2、理想と現実
続きです。1日空いてしまったので多めですが最後までお付き合いください。でわでわ先をどうぞ
そんな叫び声をあげて飛びこんできたのは、風介がよく知る人物だった。そいつは持っている大剣を思いっきり振り回して、ゴブリンの上半身と下半身で真っ二つにすると、何もなかったように口を開いた。
??「風介、大丈夫か?」
風介「大丈夫だけど•••お前はどこからそんな物持ち出してきたんだ?コウ。」
風介がコウ、と呼んだ彼の名は牧ノ内 康太。風介のクラスメイトであり、幼なじみでもある彼は、学校指定のジャージを着て、自分の背丈程の長さの大剣を背負うというこの上なく奇妙な格好をしてそこに立っていた。
康太「話はあとだ、フウ。今はとにかく校庭を目指すぞ」
風介「なんで校庭なんだ?校舎じゃないのか?」
康太はそれに答えることなく、件の大剣を背負い直すと、学校の方向へと走り始めた。
道中、もちろんゴブリンと遭遇したが、康太の大剣が一刀両断していったので、それほど手間は取らなかった。そして、校庭へとたどり着いた風介は、思わず目を見張った。何故ならその校庭は、明らかに見慣れているものと異なっていたからだ。
風介「もうこれ、<庭>じゃないよね?」
整然と家が建ち並び、どこかファンタジー的要素をかもし出していたその中に、一際大きな建物があった。そこには、多くの人がいたが、どれもよく知った顔ばかりだった。
??「おっす!風介!」
風介「おー、幸村!無事だったか•••ってそりゃそうか、むしろお前が無事じゃなかったら他のだれも生き残ってねぇか」
幸村「他の奴もいるから会ってきたらどうだ?」
すると、突然、奥の方から声がしたかと思えば、すでにそこにそいつはいた。
??「風介さん!無事でしたか!」風介「灯か、ちょっと危なかったけどコウが来てくれたから大丈夫だったよ」
彼は光 灯。学級長であり、成績優秀、スポーツ万能、容姿そこそこの奴で、このクラスの平穏は彼によって保たれていたといっても過言ではない。
灯「風介さん、ひとつお願いしたいことがあるのですが•••よろしいでしょうか?」
風介「ああ、何でもいってくれ!」
すると、灯はその顔に微笑を浮かべて
灯「じゃあお願いします、幸村さん、康太さんと一緒に五月さんを迎えにいってください」
そういうと灯は、いわれた事が分かっていない風介に短剣を渡すとさっさとどこかへいってしまった。しばらく呆然としていた風介に、
康太「おーい、フウさーん、行きますよ~」
その手には大剣。
幸村「いくぞ~?」
その手には長槍。 風介は改めて自分の武器をみてみた。長さ30cmほどの短剣。•••
風介「お か し い だ ろ!!!」
康太「何がおかしいんだ?」
風介「なんでお前らの武器はリーチ長いのに俺の武器だけやたらと短いんだよそもそも何故に俺まで行かなきゃいけないんだお前らだけで余裕に任務達成出来んだろそれに{)#♭$/*♪}~)®)※“〒±“」
幸村「(よく一息で言えたな•••)おい、落ち着け。灯だってなにも考えてない訳じゃないんだ。だろ?灯」
そう言うと幸村は灯の消えた方を向いてから、再び口を開いた。
幸村「それとも、お前は灯、友達を信じられないのか?風介」
風介&康太「(こいつ、自分に酔ってやがる•••!!)」
風介「(チッ)しゃーねーな、行ってやんよ!」
自分もなかなかの酔いっぷりでそう言うと、いそいそと仕度を始めた。(とはいえ、持ち物は短剣のみなのでフリだけ)そうして、3人は外へ出ていった。
風介は五月の家への道中、五月のことを考えていた。実際、風介と能登(五月の名字)はそう親しい間柄ではなかった。では、仲が悪かったというのとは異なり、日常生活はもちろん、時には康太を通じて一緒に遊ぶこともあったりした、ので風介も心配はしていた。ゴブリンも出てきていないまま、ついに五月の家が視認出来るところまで来たとき、風介は首筋にかすかな違和感を感じ、前を歩く2人に声をかけようとしたそのときだった。突然笛の音が高く鳴り響いたかと思うと、そこらじゅうの路地からゴブリンが這い出てきた。風介たちは、
風介「うわ!!」
康太「来たな•••」
幸村「ふん••••くだらんな」
と、三者三様の反応をすると、まず幸村が長槍を振るって飛び出した。彼は名前が同じだからか知らないが、戦国武将、真田幸村に憧れていて、そのため習っていた武術があった。
幸村「俺が棒術を習っていたのは今日この日のため!いくぞ妖怪!!」
と叫ぶと持っている槍をひと突きする。その先端は的確にゴブリンの首を貫いて反対側へとでていた。康太は康太で、
康太「ヒヤッハー!!」
と脳内がトリップしていて大剣を振り回していた。その斬撃は大きさに比例した威力を持っているようで、横への一閃により、3匹のゴブリンがその命をおとした。風介は目立っていないが、2人の背後に回ったゴブリンを後ろから貫き、結構な数のゴブリンを屠っていた。そんな順調に進んだ狩りはゴブリンの全滅で幕を閉じた。最早そこには、3人と大量の金しかなかった。3人はそれを拾い集めて鞄に入れると、五月家方面に足を進めたが、大して時間がかからなかった。曲がり角を曲がったところで五月を見つけたからだ。しかし、それはもう生きてはいなかった。上のHPが0になり、体じゅうのあちらこちらが恐らくゴブリンであろう、食い千切られて肉片となったそれは、残った頭部でなんとか五月とわかった。風介はそれを見て、「ああ、死ぬんだ」と、どこか客観的になっていた。風介自身、自分のHPバーを見ていて、わかっているつもりだった。だがやはり、心の奥底ではゲームと同じで、HPなくなったら校庭の神殿みたいな場所で復活するんじゃね?と考えていたのだ。だが、それは違うと、目の前の光景が告げている。これは自分たちが思い描いたようなゲームの世界じゃない。これが現実なのだ、と。
•••お疲れ様、です。そして本っっ当にありがとうございます!ここまで読んでくれる人がいるとわ•••目から塩水が湧きでております!
さて、今回は多少シリアスな感じで終わってみたつもりだったのですがいかがでしたか?個人的にはまあ、いんじゃね?ってゆーLV。さて、次回、schoolRPG、第3話「パーティー!!」
風介「• • • 」
理科's「あれ~?風介、まさかビビっちゃった?ああ?僕はそんな風に育てた覚えはないけどn...」
風介「•••ブフォ!コイツ、引っかかってやんの!!まあ落とし穴に引っかかった作者に変わって俺がこれから書くから、4649な!!」
理科's「•••」