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第四話 春と秋と”表と裏”

朝。激しい雨音でアキは起きた。





かなりのだるさを感じる。

五月病を思いつくが、今は六月だということを思い出し、この現象を六月病と安易な思いつきで命名する。

「朝だぞ!早く起きろよ姉ちゃん!」

母親よりも母親らしい弟が私を起こしに来た。

まだ今日は火曜日、週の終わりはまだ遠い。

朝アキが飽きてまず一番最初に行うことがある。それは祖父の絵を調べること、6年前から毎日続けており一度も欠かしたことは無い。


地下室の扉を開けようとした瞬間にハルが私の肩をつかみ地下室の入室を禁じた。





ザーーーーーーーー

雨で水浸しの学校、周りは7:00前だというのに、まだ薄暗い。

黒光りしたリムジンがいつもより20分早く学校に到着する。

いつもは、この豪華さに紅葉高校に通う生徒、教師が必ず一度は振り向き、気分が良くなった状態で学校に通うのだが、今日はギャラリーが少なく、いつもの調子をだせずにいた。




ガラガラ

「あら、みなさん。おはやいのですね。」

美術室にはすでに、唯、名護、吉田、長身の男がいた。


「今日は雨だからねーーーーー。」

「雨?何か関係がおありで?」

「雨の日は濡れたところを拭いたりだとかでいろいろ大変なんだよ。まぁゴキブリみたいに黒光りした車で登下校のヘンテコな髪の毛したお嬢様にはわからんだろうな。」


名護が桜に毒を吹きかける。

「あら名護、車登校に嫉妬していらっしゃるの?」

「そんなわけないだろ。むしろ現代病を回避するのに有効な運動だ!そういえば、先月の身体検査で体重が54kgだったらしいな。その身長で54は中々のものだぞ。」


「・・・・・・・みんながいる前でいうなぁー!!」

桜は顔を真っ赤にし、お嬢様言葉が消えるほど慌てている。

「54…(笑)」

長身の男はクスクスと笑う

「お前!!!笑ったな!!名護!お前のせいだぞ!」

名護と桜が取っ組み合う。


「バカ!騒ぐなみっともない!」

吉田が止めようとする。

それらを無視して唯が吉田に要件を尋ねる。

「どうして今日急に朝あつまったのぉーーーーーー?」

名護と桜が取っ組み合いをやめる。

「そうよ!そうよ!私なんて髪の毛のカールが一巻き分足らない状態で学校に来てしまったのよ!全然落ち着かないわ!それ相応の理由が無ければ、水沢グループが黙っていませんわよ!」

少しずつお嬢様言葉が戻ってくる。


水沢グループは大手の大企業だ。吉田は少しビビってしまったが、理由が相応のものであるためすぐに落ち着いた。

そして吉田は本題にうつる。

「そうだな・・・・まず、昨日俺はここで見てしまった。アキが絵の中に入るところを!!」






登校中にハルがアキに話しかける。

「姉ちゃん。俺考えたんだけど・・・」

「なんのこと?」

「昨日の美術室でのことだ・・・姉ちゃんはあの黒いシミみたいなのが意志を持って襲ってきたっていってたな・・・!?」

「そうね・・・それで?」

「・・・・・なんか怒ってる?」

「当たり前じゃない!!今日はおじいちゃんの絵をを見ていないからね!!・・・6年間一度も欠かさなかったのに・・・」

「そのことだけど、もう絵を描いたり、絵に近づいたりするな。」

「えっ?どういうこと?」

「姉ちゃんが絵の中に入れるって事を知っているのは俺だけだ。もしまた姉ちゃんが絵の中へはいって、あんなのに襲われた時、俺が近くにいなければ昨日みたいにはいかない。下手したら殺される。だから・・・」

「だから何?私におじいちゃんの絵の前でお祈りをすることも、美術部に通うこともやめろっていうの?」

「そんなことは・・・いや、そうだ!やめてくれ!」

アキは目を見開きいう。

「・・・・・・・」

「姉ちゃん・・・」



キーンコーンカーンコーン

朝、機嫌の悪いハルが登校してきたのを少し離れた席から唯が見つめる。


そして昼食の時間。

「ハル!!飯食おうぜ!!」

「お、おう!」

ハルは弁当を持ち友達のもとへ向かう途中に気の抜けるような声で話しかけられる。

「ねえーーーーーハルくーーーーん。」

「ん?ああ唯・・・どうした?何か用?」

「ちょっといまからわたしと一緒に美術室まできてくれないかなあーーーーー?」

ハルはいつもの部活に出るよう説得に来たのだと思い、とっさに思いついた嘘でこの場をしのごうとする。唯は結構簡単にだまされるのだ。


「あー唯ごめんな!!これからぬれた靴下を俺の体温と燃え上がるハートで乾かさなければいけないという任務があるから今日は」

「ごめんね。今日はそうゆうのじゃないの。」

唯は目を見開きハルの冗談を殺す。いつものおっとりした唯とは違う唯をみてハルは固まる。

「来てくれるよね。」

「・・・・は、はい。」



美術室。

「おお!きたか!・・・・ハル久しぶり!」

「きゃ!はっ・・・ハル君・・・・・」

桜がハルをみて顔を隠す。

美術部には吉田と名護、桜、アキがもうすでに集まっていた。

「はっはい。・・・・すみません部活サボって!」

ハルとアキ以外、驚いている。

「まて、まて、どうして誤る!?」

「えっだって俺部活サボってばっかりだし、それに・・・」

「そうか・・・でも今回はそういうのじゃないんだ」

ハルとアキは驚く。

アキもハルと同じで部活をサボっていたためハルが怒られると思っていたので、理由が違ったのには驚いた。

「二人を呼んだのは、昨日の部長の絵の件についてですわ。」

「!!!」

二人はさらに驚く。

「俺が昨日ある場所から戻ってきたときに美術室に戻ったんだ。そのとき美術室の外から全部見ていた。アキは絵の中に、ハルは絵を描きアキをサポート。素晴らしい連携だった。」

なんで、こんなに落ち着いているんだ?元々”絵に入れる事”可能ということを知っていたような・・・

「そこで、俺はアキとハルをカテドラル学院に推薦した。」

「カテドラル学院、なんですかそれ?」

「うるせえよ寝癖!まず最後まで聞け!」

ね、寝癖!?・・・。

名護が名護にとって、ハルの面倒でしょうもない質問を打ち消す。


「・・・説明するのも面倒だな実際に行くか。」

「えっ?」

アキとハル以外立ち上がり何か大きな絵を準備する。

その絵を立てかける。





絵は湖に浮かぶ城のような絵。





「よし行くぞ!」

「は?どこへ?」

唯と桜がその絵に入る。

「えーーーーー!!!!」

ハルとアキが大きな声で叫ぶ。

「おら!おめえも行くんだよ!」

「いだだだだだ!!!」

名護がハルのチャームポイントの寝癖をつかみ絵の中へと連れて行く。

「アキ先にいくぞ!」

吉田がアキより先に絵の中へはいる。


アキが絵に手をかざすと昨日の絵の中に入ったときのような空間の歪みが生じている。

アキは絵の中へ飛び込む。





ドサッ。アキはしりもちをつく

「いったーい!」

アキはしりを押さえながら周りを見渡す。

先ほど絵にあった場所がそこには広がっている。昨日絵の中に入ったときとまったく同じだ。

一つ違うのは、その場に美術部メンバーとハルがいることだった。

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