110話 迷宮探索なんだが 2
110話です! 時間が……足りない!
2層に到着した。2層も森林が続いており、獣道を歩いている。1層と比べて魔物の強さはあまり変わらないが、2層の方がEランクやDランクの魔物が出やすくなるため、若干であるが難易度は上がっている。
だが、2層に入ってから3回程戦闘をしたが、未だにEランクの魔物すら出て来ていないので、ほとんど瞬殺で終わっている。
「もう少し強い魔物は出ねえかなあ」
「これじゃあ準備運動にしかならないねえ」
そのせいで兄さんたちが少し退屈そうにしている。迷宮に入った当初はあんなにもテンションが上がっていたのにもかかわらず、現在ではすっかりとテンションが戻っている。……いや、戻る分には別にいいのか。
「今度は土兎4羽ね。ようやくまともな数が出てきたわ」
「まだ迷宮内の魔物は群れ単位で生息していないようだからな。もう1年程経てばもっと出てくるだろう……よし、それではマインズとフレッツいこうか」
「やっと手ごたえのありそうな魔物が出てきたな! やってやるぜ!」
「土兎かあ……。速さには気を付けないとね」
母親がEランクの魔物を見つけたようだ。それも4羽……ゴブリンを殺すことが出来るから土兎も大丈夫だろうな。流石に瞬殺は出来ないと思うけど。
兄さんたちが土兎を見つけるとマインズ兄さんがファイヤーボールを、フレッツ兄さんが閃光を放ち、奇襲する。
土兎たちは迫ってきているファイアボールに気づいたが、その瞬間閃光が作動して辺りは眩しくなった。反射的に目を瞑ってしまった後、ファイアボールが着弾したようで爆音が響いた。目を開けると既に土兎を2羽仕留めており、残り2羽は兄さんたちに攻撃を仕掛けるが、ファイアボールが当たったのか所々怪我をしているようで土兎本来の速度が出せないでいるようだ。
「これはもう決着が付きそうだな」
「最初の奇襲がよく決まったわね」
確かにそうだな。……あ、マインズ兄さんが土兎の動きを予測してショートソードを振り落とし、脳天に命中したな。その後、フレッツ兄さんも土兎の足を切り裂いて身動きを封じたようだ。そして、とどめと言わん限りに首を跳ねた。
「解体は……あまり時間かけられないな……マリン、頼む」
「ええ、分かったわ」
母親が解体の魔法を使い、次々に肉、毛皮、魔石へと解体していく。かなり綺麗に解体できているなあ……ちゃんとイメージしなければああならないから凄いな。
「さて、もう少し行ったところに開いた場所があるからそこで昼食にしようか」
「今狩った土兎も料理する?」
「ああ、そのつもりだ」
「早く食べたいぜ!」
昼食か……そういえば今は何時なんだ? ……13時か。もうこれだけ経っていたんだな。迷宮内では時間の経過が分かりにくいな。
イリスさんたちがシートなどを用意してくれているので俺たちはその間、邪魔にならないように遊ぶことにする。当然、父親たちが目の届く範囲で遊ぶ。
「迷宮ってやっぱ凄いなー」
「そうだねえ。迷宮の中って暗いイメージがあったけど意外と明るいしね」
「何で明るいんだろうな?」
「多分だけど天井に生えている苔が原因だと思うよ?」
天井を見てみると一面に苔が生えており、発光していた。なにあれ部屋に欲しい!
「カイー、近くに魔物いないのかな?」
兄さんたちの会話を聞いているとシンディが駆け寄って来た。
「多分いないと思うけど探しに行っちゃ駄目だよ?」
「えー、少しだけやりたい!」
「それで強い魔物が出たら危ないから駄目だよ?」
「私とカイがいれば大丈夫よ!」
そんな自信どこから来るんだろうか……。確かに一緒に戦ってすべて瞬殺で終わっているが、それで絶対大丈夫とは言えないからなあ……。
「Eランクは何とかなるかもしれないけどDランクの魔物が出たら流石に危ないよ」
「何とかなるよ! 倒しに行こ?」
シンディが腕を引っ張って強引に誘ってきているけど……流石に止めた方が良いよな?
「シンディ駄目だよ……!?」
シンディを止めようとした瞬間、突如シンディの足元が崩れ落ち、引っ張らていた俺もそのまま巻き込まれた。