99話 無事助かったんだが
99話です! 次の投稿は1/5となります。出来れば5日に連続投稿出来たらいいな……。
パーティー会場から出ると通路でも戦いの傷跡があり、襲撃者であろう死体が転がっている。本当に襲撃者は何人いるんだ? これだけの被害を出すのなら100人は確実にいると思う。それだけの人数が動くという事はただの盗賊……などではないよな。もっと規模が大きい組織からの指示が出ているのだと思う。でも伯爵が開催しているパーティー会場を襲う事が出来る程の組織って伯爵よりも地位の高い組織になるよな。襲撃者は目的の物が欲しいと言っていたが、地位の高い組織が狙う物って何だろうか?おっと、今それを考える時ではないよな。
父親が先頭、ライルさんが殿、その間に俺たちという形で出口まで歩いていく。どこが安全か分からない以上外の方が安全だろうという判断だ。もし外に待ち伏せをしていても父親とライルさんが何とかしてくれる……と思う。
通路を歩いている最中に襲撃者が襲ってくる……なんて事はなく外に出れた。外にはパーティー会場にいたであろう貴族たちがいる。どうやら怪我をしている人がいるみたいで腕を抑えながら早く治療をしろ! と叫んでいる人もいる。
「どうやら半数程の貴族が既に避難していたみたいですね」
「そのようですな。まずは現状を知りたいですな……丁度知り合いがいたので少しばかり現状を聞いてきますぞ」
「じゃあ私は子供たちの様子を見ておきましょう」
「エファの事を頼みましたぞ」
ライルさんは他の所に行き、情報収集するようだ。
「では、ここだと後から来る人の迷惑になるだろうからもう少し歩こうか」
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あの後、情報収集から戻ってきたライルさんがここにいる人たちはほとんどが怪我人らしく、怪我をしていない貴族は既に帰っていることを話してくれた。それを聞いた父親が兄さんたちと共に歩いていた子供たちの親を見つけ出して再会させた。親は子供たちの安全を確かめると父親に感謝をして、小袋を渡していた。善意で保護していたであろう父親は苦笑いしながらも受け取っていた。
全員を親の元に送り終えた頃にはほとんどの貴族たちが帰っていったので俺たちも馬車に乗って宿に戻った。既に街は襲撃の事を知っているのか外で歩いている人はあまりいなかった。当然街の中でまた襲ってくることはなく宿に戻ることが出来、夕食を食べた後、疲れていたようですぐに寝てしまった。ちなみにその日の夢は悪夢であった。思ったよりも精神的に参っていたようだ。
翌日、朝早くから父親は何か手伝えることがあるかもしれないから行ってくると言い、コールディ伯爵の下に行き、夕方頃に戻ってきた。そして、今回の襲撃について教えてくれた。
まず、襲撃者の数は死体の人数だけで300人を超えたらしく、かなり大規模な襲撃になっていたらしい。だが、襲撃者以外に死者は数名だけであり、その全員がコールディ伯爵の護衛であったらしい。……被害が少ないのは良い事がと思うのだが、いくら何でも被害が少なくないか? 父親に聞いてみるとどうやら今回の襲撃者はほとんどが低レベルの盗賊であり、数名を除いた全員が弱かったらしい。まあ、襲撃がある事が漏れている時点で襲撃者の強さはお察しだな。
次にコールディ伯爵についてだが、今回巻き込んでしまったパーティーの参加者全員に謝り、お詫び金を渡したらしい。まあ、死ぬ可能性があったのだから謝るだけでは足りないよな。でもコールディ伯爵は今回の襲撃に気づいていたはずなのに何故襲撃を許したのだろうか? また父親に聞いてみるとコールディ伯爵からは何も言わなかったらしいが噂では街に入り込んだ敵対者を一掃するために誘い込んだらしい。つまり俺らは囮だったのか? だとしたらコールディ伯爵最悪だな。こちらを巻き込まずに自分の街は自分で何とかして欲しい……。まあ、噂は王都にまで流れているらしいからコールディ伯爵の信頼性が低くなるかもしれないな。
最後に今後の予定だが明後日に帰るらしい。明日ではない理由は食料の購入などが必要だからだ。他にもドナンドの街では買えない村に必要な道具なども買うらしい。父親がお詫び金などで増えたお金の分沢山買う事が出来るなと喜んでいた。
俺は明日……どうしようか。買い物の際に買った棒を使って稽古してみるのもいいかもしれないな。中級魔法以上は使うと不味いから棒の扱いの確認と棒を使った場合の初級魔法を試してみようか。