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第二話 春と秋と”紅葉高校美術部”

祖父が行方不明になってから6年後。



黒く染まった巨大な絵に手をかざす女の子。

「ぜーんぶ・・・・真っ黒・・・・」

絵の全体を見渡し女の子はまたつぶやく。

「もう一度この絵をみたい・・・・・」

女の子の名は”鶴見 秋” 

歳は15歳。ショートヘアーで前髪が目にかからないよういつもピンで留めている。

祖父の使っていた筆をつかみアキは考え事をする。



<<私達が寝ていたあの日に、なにがあったのだろう。>>

祖父は6年前のある日から行方不明になった。

当時は強盗、誘拐が疑われたが地下室に祖父と私達以外が入った形跡がないことから、警察はわずか一週間で捜査を打ち切り、事件として扱うことはなかった。


また黒くなった絵を元に戻そうと業者に頼み絵の修理を行ってもらおうとしたこともあったが、この絵は”元々黒で塗られた物”という結果が出た。つまり地下室の絵は絵でなくなっていたのだ。


さらに絵を消そうとした母が掃除を試みたことがあったがこすっても、洗剤をつけこっすても地下室の絵が消えることは無かった。


私達はこの絵の完成を見ることはできなかった。

しかし私達はあきらめていない。まだ何か方法はあるはず!!!!



「オイ!!!!」

「きゃああああ!」

アキは持っていた祖父の筆を落としてしまう。

「姉ちゃん!!何ボケッとしてんだよ!さっきから飯ができたって呼んでるだろうが!!!」

姉をしかりつながら、熱々のフライパンを持ち、その上で二つの目玉焼きを焼いている弟。


彼の名は”鶴見 春” 

歳は15歳。左側にある妙にピンと立ち上がった寝癖が特徴。実は生まれてからずっとついているため母も父もアキもその寝癖には突っ込まないが、学校入学、クラス替えなど初対面の人間には、ほどよくいじられる。


ハルはアキの落とした筆を拾う

「これって・・・まったく!じじいの形見なんだからあんま触んなよ!」

この発言にアキは少し怒る。

「ハル!言葉には気をつけなさい!おじいちゃんが死んだなんて誰が決めたの!!?」

「6年経っても顔一つ見せに来ないんだ。死んだと思ってもしょうがねえだろうが!!」

アキとハルは顔を近づけ言い争う。

「今することはじじいを思い出すことじゃなく、俺の作った目玉焼きを食べることだ。あきらめて早く来いバカ姉。」

ハルとアキは仲が良い。これは自他共に認める事柄。お互いがお互いを信頼しているからこそののしりあいがいつもの挨拶となってしまっているのである。

言い争った数分後はさっきのことなど無かったように話し出す。これがこの兄弟にとって普通のこと。日常茶飯事という言葉に言い換えよう。



玄関のドアが勢いよく開けられる。

「ちょっと!!先にいかないでよぉー」

先に学校に向かったハルを駆け足で追いかけるアキ

「はやいよハル~」

「朝に学校の準備をするからそういうことになるんだ!」

「そんなことわかってるもんね!!常識じゃん!」

「じゃあなんでできて無いんだよ」

「そんなもん毎朝学校に間に合うか間に合わないかのスリルを味わいたいからに決まってるじゃん。そんなことも分からないの?」

「そんなスリルはいらん・・・」

姉であるにもかかわらずだらけた毎日を送っているアキに対しハルはあきれる。


「そういえば。あんた最近部活きてないね!ちゃんと来なよ。コンクールもちかいよ!」

俺と姉ちゃんは紅葉高校美術部に所属している。しかし美術部なんて入った理由はサボるためだ。何を言われようとも部活に行く気はない。

「はいはい。行けばいいんでしょ・・・」

「絶対よ!!」

姉ちゃんは意外とうるさい。なのでここでは適用に流すのが最良の手段だ。


二人は私立紅葉高等学校の門をくぐる。






キーンコーンカーンコーン

授業は終わり、部活の時間。

美術部に駆け込む生徒の姿がある。

「おはよっす!!!」

大きな声で挨拶したのはアキ。

「部長オイッス!!」

「イエーイ!アキちゃん今日も元気だねえイエーイ!!」

部長はアキのノリについていくどころかおいこしてしまう。

いつもアキが先に力尽きる。そのため上がったテンションを下げるために他の部員が巻き込まれるというのがこの美術部のしきたりになっている。

「オイオイ!名護オオオ!!!お前も今をときめく女子高校生なんだからさ、もっと女の子らしくキャピキャピしたらどう?もしかしてキャピキャピの仕方がわからない?じゃあ部長であるこの俺がレクチャしてあげようまずコマネチの体制をとって・・・」

「うるせえな!たまねぎみたいな頭しやがって・・・」


部長のとんがり頭に猛毒を吐くのは2年美術部員”名護 雫”。

お下げが特徴の女子である。物静かな女の子だがそれが部長の目に留まりいじられる。お返しとして名護自身も毒を吐き返してあげている。あくまで親切なのだ。


「・・・・・。」

「吉田ああ!!聞いてよ名護ったら俺のベッカムヘアーをたまねぎって・・・たまねぎって言ったんだよどうおもう?」

「アキ、唯、桜。コンクールも近いからな今週中に着色に入れよ!」

「はーーーい」


部長の無駄話に耳を貸さず、副部長としての責務を果たすのは2年男子美術部員”吉田 実篤さねあつ”。

美術部内では主に部長の相手と美術部の部長としての役割を担っている。

「無視すんなよ吉田!ねえ俺ベッカムだよね!ねえったら!」

「部長の頭はベッカムではありません。栗頭です。」



「部長もあきないねえ」

「仕方ないよーーー部長バカだからーーー」

語尾を以上に延ばす癖のある美術部員彼女の名は”村松 唯”。

自他共に認めるおっとり系で、アキと同じ一年生。ハルとは同じクラスである。


「っていうか唯~昨日ハルが部活サボろうとしたら連れてきてっていったじゃん!」

「一応声はかけたんだけどねーーーーー」

放課後一組

「ワハハハハ。お前マジで怒られるぞ~」

「ハルくーーーーーん」

「おお!唯どした?」

「部活行かないのぉーーーーーー?」

「姉ちゃんが病気で家で寝ているんだ!早く帰ってあげないと・・・」

「あわわそっかぁーーーーーー。」


「アッキー早く病気治してね!」

「えっ何天然なの?」わたし目の前にいるがな!

