マスター怖い
目が覚めた。
部屋の時計を見る。
9時半。まぁ、今日は土曜日だしな。
多少遅れても問題無いだろう。
そういや爽快な青空だなぁ。
そんなことを考えていたら、部屋にノックがかかった。
親はありえないし、兄もなし!てことは亜理亜か?
ガチャ
「愚兄…」
ああ、やっぱ呼び方戻っちゃうんだな…
なんか悲しい。
「ああ、何か用…」
亜理亜は手にお盆を乗せている。
お盆にはパンやたまご焼き、いわゆる朝食が乗っていた。
こ、これは、まさか!
「朝食?」
「それ以外何に見えんのよ!」
やっぱ朝食か。
亜理亜は気が向いた時、たまーにこうして食事を持ってきてくれるのだ。
…いつも思うけど誰が作っているんだ?
親は4人前しか用意しない。
「なぁ、それ誰が作ったんだ?」
「フンっ」
そう言いお盆を押しつけるとそのまま1階に下りて行った。
その反応からして…亜理亜?だよな。
…ま、食うか。
自分の机の前まで来ると座って食べる。
もっしゃもっしゃ
うーん、やっぱ卵とか潰れてるし、
食パンも焦げっ焦げでマズ…いやなんでもない。
「ごちそうさまでした」
そう言い手を合わせると、
着替えるためにタンスの前まで来た。
昨日は疲れていて着替えるのを忘れていたのだ。
着ていた服を脱ぎ、着る服を選ぶ。
「さて、今日はどの服にするか…」
ちなみに昨日、というかついさっきまで来ていたのは
防寒性の高い黒の服だった。
「うーん…」
やばい、寒いぞぉー。
早く選ばなければ!
もうコレでいいや!
適当に手に取り着替える。
「えっと…」
ピンク色の服。
まぁ暖かいのだが…
真ん中にハートマークがついている。
あれ?俺こんな服買った覚え無いんだけど!
ズボンは、まジーンズでいいよな。
普通の青っぽいジーンズを穿く。
鏡を見る。
「うわぁ」
下はともかく上はヤバい。
だが、いまさらもう一度着替えるだけの気力が無い。
寒いしね。
「ま、いっか」
ぶっちゃけ俺は着れりゃあいい。
センスとか全然無いし。
その後少し長めの黒いコートを着て、出掛ける用意をする。
喫茶店に着いてもコートは脱がないようにしよう。
そう心に決め、家を出る。
▽
亜須真は人気のあまり無い住宅街を歩きながら頭の中のズレを感じていた。
なんというか、さっきから頭の中が非常にモヤモヤするのである。
いったいなんなのだろうか?
昨日マスターに何かを言われた気がする。
「うーん、と?」
なんだったか…
えー、確か仮面のことだよな?
あれ、仮面の本名なんだっけ?
えーっと確か…あー何かマスターが話があるんだよな。
で、7時に来てって。
はいはい、思い出した。
仮面のことで大事な話があるから朝早くお願いってことだな!
よっしゃ、思い出した!
やっぱこの忘れっぽい性格直さないとなぁー。
時計を見る。
10時過ぎ。
・・・・・。
ヴぉいぃぃぃーーーーー!!!!!
や、やばい!
これはホントにヤバい気がする!
だってあのマスターのことだZE☆
「導師よう!動詞よう!同誌よう!?」
なんかもう文字何それ?おいしいの?状況だ。
落ち着け、落ち着くんだ!そう餅つくんだっ!
じゃなくて!
深呼吸
「すぅー、はぁー」
こういう時こそクールになるんだ。
よし、落ち着いた。
まず状況確認だ。
昨日マスター大事な話があるから早く来てと言われた。
で、わざとじゃないにしてもその約束を破ってしまった。
「…」
方法思いつかねぇーーー
多分今行ったら一生ものの傷(トラウマ)を背負わされる気がする。
いや、絶対だ!
これはもう…
「今日は商店街に行くぜぃ!」
現実逃避っきゃねぇ!
ルンルンとスキップしながら駅まで行く。
途中小学生くらいの子供に指を刺されたが気にしない。
というか気にする余裕がなかった。
電車に乗る。
商店街までは結構距離があるのでこうして電車などに乗らないと
結構厳しい。
ちなみに喫茶店とは逆方向でかなり都会だ。
1時間ほど電車に揺られ、着いた。
うわ、やっぱり土日だけあって人が多いな、
でもそんなのは関係ねぇ!
「よぅし!今日は買い食いでもするかー」
そう叫び、人ごみの中へ飛び込んで行った。
▽
もっしゃもっしゃ…
「んまーい」
亜須真は今お好み焼き屋で御好み焼を食べている。
むしろお好み焼き屋で御好み焼を食べないのは侮辱だろう。
ちなみに御好み焼きというのは、
水と卵で溶いた小麦粉にイカ・牛肉・豚肉や刻みキャベツなどの野菜を好みによってまぜ、
熱した鉄板の上で焼き、ソース・青海苔などで味付けをして食べるもの。(goo辞書より)
である!
え?知ってる?そうか…
てか、今何回「お好み焼き」って言ったよ俺?
でも俺、御好み焼はマヨネーズつける派なんだよね。
後、コートは脱いでいない。当たり前だ。
もっしゃもっしゃ
うん、やっぱうまい!
今朝の朝食と比べるまでも無いっ!
・・・・・。
本当は外でクレープなどを食べ歩こうと思ったのだが、
予想以上に寒く、もうすぐお昼時なので適当に見つけたこの店に入ったのだ。
ま、ここは正解だったな。
ガラガラ…
入り口を開ける音がした。
「へい、らっしゃい!」
店のおやじが大きな声で入って来た客に呼び掛けた。
おやじもがんばるねぇ。
そう他人事の用に思っていた。
「いえ、ここで待ち合わせをしているの」
ぶふぅぅぅーーーーーっ!!!
こ、この声は!?
「あ、そうなんですかい?」
「はい。すぐ行きますので」
こつ、こつ、こつ
足音が近づいて来て、真後ろで止まる。
「さぁ、逝きましょうか」
…。
後ろを振り返る。
「…」
終わったな。
そこにはいつもの姿のマスターが微笑みながら立っていた。
だが、目は笑っていなかった。
はい、お好み焼き屋は文字埋めのために出したんです。
さてどうしよう…