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人形操士NOA  作者: 菜柚月
学園生活編
3/14

白井博也

気がつくと私は、小さな部屋の二段ベッドの上にいた。もう夜のようだ。

よく見ると、枕元に人形の姿のトーラがあった。そうか。急いでグラウンドに突っ込んでから気を失ってたのか…て、結局私合格したの!?合格した気しかしないけどなんか不安!

すぐに起き上がってベッドを離れ、その部屋から出た。すると部屋を出た先には、同じくらいの年の女子が二人いた。ひとりは見るからに穏やかそうな雰囲気で、もうひとりは眼鏡をかけていて勉強ができそうだ。

「あ、乃愛ちゃん……だっけ〜?気がついたんだね〜。ギリギリ試験には合格したみたいだね〜」

「無事で良かったです。あの時は確実に死んだと思いました。あなたの驚きの生命力にはある意味尊敬します」

「な…なんか今の状況がよく飲み込めないんだけど……ありがとう」

合格と聞いてほっとした。

どうやらここは女子寮らしい。三人で一部屋のようだ。この二人と同じ部屋らしい。

三人は部屋の中へとまた戻った。部屋の中心には小さな丸いテーブルが置いてあり、三人はそこで自己紹介をし合うことにした。

穏やかそうな方は『岸本 流希』。使う人形の奥義のタイプは『土』。

賢そうな方は『野嶋 筑紫』。使う人形の奥義のタイプは『水』。

操人形の奥義は『炎、水、風、雷、土、光、闇』の七種類のタイプに分けられていて、それぞれ違った技になる。ちなみにトーラは『炎』。そしてこれらには、ゲームなどでよくあるような、タイプの相性などは特にない。

自己紹介も終わり、私二人と世間話などで盛り上がり、二人とももう馴染んでいた。


次の日の朝。私は特に何を考えるわけでもなく、教室に入った。

「おはよーございまーす…あれ?なんであんたがうちのクラスにいるの?」

そこには、試験で落ちかけるきっかけとなった、あの白井 博也が。

「ああ、お前はあのとき俺の倒した狂人形を横取りしようとしたり、空から降ってきたりした奴か。そういえば試験にギリギリ合格してたな。お前みたいな奴は不合格で当然だと思ってたんだが、意外だな」

またしても酷い言われようだった。かなり腹が立った。

でも、試験のときになんか見たことあるなーって思ったけど、こいつ私の隣の席かっ…!

一日目の授業のときに軽く顔は見ていた。試験のときの既視感はやはり本物だった。さらに腹が立った。


午前中の授業を終えて昼休みになった頃、私は広い校庭を軽く散歩していた。すると背後から声をかけられる。後ろを振り向くと、こちらもまた既視感のある金髪の女子がいた。

「…あの…私、博也様の…操人形…の…ル、ルトナと申します!あの…えっと……せ、先日は、博也様がご迷惑を…おかけしました。申しわけございませんでした!…で、でも!博也様は悪い方ではないんです!根は…すごくいい人なんです!」

私に軽く話しかけただけなのに、ルトナちゃんは今にも泣きそうだった。極度の人見知りみたいだ。主の白井とは性格が真逆だ。

それにしても、操人形の人間フォルムって普通の人間とほぼ変わらないから、一瞬普通の人間かと思った…。

「え、そんな…いいよいいよ。別に気にしてないから(めちゃくちゃ気にしてるとか言えない)大丈夫だよ!」

私はできる限り優しく声をかけてあげた。するとルトナちゃんは安心したのか、「な、なんだかありがとうございます!」と言って走り去っていった。

あの子とはなんだか仲良くできそうだな……軽くそんなことを思いながら散歩を続けていた。すると、また背後から声をかけられた。その声の主は流希ちゃんだった。

「え〜!?今のってあのルトナちゃんだよね〜?何言われたの〜?」

「何って…いろいろと謝られた」

私は流希ちゃんに、試験のときのことを全て話した。もちろん白井のことも。

「乃愛ちゃん凄いね〜あの博也君にも会ったんだ〜!いいな〜」

「あの博也君…て言ってるけど、あいつってなんかの有名人かなんかなの?」

私が白井を知らないということに、流希ちゃんは驚いていた。流希ちゃんは丁寧に説明してくれた。

「知らないの?人形操士界屈指の有名人だよ〜?最近有名になったばっかりなんだけど、大会での優勝回数も凄いんだよ」

人形操士には、人形操士同士で戦って腕を上げる者も多く、その大会も頻繁に開催されている。私は大会に出場したこともないし、人形操士同士で戦ったこともない。だから、他の人形操士のことなど全く知らなかった。

「え?あれってそんなに強かったんだ」

白井をあれ呼ばわりしたことは今は置いておく。でも、あのときの狙撃の腕前が凄かったのは事実だ。あの距離から、小さなクリスタルを撃ち抜けたのだから。

この学校には顔も知らない人形操士が大勢いる。そして、どれも強さは計り知れない。もっと強くならないと。もっと鍛えないと。

私は流希ちゃんと別れ、授業に戻った。


夕方寮に戻るとき、あるものを発見した。今さらといえば今さらだけど、人形操士同士の試合で使う、大きなドーム型の試合場のようなものを見た。私がひたすら不思議に思っていると、一緒に寮に戻っていた筑紫ちゃんが説明してくれた。


試合場は決まった形が無く、環境などもさまざま。ときには日差しの強い砂漠、ときには大雨の降る熱帯雨林、ときには建物の中など、ドームの中はいつでも変幻自在なんです。

試合場は学園内にいくつもあり、学園内で大会などが行われるときなどに役立っています。ちなみに試合場は大会のときにしか使えず、練習試合や強化トレーニングのときは、グラウンドにコートを自主的に描いたり、専用のトレーニングルームを使うんです。あ、授業で試合をすることも多いんですよ。


…とのことだった。


私は明日からトレーニングルームを使って強くなっていこうと思った。打倒白井!

…一方トーラは。

「乃愛様の頭の中が白井 博也一色なのです。彼奴め……いつか暗殺してやります」

と、ふてくされていたみたい。

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