事の始まり
こちらを書いているときはテンションが可笑しいです
偶にはこういうのも良いよね、と思って頂ければ幸いです
ここは神界の外れ
中央の華やかな神殿などが立ち並ぶ雰囲気とは程遠い、ほんのりと闇が掛かった地区にその神殿は存在する
この地区には邪神や鬼神、悪神など一般の神とは外れた神が居を構えている
そして神の力は神殿や屋敷の大きさで判断されるという。囲う眷属の数に値するともいわれる
となるとこの神殿に住まう神はかなりの力を持った神なのだろう
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私は上位夢魔のエリス。先日上位に上がったばかりだけどね。元はしがない夢魔のサキュバスよ
そんな夢魔の私が上司の邪神に呼び出しを受けて来たのが今
「何ですか、一体?」
不機嫌を隠そうともしない私。そりゃそうでしょ、上位に昇格したから部屋の片付けとか引越しとか色々準備していたというのに!
「お前な、仮にも我はお前の上司だぞ。礼儀というものは無いのか?」
「夢魔に何を望んでるんですか。畏まったのがお望みなら魔系の貴族とか呼べば良いんですよ。ほら、~爵とか沢山居るんでしょう?」
威圧感バリバリの邪神様。一応様付けですよ、力関係からして…まあ腐れ縁なので呼び捨て可ですけど
それより、他の悪魔達が怖がって近付いてこないんですけど。もう少しプレッシャー弱くしませんか、邪神様?
「はぁ、まあ良い。呼び出し理由はわかっているな?」
「は? 何そのご都合主義? いきなり呼び出しうけて解る訳ないでしょう?」
「……誰もお前に言ってなかったのか。お前が上位に昇格した理由なんだが」
邪神様、本当に知らなかったみたいですね。私も知らないけど…誰かしら、知っているのは?
辺りを見回すと皆ビクビクしてる…魔王も居るのに何でそんなに怯えているのやら
「言われてませんよ? そもそも理由って何ですか?」
「只で上位になれると思っているお前が可笑しいんだがな。力だけなら我に近いものがあるというのに長い間だらだらと過ごしてるからだ」
「そりゃ好き好んで権力者のデブとかの前に立ちたいと思わないし」
「……お前、本当に夢魔か?」
呆れている邪神様。だって、金の亡者とかなっている贅肉の固まりに抱かれろとか抵抗ありすぎ
権力は美味しそうだけどね、これとそれとは話しが別だし
「で、私が昇格した理由って何ですか?」
「……ああ、それはな。お前が管理している夢界で幾多の物語の主人公達のカウンセラーをして欲しいのだよ」
「は、はぁぁ…!?」
なにそれ。私は確かに夢の世界、略して夢界を管理しているけどね。元の管理していた神が無能だったから…もう紙でいいよ。だからといってパワーバランスでは負の方に居る私に正の方の人たちのカウンセラー…何考えてるの?
「何考えてるんですか!?」
「お前の言う事も最もなんだがな。幾多の物語を管理している神や魔王共が泣きついてきてるのだよ。『勇者が優柔不断で先に進んでくれない!』『魔王は後どのくらい待って居ればいいのだ?』『物語を終わらせたいのに自堕落なこいつらは何とかならないか!?』とな」
「…………無能共め」
「お前、洒落になっとらんぞ…まあ、理解は出来たようだな。神が作った物語の中で神は不用意に手を出せない。魔王なんてもってのほかだ、負に居る主人公ならどうにかなるだろうが…結局押し付けにしかならん。だから誰かあいつらが持っているだろう悩みを聞いてあげる奴が必要だ…となったのだよ」
「貧乏くじもいいところじゃないですか」
どれだけ神とか魔王とか人選間違えてるのよ。主人公ってある程度人格者が成ってレールの上を歩くだけの存在でしょ? そいつらも制御できないとか…こいつら、腐ってやがる
「お前な、先程から思っていること駄々漏れだからな。ここは我の間だぞ?」
「いえいえ、聞こえるように言っているだけですから。しかし何で邪神様にこんな話が来たんですか? 直接私に来るはずじゃないの?」
「お前に直で言える奴が我以外いないだけだ。一応上司だしな」
本当に一応ですよね。まあ、見習い神の頃から変わらないのは有難いですけど
「で、その見返りが上位夢魔の昇格というわけだ」
「…………ふぅ。もう、主人公達全て唆して混沌の世界にしてみようかしら」
「止めておけ。皺寄せが来るのはお前だぞ、間違いなくな」
解ってますよ、もう。悪夢が蔓延ると辛いのは私ですよね……げんなりだわ
「何か言いたい事はあるか?」
「有りすぎて困るくらいありますよ………面倒くさいので言わないけど」
はぁぁ、お気楽夢界ライフも終わりかぁ…
「あ、と。そうだ…お前の所に見習いの神を遣すから好き勝手に使ってくれて良いぞ」
言葉と共に間は閉じた。え?という間もなかった。上司として酷すぎませんか!?
ぁぁ、面倒くさいなぁ…
初めなのでプロローグ風味だけです