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第九話 春と”昇級試験”

ハルはAランクの昇級試験の受験を決意する。









昇級試験

7月の日程

一日、Aランク昇級試験

二日、Bランク昇級試験

三日、Cランク昇級試験

四日、Dランク昇級試験


午前 筆記試験     午後 実技試験


自身のランクよりも上位のランクであれば、どの昇級試験を何度受けても良い。

つまり、Eランクの人間がAランクへの昇級試験を受けてもいいのである。


昇級試験の注意事項。

・替え玉受験は本人かつ承諾した者両方を退学とする。

・自身のランクから下位の昇級試験を受けてはならない。

・筆記試験と実践試験両方で合格しなければ昇級はできない。

・能力の使用に制限は無いが、相手を死に至らしめる能力の使用を禁ずる。(そういった能力の場合。特別措置として2段階の試験を用意する)

・能力を特に申請する必要は無い。

・能力を使用するのに必要な道具の支給はしない。



7月昇級試験運営委員長”ヴェイン・クロクラル”












場所は食堂。

「ハル君はバカですか!!?」

「あ?何でだよ!?てかお前にだけはいわれたくねえ。」

「Aランクの昇格試験は毎回バトルロワイヤル形式で理事長に認められた生徒しか昇級できないんですよ!

というかその前にハル君、能力まだ開花して無いじゃないですか!!」

「バカだなお前。昇級試験までに見つけるにきまってるだろ。」

「簡単にいいますね。まったく話になりません。私はDランクの筆記試験の対策で必死だと言うのに・・・

ハル君が受けるのはAランクだけなんですか?」

カレーを食べるハルの手が止まる。

「そんなわけねえだろAランクがダメだったらBランクだな。」


どうすれば能力を見つけることができる?

先生は”経験”が能力を知る唯一の方法だとは言っていたが、的外れなことをして時間を潰しちゃ意味は無い。

なにかないか?能力を見つける効率のいい方法は・・・


「Bランクがダメだったら?」

「Cランク。」

「Cランクがダメだったら?」

「Dランク。」

「Dランクがだめだったら?」

「Eランク。」

「・・・・・適当に答えてますよね?」

「Fランク。」

「・・・・・・・」

ハルにカスミが怒る。



食堂にはBからEまでの60名の生徒が集まっており、席もすべて埋まっている。

カスミの騒ぎ声にある生徒達が反応する。

「・・・・あいつらたしか・・・」

「俺知ってるぞ。今日から入ってきた雑魚新入生と、万年Eランクのカスミちゃんだ。」

「すげえよな。7月までEランクに居続けるなんて・・・よっぽど才能がないんだろうな」

ハルとカスミをののしるのはDランク、紅葉高校2年の男子生徒3人。



「分かってるんですか!ハル君!!」

「Nランク。」

「ムキーーーー!」


「おい!お前らうるせえんだよ。てか座るところねえからよこせ雑魚!!」

カスミがDランクの上級生に押され床に倒れこんでしまう。

ハルがカスミに駆け寄る。その瞬間3人の上級生がハル達が座っていた椅子を奪う。

「カスミ!?大丈夫か?」

「いてて・・・はい・・大丈夫です。」

「おい!別に突き飛ばす必要はねえだろ。」

3人の上級生がハルを見る。

「なんだお前・・・上級生でランクも上の俺達に向かってタメ口か!?オイ!!!」

「席が無いんで譲ってくれませんか?の一言も言えねえ上級生に敬語を使う必要はねえよ!!」

「やんのかてめえ!!?」

相手がハルの胸倉をつかむ。

ハルもつかみ返す。

「やめてくださいハル君!カテドラルでは自分よりランクが上の人に手を出したら退学になる校則があるんです!!」

上級生3人はクスクスと笑う。

「なんだそりゃ・・・うぐっ!!」

ハルは上級生に殴られる。

「お前校則も知らねえの?さすがEランク。」


「てめえ!!!」

ハルは完全にキレるが、カスミが静止する。

「ダメですハル君!!!」

ハルに突っかかる上級生達だけではなく、他の食堂にいる連中もハルとカスミを笑う。


「行きましょうハル君!!」

ハルはカスミに連れられ食堂を出る。








「サンキューな・・・退学になるなんて知らなかった。」

「この制度は実際学校で上級生よりも上のランクに上がった下級生を守るための制度なんです。

昔、そういう傷害事件があったらしくて・・・・」

「そうか・・・じゃああいつらよりも上のランクに行けばいい話だな。」

ハルは立ち上がり、どこかへ向かう。

「ハル君どこ行くんですか?」

「部屋に戻るわ!昇級試験の準備をする。」

「そ、そうですか・・・・私も筆記の勉強をしなくては!」

メガネをかけるカスミ。









7月1日 am0:02

Aランク昇級試験当日。

落書きされた紙、たくさんのDVD、玩具や文房具がハルの部屋を埋める。


どうする。

能力の”の”の字も見えてねえ!!!!???


