104話 説得をするんだが
104話です! 短いです! 1日が30時間あればいいのになあ……。
翌日の昼頃、街に援軍を呼びに行った父親が数人の冒険者を連れて帰って来た。家の窓から見ただけだがかなり強そうな人達だ。帰って来た父親に冒険者の事を聞いているともう森の中に入ったらしい。夜までには帰ってくるそうだ。魔物の数が正常に戻るまでにどのくらいの月日が掛かるか分からないが無理しない限りで頑張って欲しいと思う。
冒険者が頑張ってくれる中、保護者なしで外で遊ぶことは危ないので家内で魔法や勉強をする事は良いのだが、魔物の数が正常に戻るまではシンディが遊びに来る回数が減ってしまうらしい。魔物め……。
とりあえず何かやる事はないかな……料理と鍛冶師への説得がまだやっていないな。料理はいつでも出来るが、説得の方は早めにしておいた方が良いよな。なら、今日は鍛冶師が住んでいる家は少し距離があるらしいが説得に行こうか。一緒に行く人はイリスとイネアでいいよな? 早速誘って鍛冶師が住んでいる家に行こうか。
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イリスとイネアに今から説得する事を話してみるとイネアが少し申し訳なさそうにしていた。説得が上手くいくかどうか分からないが成功させたいな。イリスとイネアが外出の準備を終えるまで待って、早速鍛冶師の元に向かう。そして説得しようと思うのだが……。
「何度来ても駄目なもんは駄目だ! それ以外に用が無いなら帰れ!」
庭でに薪を割っていた40歳程の男性がイネアを見た瞬間に怒鳴って来た。……何回も説得して失敗しているとはいえ、姿を見るだけでそう言うのはどうかと思うのだが……。
「どうして駄目なの?」
話しくらいは聞いてくれる事を願いつつ聞いてみる。
「あ!? 小僧は誰だ?」
「俺はカイ・アイン。アイン家の三男になるよ」
「あー、確かそんな名前のやつが産まれたって聞いたな。それにしてもちっこいわりには綺麗に喋るな。そんで、どうして駄目かって? そりゃあまずは幼いからだ。せめて10歳にはなって貰わないと危なっかしいくて敵わんわ!」
……あれ? 年齢の問題なのか。てっきり性別とか自分だけが使いたいとかそのような事を言うのかと思っていたのだが。
「なら、10歳になればいいの?」
「まだ駄目な理由があるぞ! 他の人に遊ばせる素材がねえんだよ。他にも副業でやろうとしているところも気に入らねえ! それらを何とかしても鍛冶についてしっかりと理解していないのなら駄目だ。俺は教えるつもりなんてこれっぽっちもねえからな!」
……駄目な理由多すぎだ! もう少し何とかならないのか? 素材はまだ仕方ないかも知れないが副業はいいじゃないか! 週に1度か2度くらいになるかもしれないが、本人のやる気があればさ!
「……少し多すぎない? 素材は分かるけど副業は……」
「出来ないのなら諦めるんだな! ほら、さっさと帰りな!」
男性がもう何も話さないと言わんばかりに薪を割る作業に戻った。
「カイ様、ここは一旦出直しましょう?」
「……うん、そうしようか」
今日の所は諦めるしかないか。説得は厳しそうだけど鍛冶をやらせてあげたいなあ……。いっそ新しい鍛冶場を作るという案も思い浮かべたが、それをやったらさらにややこしい事になりかねないよな。これは1度父親に相談した方が良さそうだ。