101話 家に帰ったんだが
101話です!
本日2話目です!
昨日、無事村に帰る事が出来た。帰りでは行き程アクシデントという程の事は起こらなかった。ただ、父親が瞬殺したゴブリンなど魔物の襲撃以外には何事もなさ過ぎて暇でしょうがなかった。馬車から見える景色に動物などが頻繁に見えたら暇潰しとしては最高だっただが精々見かけたのは兎や50cm程のトンボの魔物くらいだ。いや、50cm程のトンボを見た時は驚いたが……それも父親が瞬殺したからなあ。ちなみにトンボはその日の夕飯になりましたよ……ゲテモノが食卓に並ぶことにはもう慣れたから良いけどね。それに意外にも美味しかったし。
家に帰ってから母親と会話しながら夕食を取った。街のことを話した際に襲撃の事で怒った母親をなだめたりもしたが1ヵ月も会っていなかったためか会話の内容は夕食後でも途切れる事はなく、寝る時間になるまでずっと話していいた。
そして今日、久しぶりにちゃんとした稽古をして午後は自由時間だが、シンディが来てくれているので庭に出て、2人でコールディの街で起きた事などを話したり、シンディが新しく使えるようになった魔法を披露してくれたりして遊んだ。披露してくれるのはありがたいけど俺を使わないで……。ちなみに使えるようになった魔法は消音という闇魔法らしい。とても便利そうな魔法だな。俺も使いたい……主にポーション作りなどに。すり潰す時に音が出てしまうからね。
日が傾いて来て、そろそろ帰ろうかとなった所でふわりんが近くでふわふわと浮いていた。……全く気が付かなかったな。探知を使ってなかったとしてももう少し周囲を見ておかないといけないな。
「わー、ふわりんだー!」
「村の中にあまり入ってこないのに珍しいね」
ふわりんは人が大勢いる所を嫌うのか村の中にはあまりいないんだよな。本能で行ってはいけないと分かるのかな?
「早速倒しちゃおうよ」
「それはいいけど……魔法を使うの?」
「うん! ちゃんと見ててね!」
シンディが両手を前に出して詠唱を始めた。俺も魔法を使う時たまにやるけど……これ今の年齢だから可愛らしく見えるけどいい年したおっさんがやればただの痛い人だよなあ……。やはり棒を買って正解だったな。10秒程経ったところで詠唱が終わった。短縮しないとやはり長いな。
「ダークボール!」
シンディの掌から禍々しい色をした球体が出現し、ふわりんに飛んでいく。だが、ふわりんの横を通り過ぎていった。そして、攻撃されたふわりんがこちらに向かってくる。
「うー! 当たらない!」
「ふわりんの動きをよく見て。そうすればちゃんと当たるから」
シンディがもう一度詠唱を始める。……距離的には後1発だけだよな。もし当たらなかったら倒さないと不味いな。
「ダークボール!!」
再び放たれたダークボールはふわりんに飛んでいき、当たった瞬間、ふわりんに入り込むようにして消えた。だが、宙に浮いていたふわりんは落ちてそのまま動かなくなった。動かなくなったふわりんを観察するとどこにも傷口がなく、魔法の傷らしきものが見当たらなかった。……ダークボールのダメージは物理ではなく心的なダメージなのか?
「やった! 倒せたよ!」
「良かったな、シンディ」
満面の笑みで振り返って喜ぶシンディを褒める。ふわりんは……後で解体するか。
「……ふわりんって美味しいのかな?」
「不味いらしいよ」
「不味いの!?」
ふわりんの死体を見て食べたくなったのかシンディがボソッと呟いたので伝えておく。どうせ食べるのなら美味しいものを食べたいからね。
「あ、またふわりんが来た!」
「え? あ、本当だ」
またふわふわとふわりんが飛んできた。
村の中ではあまり見ないはずなのに……何かの予兆か? 家に戻ったら父親に言っておくか。
「次は俺がやってもいい?」
「やっちゃっていいよ!」
シンディがダークボールなら俺はウィンドボールでいいか。無詠唱だと不味いので短縮無しの詠唱を始める。短縮してもしなくても威力は変わらないけどね。
「ウィンドボール!」
掌からウィンドボールを放ち、見事命中させる。
「よし、当たった」
「カイ凄い!」
自分の事のようにシンディが喜んでくれるので嬉しくなるな……俺ちょろいな。
ふわりんは解体するため、俺が倒したふわりんをシンディが倒したふわりんの所に置いておく。
「そろそろ家に戻ろうか」
「うん!」