頭を抱えるハル。


Aランクの昇級試験は毎回バトルロワイヤル形式。

やはり能力の開花が必須だな。

しかし、もう間に合わん。

俺の能力開花はひとまずあきらめよう・・・・。

ハルは授業中のあのボールペンの爆発を思い出す。

「あのボールペンさえあれば・・・・」


ハルは部屋を出て職員室へと向かう。

「いったいどこにあるんだ職員室?」

暗闇のカテドラルを歩き回るハル。




ガチャ!!

一つのドアを開ける。倉庫のような場所で3、4枚絵が飾ってある。

「職員室・・・・なわけないか・・・・・・?」

4枚の絵のうち変な絵をハルは見つける。

その絵はゴミ袋や女の子のフィギュア、テレビ、しかれたままの布団

そして布団に包まり、テレビを見ている男が描かれていた。

「ニートの絵?・・・・センスねえええええ!?」



早々に部屋を出ようとする。

「そこのキミ!何をしているのです!?」

ライトを当てられるハル。

「やばい!」

ハルは走って逃げるが


ハルを見つけた教師は本を取り出し、ページをめくる。

「いきなり逃げるなんて、節操の無い子ですね。」

本のページには大きな檻が描かれており、その檻が光ってページから消える。

すると、ハルの上に檻が現われる。

ハルの上から檻が落ちてきてハルは捕まってしまう。


「なっ何だ突然!?」

本を閉じてハルの元へ白衣を着たメガネで金髪の男が現われる。

「落ち着きたまえ。まずキミは何者だ!?ここの生徒か?ランクと名前を名乗れ。」

檻をつかみ白髪の科学者のような若い男に名を名乗る。

「Eランク。鶴見春・・・・です。」


「鶴見君・・・一体こんな時間に何をしていたんだ?」

「・・・・・・」

「答えなさい。私はカテドラルの教師だ。今週の昇級試験を参加不可にすることもできるんだよ。」

「!!・・・・便所に行こうとしただけです。」

「寮の部屋一つ一つにトイレはついているはずだが・・・」

「トイレが故障したんです。」

「・・・・・面倒だな。ちょっと荒っぽいけど」

科学者のような教師は本を開き、ページをめくる。

大きい機械と机、椅子、ハルを押さえつけるためのロープを本から出す。

機械は嘘発見器。

ハルは科学者のような教師にすべてをはかされる。


「キミの反応を見る限りでは、昇級試験のために何かをしようとしていたようだね。」

どうやらローズ先生のボールペンを奪うという作戦はばれていないようだ。


「そして分かったことがもう一つ・・・・キミ、EランクなのにAランクの昇級試験を受けるのかい?無謀すぎるとおもうけど。」

「えっ?」

「ふむ。そしてAランク試験にそなえ少しでも情報を集めるために夜のカテドラルに入った。というところかな。」


ほぼばれていた。


「俺どうなるんですか?」

教師は本を閉じる。

「安心したまえ。このことは黙っておこう。その代わり今すぐ寮に戻りたまえ。」

「・・・・はい。」


はあ・・・・よかった

くそっ!今日どうするかな・・・・


嘘発見器はハルのAランク昇級試験参加の情報の他にそれを諦めようとする考えもわずかに読み取っていた。

「無能力のまま・・・・Aランクの昇級試験に合格した生徒が過去に一人だけいたのを君は知っているかい?」

「えっ?」

「野獣のような奴でな。能力者など蹴散らして、Aランク認定をもぎ取った奴がな。

お前は賢そうな奴だ。お前が何をするのか、明日を楽しみにしているぞ。」


「・・・がんばりまーす」

気の無い返事でその場を後にしようとしたハルに科学者のような教師は一言かける。

「これは僕の独り言だが、昇級試験の説明用紙の注意ごとに書かれていないことは”何をしても”いいんだ。”何をしてもね”。」


たしかにそうだが限度ってものが・・・


「昇級試験を組み立てた人間いうならならまだしも・・・」

「その組み立てた人間。7月の昇級試験実行委員長は私”ヴェイン・クロクラル”は私だ。」


「まさか!?」

「明日を楽しみにしているよ。鶴見ハル君!」

ヴェインは去る。


いいことを聞いたぞ!!!

これならチャンスはある!!

今夜は寝ずに準備をしなくては!!


「彼は綺麗な色になるだろう…楽しみだ。」






ハルはAランク昇級試験のために準備を始める。








7月1日 am9:30

Aランク試験開会式

Aランク昇級試験を受けるのはハルを含め24人。

場所はカテドラル学院のある教室。



「Aランク昇級試験の説明を始める!!!」

ローズ・エドウィン先生が声を張る。

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