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今日から傭兵 -就職先は軍事会社でした-  作者: 蒼乃堂紋
第2章『会社デビューはコンタクトで!』
9/62

#8

なぜか周りの人から拍手されたり、感謝されたりした。

まったく状況が分からないので適当に相槌をうったりしていたら青髪さんが人混みをかき分けてきた。


(やばい、コンタクト落として騒いでいたのがばれていて、益々不機嫌にさせてしまったかも)


嫌な汗が背中をつたっているのが分かる。

兎に角ここは謝るしかないだろう。


「すっすいませんでした!」


深々と頭を下げる。

とてもじゃないが青髪さんの顔を見る勇気は俺にはありません!


「いや、あんたは良くやった」

「え?」


恐る恐る顔をあげると青髪さんは凄くにこやかな顔をしていた。

一瞬ドキッとしてしまう。

朝から怒った顔しか見ていなかったからこんな可愛い顔もするんだと思ってしまう。

口が裂けても言えないけど…この気持ちは胸に閉まっておこう。


「あんた怖く無かったのか?」


怖く?

今朝の件についてだろうか。

怖かったと正直に言ってもいいのだろうか、でも怖く無かったなんていったら余計に怒られそうなので素直な意見を述べた。


「そりゃぁ怖かったですよ」

「それでも立ち向かったか…あんたの事、見直したよ」

「…はぁ」

「今朝の件はこれでチャラにしてやるよ。というかおつりが出るくらいだな」


立ち向かう?はてなんの事だろうか。

まぁ機嫌が良くなったようでなによりだから特に気にしないでおこう。


「自己紹介まだだったな。あたしは五十嵐瑠璃、これから宜しくな!」

「は、はい!」


満面の笑みで言われて『NO!』と言える男性はいないだろうと言えるぐらい素敵な笑顔を見せる彼女に今日2回目のドキッを味わった。



―五十嵐SIDE―

出勤初日から遅刻すしくるし人を見るなり逃げようとするとは、呆れてものも言えないと思っていた。

なんだか気に食わないし、だらしない奴かと思っていたが違うようだ。

まさか睨んだだけで強盗を降参させるなんてな。

だがあの睨みは本物だった。さすが元軍人という事だろうか。

あの冷酷な視線を浴びせられては無理もないだろう。

射殺すという言葉そのものだった。

一瞬だけこのあたしですらビビってしまったくらいだ。

今朝は行きの車内じゃヘラヘラしてたから何かの間違いじゃないかとは思っていたが考えをあらためるべきはあたしのほうだったって訳だ。


「すっすいませんでした!」


労いの言葉をかけてやろうかと思ったらいきなり誤ってきやがった。

あれか、勝手に出しゃばったマネしてすいませんって事か。


「いや、あんたは良くやった」

「え?」

「あんた怖く無かったのか?」

「そりゃぁ怖かったですよ」


怖かったって。ふっ笑っちまうよ。

全然そんなそぶりなんて微塵もしてなかったくせに。

まぁいい、そういう事にしといてやるか。


「それでも立ち向かったか…あんたの事、見直したよ」

「…はぁ」

「今朝の件はこれでチャラにしてやるよ。というかおつりが出るくらいだな」


今日は気分がいい。

今夜は久しぶりに旨い酒が飲めそうだ。


「自己紹介まだだったな。あたしは五十嵐瑠璃、これから宜しくな!」


この時、彼女は自身の顔が同僚にも見せた事がないほど綻んでいた事に気づいていなかった。



―島崎SIDE―

しばらく呆然としていると宝石店の奥から高そうなスーツを来た女性と何処かでみたことのある女性が出てきた。


「いやぁ助かったわ、ありがとうね」


どうやらここの店長らしい。

握手を求められたり、ハグされたりなんだかどっと疲れた。

どうやら俺はインテリ系の女性が苦手なようだ。

それよりもこの隣の女性を何処で見たのか必死で思いだそうとする。


「出勤初日から大活躍でしたね」

「…あぁ!」


思いだした。面接の時にいたあの秘書さんだ。

なんでここに居るんだと思ったがそういえば契約交渉とかなんとかだったと思いだす。


「まだ何も分からないと思いますので、警察の方にはわたしから言っておきます。今日は五十嵐さんと本社に戻り報告書の提出をお願いします」


淡々と喋った後、二言三言交わし店長と共に奥へと消えていった。

残された俺は何をどう報告したらいいのかという難題を抱えたまま五十嵐さんと本社に向かう事となった。


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