バカとツンデレという凄い組み合わせ
「できたー」
私は、新しい腕をトーラの肩の部分に縫い付けた。トーラは満足げに、その新しい腕を動かしている。
「にしても、自分の操人形をどっかにおとしてくるなんて、本当にバカだよな」
横でその光景をちらちら見ていた博也が馬鹿にしてくる。トーラはそれに不満げだったが、私はそれをなだめた。
その後、またしばらく店内をうろうろしていると、カウンターにいた希姫さんに話しかけられた。
「そういえば、もうすぐ狂人形討伐作戦が学校であるらしいじゃん。んで、博也君のペアが乃愛ちゃんなんだよね?」
「え!?知ってたんですか!?」
「うん。博也君に聞いた」
おのれ白井 博也……この恨み、 末代まで忘れはせぬぞ……!
「なんか、その日の準備とか無いの?手伝えることあったら言ってね!」
「ありがとうございます!」
それにしても、もうすぐ討伐作戦の決行日か…。楽しみだな。
赤い夕陽が私達を照らす。公園で笑顔で遊んでいた子どもは徐々にいなくなり、仕事帰りの大人は、そそくさと家に帰る。夕方とは、なんだか清々しい。
私は今、その雰囲気に浸れない。いつもはそんなことはないのに。
理由は、私の横に、あの忌々しい白井 博也がいるからだ!
お互い全く言葉を交わさない。そもそも帰る場所が同じなのだから、帰る道も同じなのは当然じゃないか!だから話す必要などは無い!
しかし、なぜか先に話しかけてきたのは、白井の方だった。
「…なあ」
私はジト目で奴を睨みつける。
「はいぃ?何か用でもぉ?」
「用が無いなら話しかけないだろ。ていうか、まだ何も話してないのに腹立つ奴だな」
また言い合いになる。どっちもどっちではあるが、やはり嫌な奴だ。
はぁ……もうすぐ討伐作戦なのに、先が思いやられるな…。
「で、何が言いたいの?」
本題に戻る。たいした用ではなさそうだが。
「…討伐作戦………ろうな」
「聞こえん」
「……頑張ろうな」
「パードゥーン?」
「あ、足手まといになるなよって意味だ!てかその言い方やめろ!腹立つ!」
そう言った後、白井は走って先に帰った。何?ツンデレなの?
まあ、いっか。
なんか後ろから大量の女子の視線を感じるけど、気にしない気にしない。私は、白井 博也のストーカーどもの冷たい目線にも動じないのだ。
陽がさらに落ちてきたので、私も小走りで寮に帰った。