100話 家に帰るんだが+α
祝、100話! 皆さん、明けましておめでとうございます! 正月記念ではないですが今日は2話投稿となります! 次話は10時に投稿します!
*タイトル通り軽い閑話がありますが、飛ばしても今後の展開に全く関係ないです。
翌日、父親は買い物に出かけた。兄さんたちは兄さんたちでメイドさんを連れて買い物に出かけた。父親と一緒に行動すればいいのではないかとも思ったが、子供だけで遊びたいのだろう。……メイドさんは大人だけど。
まあ、俺としては兄さんたちが買い物に出かけることで稽古に集中出来るので構わないけどね。
棒を持ち、宿の裏で稽古を始める。最初は木刀を扱うように棒を縦に振り、横に振り、斜めに振り、最後に突いてみたりと素振りをしていたが木刀と比べて少し違和感があるな。木刀と比べて重心が違い、持ち手の感触もまた違う。だけどそれはずっと扱っていればそのうち慣れるだろう。
30分程素振りをしたので次は久しぶりに練習する事になる魔法を使っていこうか。とはいえ初級の魔法を詠唱をしておかなければどこで気づかれるか分かったものではない。後、属性は1つの属性のみを使用する事にしておこうか。トリプルは珍しいらしいからね。となればパーティ会場で使った風属性がいいだろうな。
「風よ、ソフトウィンド」
少し魔法を扱いやすくなった……のか? 違いが分からないな……もしかしてやり方が不味かったのか? たしかソフトウィンドが発動した時、手から魔法が出てきたから棒を介して行わなければ扱いやすくならないのかな? やってみれば分かるか。
「風よ、ソフトウィンド」
あー、確かに扱いやすくなったな。意識しないと分からないレベルだが、ないよりはまし……と言う感じかな。もっと難易度の高い魔法なら分かりやすいとは思うが、ここでそれを使う事は流石にしない。それは家に帰ってからだな。後、何度か練習をしてから宿に戻ろうか。
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「よし、では出発しようか」
棒を扱った翌日、馬車が出発してコールディの街を出る。パーティに参加したり、決闘を申し込まれたり、買い物をしたり、様々な人と出会ったり、厄介事に巻き込まれたりと普段と比べて色々な事があったが、魔法を扱えることはばれてしまったが、転生者の事はばれていないので本当に良かった。でも、人の死体を見る事はしばらく勘弁したいなあ。
「ようやく帰れる―!」
「帰ったら何をしようか」
兄さんたちはようやく帰れるためかいつもよりテンションが高いな。まあ、賑やかになるから良い事だろうけどさ。でも、帰ったらか……シンディと遊んだり、狩りにいきたいな。そして狩った食材で料理をしてみたいな。後、村にある鍛冶屋にも行ってみようか。店から帰って来たイネアの笑みを見ると帰ってからもやらせてあげたいからね。……色々とやりたい事があるな。まあ、5歳までに全部やってしまえばいいな。
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軽い閑話
「今回の被害が王都にまで伝わるとなると弱みになってしまうな……どうしたものか」
コールディ伯爵は執務室で唸っていた。それもそうだろう。襲撃前に予想されていた襲撃者数よりも数倍多く、多大な被害を負ったのだから。
「救いと言えば参加者に死者が出なかったことか……」
コールディ伯爵の奴隷嫌いは奴隷を扱う他の貴族は視界に入るだけでも嫌気が出る程である。今回の事件では奴隷を扱う貴族への腹いせとして街に潜んでいる襲撃者をおびき寄せ、恐怖を与えるという些細な嫌がらせをするつもりであり、会場内で襲撃者を殲滅出来ると考えていた。
「だが……こんなにもいたとはな……」
机の上に置いた1枚の報告書を見ながらため息をつく。そこには賠償金を含む、襲撃の損害額が書いてある。その額はこの領地で得られる利益の半年にも及ぶ。調度品や設備などの破損だけではそこまでの額に至らなかったが、貴族への賠償金が予定していた額よりも多く出さなければならなくなってしまったためここまでの額になってしまった。
「本当に……本当に忌々しい……」
頭を抱え、どうするか必死に考えるコールディ伯爵であった。