「いやぁーーーー照れるなあーーーーーー」

「いや褒めてないんだけど。・・・・でも休みすぎよねハル。ちょっとガツンと言ってやりますか!」

「そーーーーだねえーーーーー」

「無駄なんじゃない?」


二人の会話に切り込むように難癖をつけるのは2年美術部員”水沢 桜”。

髪の毛がカールしてありいかにもお嬢様のように見える。実はそのまま見えるとおり大企業のご令嬢であり、本物のお嬢様である。登下校はいつもリムジンである。


「やる気の無い子は何を言っても来ないですわよ。第一美術部は自由参加なんだから来なくてもよいのではなくて?」

「桜先輩ハル君のこと好きなのに冷たいねえーーーーーー」

「えっどういうこと?」

「一ヶ月前、ハル君にラブレーーーー」

「唯!!余計なことを言ってはなりません!!!」

桜が唯の口を全力でふさぐ

「ん~~ん~」

「でも、ハルからそんなこと聞かないということは振られ・・・」

桜は倒れこむ。

「アキ・・・いわないで・・・おねがいだから」



「あ?何だコリャ?・・・オイ吉田ーーー!」

「何ですか?部長・・・・!!!!!」

「俺のこの絵の”これ”」

部長の絵に野球ボールくらいの黒い丸が描いてある。

「なんでしょうねえ・・・これ・・」

名護と吉田が目で会話する。

「いたずらなんじゃないですか?いつも部長はおちゃらけてますし。」

「なにかあったのぉーーーーーー?」

唯とアキ、桜が会話に参加する。

「これって・・・」

桜が部長の絵を見る。

「おおおおなんじゃこれ!!部長寝ぼけて筆走らせちゃったんですか?」

「それがなアキ・・・俺はこんなの描いてないんだよ。」

「ふうーん」

「とりあえず部長は書き直しですね。こんなど真ん中に黒描き加えられたらごまかしようがないですしね」

吉田がそそくさと部長の絵を美術室の端に置く

「誰かのいたずらなんだろうか?」

アキがつぶやく。

「名護・・・さすがに心が宇宙なみに広い俺でもこれは許せんぞ!」

「部長は本当に気持ち悪くて死んでほしいくらい嫌いですけど、部長の絵は好きですからそんなことはしません。」

「名護・・・・」

部長のほほが少し赤くなる。

「妙に説得力のある発言・・・・」

「さっさと絵を完成させろー!」

吉田の掛け声でみんなが作業に戻る。





バシッ!!

グローブにボールが入る。

キャッチボールをしているのは、ハルと美術部サボり仲間の”片桐 龍二”。

中学のころは野球部であったが、怪我で肩を壊し野球ができなくなってしまった。それがきっかけで春と一緒に美術日に入り、毎日遊び呆けている。ハルとアキとは同じ中学出身でそのころから仲も良い。性格としては、喜怒哀楽がはっきりしている。


「最近二人でキャッチボールするのにも慣れたなぁ~(暇)」

「スバルさん最近付き合い悪いな」

「そうだ!お前部活行かないのか?(笑)」

ボールを投げながら話す。

「どうして!?サボるために入った部活だぞ!?っていうかお前もだろう。」

「まあな(笑)。けどさ、お前だったら”入れる”と思ったんだけどな!!(哀)」

「あ?なんの話だ?」

「ははは(苦)。まあこっちの話!てか今何時だっけ?(逸)」

ハルは腕時計を確認する。6:09。

「もう6時だ。そろそろ帰るか?」

「そうだな・・・(疲)今日は・・」




「もうおしまいにしよう。」

吉田の掛け声で今日の美術部の活動が終了する。

「それでは唯!アキ!ごきげんよう!」

桜が美術室から出て行く。ちなみに部長、名護も先に帰宅してしまった。

吉田は荷物が置いてあるので帰ってはいないだろう。水でもすてにいっているのだろうか。

「・・・・・。」

アキは先ほど見た部長の絵が気になっていた。

いたずらじゃなくて突然黒に染まっていたのだとしたら、祖父のあの絵と似ている。

もしかしたら何かヒントがあるのでは無いだろうか。アキは部長の絵見るため美術準備室から美術室に向かおうとする。それと同時に唯が帰宅する。

「アッキーーー!!じゃあーーーーねえーーーー!!」

「うんまた明日!」


アキは美術室にもどり、部長の絵を表向きにしてもう一度よく観察する。

「あれ?この黒いのさっきより大きくなって・・・・きゃあ!」

絵が突然、光出しアキを絵の世界へ導いた。


アキは周りを見渡す

古びた水車小屋、黒っぽい野生のウサギ、広々とした草原、美しい川、そして宙に浮かぶ豚の顔をした奇妙な大玉の形をした物?。


「ここはいったい?」

アキは無意識につぶやく。

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