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親友と異世界転生  作者: おしゃか
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父クラウディ・ダッドの場合

これは双子を授かったとある父親のはなしである

わが領土に異変が現れたのは息子たちが3歳になったあたりからだろうか。


私は領主だと言うのに領民を豊かにすることができずにいた。

それも仕方がないことだと諦めていた。


私は広大な領土を管理していたがそれは不毛の大地であった。

土地は痩せており、町から出ればモンスターにかこまれた何とも立地の悪い領土である。


どれだけ種を植えようと育つ作物は微々あるものであり、モンスターにつけられた傷は日を追う毎に悪化するのだ。


しかしそれはどこの土地でも大差はないことであった。

どこの領土も頭を悩ませる。



ある日変化が訪れた。

私のすむ屋敷の近くの畑の土が柔らかくなったのだ。

ついにこの土地は終わったのだと思った。

通常畑の土は種を植えた後、大地の力をより多く種に取り入れるため土を固めるのが常識である。

それが屋敷を中心に土が柔らかくなり、この土地は呪われたと言う噂まで流れる始末だ。


しかし結果は違った。

呪われるどころか私の屋敷の近くの畑の生産量は上がったのである。

広まっていた呪われた屋敷と言う噂はそのまま反転して祝福を受けた屋敷とちらほらと領民たちで広まっていった。


息子たちが8歳になった。

祝福の屋敷の噂は広まり、民は息子たちに優しく接してくれた。

すると、屋敷近くの畑だけでなく離れた場所の畑まで土が柔らかくなったのだ。

すでに畑の噂は広まっており領民は喜んだ。

そして実際に生産量が飛躍的に上がったのである。

領土は少しずつ豊かになり、息子たちもすくすくと育った。

私は幸福を感じていた。


この世界には十歳になる頃、魔法の適正を教会で聞く風習があった。

今年で私たちの息子も十歳になる。

町では、息子達は有名になっていた。

息子が訪れた畑は土が柔らかくなり、よく畑仕事の手伝いをしていた。はじめは皆が止めていたのだが領主の息子に強く言える者はおらず、しっかりと働いてくれるダーティとテストは皆に愛される存在になっていった。


そんな息子達の儀を見ようと領民達も集まっていた。

普段は家族くらいしか集まることのない儀式にこれほどまでに集まるとは、領主の私より息子達は愛されているのだと嬉しくも悲しくもなった。


神父「これより祝福の儀を行います。それぞれ扱える魔法の属性は異なり、それを活かすように精進してください。」


この世界には魔法に属性と言うものがある。

炎、水、風、土、光、闇に分類され適正のある魔法を生成できるのである。

逆に言えば適正のない魔法はほとんど扱えず皆が息子の適正魔法を心待ちしている。


神父「まずはクラウディ・テストくん。この水晶に手をかざしてもらえますか?」


テストが水晶に手をかざすと水晶は赤く光だした。


テスト「どうですか?」


神父「この色はテスト君が炎属性であることを表しています。魔力も少なくないのでこれからの人生で大いに役立つでしょう」


テストの結果をみて領民達が盛大な拍手を送るのをみてわたしは純粋に嬉しく思う

炎属性とは魔法のなかでも優れた属性であるからだ。

冒険者にも多く日常でも大いに役立つだろう。

順当にいけば兄であるテストが領主を継ぐだろう。

本当に息子が生まれてから良いことが起こり続けている。


しかし


神父「つぎはクラウディ・ダーティくん。」


ダーティ「はい」


私は絶望した。

これからダーティが歩んでいく人生で訪れるであろう苦難に。


神父「これは…地属性ですね。、、、魔法がなくても剣の技術で高みに上り詰めた方もいます。これから努力すれば道は開けるでしょう」


そう、地属性は不遇なのだ。

火属性は炎をうみだす。

炎は万能だ。攻撃に使え、モンスターは炎をきらう。


水属性は水をうみだす。

水は命を繋ぐ。作物を育て、人を潤す。


風属性は風を生む。

風は人々を助ける。仲間に声を届け、敵を切り裂く。


地属性

これは土をうみだす。

だが…

土はどこにでもある。意味がないのだ。我々は土の上に暮らしているのだから。

その意味のない属性から、世間で地属性は魔法を使えないとさえ言われている。


いま目の前でダーティは自分の適正を聞いて嬉しそうにしているのだが。

しかし領民は何とも言えない顔でしめやかな拍手を送ってダーティを眺めているのだ。


わたし、クラウディ・ダッドは

息子達の人生が幸せであることを祈る

地属性の勇者の話ってなかなか無いですよね。


かなしいです

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