から木を登るから背中に乗って」
「ん? うん、分かった! ……これでいいの?」
「ちゃんと捕まっていてね?」
背中にシンディを乗せて立ち上がる。
「わあ、高いね」
「そうだね」
さて、登っていきますか。登る木は目の前にある比較的大きくて登りやすそうな木だ。
なので木の枝を使ってどんどん登ろうとするが、シンディをおぶっているので中々大変だ。結局目的の高さに辿り着くまでに4分も掛かった……。時間を掛け過ぎたせいで予想以上に疲れてしまったな。
「カイ、大丈夫?」
「うん、大丈夫。シンディはそこの枝に座って、俺はあの枝に座るから」
「分かった」
出来るだけ落ちにくそうな所に座らせたので多分落ちないだろう……。後は体力を回復するために休憩するだけ……あ。
「食事どうしようか……」
現在ある食べ物はフォルグだけだ。一応食べれるらしいが流石に生はなあ……というかどうやって焼こうか。俺もシンディも火属性でないから魔法では火を起こせないぞ。なら原始的な火起こしか? でもあれ時間が掛かるらしいからな。でも、やるしかないよな……。それにやるとしたら一度木の下に行かなければな……。
「今からこの肉を焼いてくるからシンディはここで待っててね。絶対に動かないでよ? 後、何かあったら叫んでね? すぐ向かうから」
「え? カイ?」
シンディの返事を聞かずにフォルグの肉を持って木から降りる。そして、木の枝と乾いた木の皮、乾燥した草を探す。そして、シンディがいる木から少し離れてから火起こしを開始するのだが……乾いた木の皮と草がないな。なら、逆転を使うか。
「リバースウォーターボール」
木の皮と草から水分を抜き取って乾燥させたのでこれで出来るな。
ナイフで木の皮に少し穴を開け、その穴に木の枝を突っ込み、摩擦熱で火種が出来るまでひたすら擦り合わせる! 多分、これで出来るはず!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
擦り合わせてから20分経ち、ようやく火種が出来たので急いで乾いた草で包み込み、息を吹きかける……あちち……。
少し手を火傷してしまったがこれで火は着いた! よし、フォルグを焼こうか!