113話 迷宮探索なんだが 5
113話です!
魔物に見つからない安全な場所と食べ物を探す訳なのだが……この場合どちらの方を優先した方が良いのだろうか? 安全な場所は寝るために必要であるが、時間掛かりそうだな。なら食べ物を優先して探そうか。
「シンディ、何か食べ物になりそうなものがあったら教えてね?」
「分かった! ……あ、キノコだ!」
シンディが指さした方向を見てみると赤色のキノコが生えていた。見た感じ毒キノコにしか見えない……。
「キノコか……食べれるキノコなのか分からないから鑑定してみるね?」
「食べれないキノコがあるの?」
「毒があるキノコがあるんだよ」
赤色のキノコを鑑定してみるとやはり毒があった。間違っても食べないようにしないとな。
「シンディ、このキノコは毒があるから食べれないよ」
「そうなんだ……」
食べ物でないと分かってがっかりしてしまったかな?
「でも、食べ物になりそうなものを見つけてくれてありがとね? シンディが見つけてくれるおかげで助かるよ。この調子でどんどん探していこうか!」
実際に赤色のキノコは気づいてなかったからな。もし食べれるキノコであったら勿体無い所だったな。
「うん、もっと探すね!」
おお、やる気だな。俺も食べれるものを見つける事が出来るように頑張らないとな。
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食べ物を探し始めて30分経過したが、食べ物になりそうなものは見つからなかった。キノコや木の実を見つけた時があったが、すべて食用ではなかった。ただ単に運が悪いだけなのか迷宮内に生えている植物は全て食用ではないのか……どちらにしても食べ物がない現状は不味いな。
そんな現状を追い込むかのようにさらに不味い事が起きた。遂に魔物の戦闘を避けることが出来なくなったのだ。探知をした限りではあまり大きくない4足歩行である獣の姿をした魔物に囲まれている。その魔物は草むらの向こう側でこちらを伺っているようだ。数は……6体か。少し厳しそうだな……でも何とかしなければな。
「シンディ、魔物に囲まれちゃったみたい」
「大丈夫なの……?」
「魔物がどのくらいの強さか分からないけど……多分何とか出来る。シンディは俺の背後を警戒して欲しいな」
「……うん。カイを信じるね」
シンディを俺の背後に移動してもらい、俺が探知と共に身体強化と五感強化を詠唱して使用する……う、獣臭さが凄いな……。でも、これで不意打ちが打たれることがはおそらく無くなった……と思う。最後にショートソードを構え、魔物への警戒をしていると真横から魔物がシンディに襲い掛かって来た。
「きゃあ!」
咄嗟に小さく悲鳴を上げたシンディを庇い、魔物の攻撃をショートソードで受け流す。チラッとしか見えなかったからが、五感強化のおかげで何とかフォルグだと分かった。フォルグは30cm程の魔物で集団行動を得意とする魔物だったはずだ。強さとしては本来ならFランクであるが迷宮内なのでEランクだ。さらに今回は集団で襲ってきているのでDランクに到達しているかもしれない。逃げることも視野に入れないと不味いな……。
そんな事を思っていると今度は一斉に襲い掛かって来た。迫りくる攻撃からシンディを庇いながらショートソードで牽制していき、俺に攻撃してきたフォルグは避けていく。だが、魔物の攻撃を完全に避け切れていないようで所々攻撃をかすっている。……このままだとかなり不味いな。
「ダークボール!」
シンディも黙って見ていなかったようでフォルグにダークボールを放ち、命中させる。だが、まだ死なないようだな。でも、ダメージを与えてくれたおかげでフォルグが少しひるみ、少しだけ隙が出来た。当然その隙を逃がすはずなく水矢を集中させる。
「ギャン!」
ひるんだフォルグに水矢が直撃し、そのまま動かなくなった。これで後5体だ。まだ攻撃はしつこく続いているが少しは楽になり、こちらからも仕掛ける事が出来る。
しつこく迫りくるフォルグにショートソードで牽制しながら水矢で攻撃していく。かなり避けられるがジャンプしてきたフォルグにはどんどん命中していき、辺りに血をまき散らしていく。時折シンディがダークボールを飛ばすが……当たってないな。
「グルルルルル! グガア!」
しばらく攻撃は続き、水矢でフォルグを2体倒した所で3体のうち1体が唸ると共に攻撃がやみ逃げ始めた。こちらとしては戦闘が終わればいいのでそのまま見逃す。
「終わった……?」
「……終わったみたいだね」
疲れたので正直座り込みたい気分で会ったが、血の臭いで新たに魔物が現れるかもしれないので解体の魔法を使用して倒した3体を一気に解体した。
「解体……? 無詠唱……?」
「それについては後で説明するから急いでここから離れよう」
魔石と肉を回収していき、シンディを連れてこの場から急いで離れた。