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人形操士NOA  作者: 菜柚月
学園生活編
11/14

狂人形討伐作戦-③-

「え、全国大会?優勝経験があるとは聞いてたけど、まさか全国大会レベルとは…!」

「これぐらい当たり前に倒せる。

って、まだ討伐作戦は終わりじゃないぞ。先に進もう」

「まって、トーラ治してから行く」

ったく、布製の人形は脆いな。すぐパーツがとれる。



トーラの体を完全に修復し終わった後、俺たちはさらに奥に向かった。

いたるところから、爆発音や打撃音が聞こえる。皆それぞれ戦っているのだろう。

「わっ!」

櫻井が、足を滑らせ転倒する。毎度毎度何をやってるんだ。

「置いてくぞー」

こいつなら一人でなんとかなるだろ。俺はさっさと歩く。

「まてまてまてー!」

カサカサと音を立てて四足歩行でこちらに向かってくる。ゴキブリかっ!もしくは、それでも高一女子か!

「ちょっ…怖いわ!」

櫻井の顔が謎の狂気に満ちていたので、怖くなって走って逃げる。


こいつ、ちょっと前からなんか変わったような気がする。前は、ごく平凡……かはわからないが、ただ明るい女子高生という感じだった。今は…さらに変になったというか、良く言えば明るくなったというか。

ん?俺、前はこんな気持ちになったことないぞ?かく言う俺も、ちょっとは変わったのか?

…いや、前は皆俺を特別扱いする奴ばかりだっから、特別扱いしないこいつとただ仲良くしやすいだけなのかもしれない。

などと考えていると、木にぶつかった。木がみしっと音を立て、頭の上に葉が何枚かおちてきた。

「あ、あんなところに神社みたいな何かが!」

俺が木にぶつかったことなどは無視し、櫻井が前方を指差す。

その先には、薄暗い森の中に不気味にそびえ立つ神社のようなものが。これまたかなり苔むしている。かなりの間、人間が立ち入ってないように見える。

「ここには入らない方がいいと思う。嫌な予感がする」

「うー……扉は開かないかー」

「は、な、し、を、聞、け…!!」

櫻井はいつの間にかその建物の引き戸を開けようとしていた。

「まあ、開かないんだったら諦めろ。無理して開けることな」

「お、開いた」

「開いたんかい!」

その中に躊躇(ためら)いなく入ったとたん、中から悲鳴が聞こえた。

「大丈夫か!?」

俺もすかさず中に入る。するとそこには、抜けた床にはまっている櫻井が。自力で無理矢理出ようとしている。

「何やってんだ全く……ほら」

「えへへっ、ありがとう」

手を差し出すと、苦笑いを浮かべながら手をとってきた。こういうのは……なんか苦手だ。

「よいしょっと。…そういえばここって、何するところだろ」

櫻井が、入り口の反対側を見ながら問いかけてきた。

俺は、少し冷静になってみる。

櫻井の目線の先に目をやると、そこにはその建物の雰囲気に似合わない、重そうな鉄の扉が。

鉄の扉には、太い鎖が何重にもかけられているうえに、大量の奇妙な札のようなものが貼り付けられている。

外からの人間の侵入を防いでいるのか。あるいは、中に何かを閉じ込めているのか。

開けるのにはかなりの勇気が要りそうだ。禍々しいような、不気味な気配が感じられる。

「こういうのって、ホラーゲームとかでよく出てくるあれだよね」

「なっ」

「中からドンドンドン!ドンドンドン!って」

「変なこと言うなよ!」


ドンドンドン!ドンドンドン!


部屋じゅうが大きく揺れると同時に、扉の向こうから獣のようなものの咆哮があたりに響き渡る。

俺たちは突然の揺れに耐えられず、軋む床に倒れこむ。

どうやら、何かが叫びながら扉を強く叩いているようだ。

扉を叩く音は止まない。耳を塞ぎながら、櫻井が口を開いた。

「こ…れは……な……ね」

轟音により、人間の声は聞こえにくい。

「何?」

「あのドア開けてみないとね!って!」

櫻井が少しずつ立ち上がり、扉に近づき手を伸ばす。

「お、おい!何がいるか分からないんだから触るな!」

「え?」

そのときにはもう遅く、櫻井はその扉に触れてしまっていた。


すると、声も揺れも止んだ。それと同時に、扉を覆っていた鎖と札が剥がれ落ちた。

「櫻井、扉に何したんだ?」

櫻井は扉を見つめながら黙っている。

揺れも止んだので、櫻井に近づく。

「櫻井?」

「え?あ、ごめん今ぼーっとしてた」

櫻井が、はっとしたようにこちらに振り返る。

「あ、でもドア開けれるっぽいよ。入ってみたら何かあるかも」


ガチャッ


扉は意外にもあっさりと開いた。

扉の先は、学校の教室一つ分ほどの大きさの、殺風景な部屋だった。やけに天井が高い。

部屋の中心には、石でできた丸い台のようなものが立てられていて、その上に小さな何かが置いてある。何だろう。

特に何も考えず、なんとなくその何かに手を伸ばす。

だがその瞬間、どこからか視線を感じた。

すぐにあたりを見渡す。いるのは、ぼーっとしながら壁を見ている櫻井だけ。他の誰かがいるはずもない。

そんなことを考えていると、気づかないうちに、櫻井が石の台の前に来ていた。

「これ、なんだろ」

櫻井が何気なくそれに触る。俺はそれを止めようとはしなかった。


「うわっ!」


光が部屋じゅうを包み込む。

光の眩しさに、思わず目を閉じる。

しかしその光はすぐに消え、部屋は静寂に包まれた。

「……?」

櫻井の目の前には、黒い衣装を身にまとった青年が。

「誰だ」

「あー面倒くさいことになったー……んぁ?俺に聞いてるのか?」

青年は面倒くさそうに答える。

不思議なことに、櫻井が青年に全く反応しない。というか、立ったままピクリとも動かない。

「俺か、俺は……なんていうか、そこにいる娘さんの見張り?ってとこかな」

娘?見張り?この部屋には俺と櫻井とその青年しかいないはずだが。

…まてよ?その娘?もしかして櫻井のことか……?

乃愛ちゃんと博也くんの距離が若干縮まりますw

ツンデレな博也くん可愛いww

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