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MOONKILL  作者: 月駆 承
7/14

中に入るの一苦労

 やばい、やばいぞ!

 家の扉、開・か・ね・え!

 もうすぐ6時だから妹ぐらい帰ってると思ってたのに。

 そう、俺は鍵を持っていない。

 理由は言いたくない。

 ちなみに家族構成は父親・母親・兄・俺・妹となっている。


「うーん、想定外だ」


 言ってないと思うが今は冬だ。

 もう分かるだろ。 

 もうすぐ6時、今暗い、てか寒い。

 非常に心細いぞ!

 まぁ、去年の夏なんか俺が帰ってきたら家族旅行なんて行ってたもんだから、

 家の扉の前で一晩過ごした。

 うん。夏だからまだ良かった。

 だが、だがしかしだぞっ!

 今は、冬。

 これで去年と同じことが起きたら終わるな俺。

 最近のコンビニは防犯という名の暗黙の了解がなくなっちゃったからなぁ。

 家の前で突っ立ってると…


「何やってんの愚兄」


 2つ下の妹、亜理亜(ありあ)が暴言を吐きながら帰ってきた。

 ショートカットの髪の色は栗色で、中学校の制服に身を包んでいる。

 綺麗というより可憐という言葉の方が似合う少女だ。

 そういや来年の最初に受験だったっけ? 

 でも、愚兄だってさ…

 だが今の俺には天使に見える。

 この寒さの中凍える俺を救う天使にっ!


「いや、入れなくて」


 あ、やべ、つい素っ気ない態度とっちゃった。

「家に入れないのです!どうか家に入れて下さいませ亜理亜様!」

 くらい言えば良かったか?


「はぁ、・・・・・・・。」


 ん、何やらぶつぶつ言っている。

 ―窓を開けといたのに―? 

 マジで!

 全然気付かなかった。

 でも窓開けちゃあ鍵閉める意味無いな。

 泥棒さんのお手伝いか?

 まあ、窓を開けといたのは俺に対する配慮だろう。

 歪んでるけどいい子に育ったな。

 

「ちょっとそこどいてよ。邪魔」

「っと、悪い」


 亜理亜は鍵を開けると中に入る。

 続いて入ろうとすると、阻止された。

 そのまま扉を閉め、ガチャ

 …ガチャ?

 扉を開けようとする。

 開かない☆

 ヴぉい、閉めんなぁぁぁーーー!!!

 ガッチャガッチャガッチャガッチャ

 ガンッ!!!(指をぶつけた)

 うううぅー。

 しばらく扉と格闘して勝てないと悟った俺の判断は早かった。 


「しゃあねぇ、開いてる窓とやらを探すか…」


 1階の周辺の窓で入れそうな窓を確認!

 全部開いて無かった…

 え?2階?

 おいー!さすがに垂直の壁を登る自信は無いですYOー!

 やヴぁいぞぉー!

 このままでは亜理亜の配慮を無駄にしてしまう。

 考えろ!考えるんだ俺!みなぎろ俺のアドレナリン!

 …。今心拍数上がっても意味無いか。

 足場になる物は無いし、手に掴む物も無い!

 あれ?やっぱ無理じゃね。

 …亜理亜さんや、もう少し優しい所にして下さいな。

 うーむ、どうしよう?

 あ、そういえば1階のトイレの裏に小さな窓が、

 ガラリ…

 開いた。

 開ける場所間違えとるわぁぁぁーーー!!!

 この小さな窓から入れとっ!?

 俺をスライムか何かだと思ってるのか?

 あの子やっぱり歪んでるぞ!


「家に入る手段が無い」


 兄は期待するだけ無駄だ。

 俺のこと毛嫌いしてるし。

 亜理亜みたいに窓を開けるなんてことは絶対にしない。

 つーか会う度に亜理亜以上の暴言を吐いてくる。

 両親は、まあ帰って来た時にさりげなく一緒に入るは出来る。

 要するに俺のことは無視してるってこと。

 視線すら合わせないし、

 食事も4人前しか用意しない。

 俺がいつ死んでもいいようにってか?

 ははっ、何か乾いた笑みしか浮かばねぇ。

 まともに接してくれるの亜理亜しかいない。

 接してくれるのは亜理亜だけ?

 …! 


「そうだ!」


 もうそれしか無い!

 親が帰って来た時空気になって一緒に入るのは嫌だ!

 なんというか、そう、ポリスィーっつーかプライド?

 そういう訳で!

 玄関の前に立つ…

 せぇの!

 ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポン!!!!!

 チャイムっすよ。ええ!

 こうすれば誰だって開けてくれるはずさっ!

 いや、両親と兄はチャイム押してんのが俺だと知れば開けないかもしれないが、

 だが今家に居るのは妹の亜理亜だけ! 

 ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピピピピピピ!!!!!

 もうポンが聞こえる前に押しまくっている。

 あの子なら絶対に来てくれるハズ!

 いわば、この連続ピンポンは妹集中攻撃だ。

 あ、そろそろ指がヤバい…

 ピピピピピピピピピピピピピピピピピピッッッッ!!!!!!


「うるさぁぁぁーーーーーいいい!!!」


 ほら来た。

 計画道り!


「やめてよっ近所迷惑でしょ!」 

 

 おお、自分じゃなくて近所のことを考えたか亜理亜よ。

 マジいい子だな。

 トイレ裏の窓を開けるのを除けばなっ!

 ガチャ

 鍵の開ける音がする。

 ギィ

 扉が開いた!今だっ!

 扉の取っ手を掴み一気に開ける!

 亜理亜が驚いた顔をしているが無視っ!

 シュダッ!(家に滑り込む音)

 バタン!

 ガチャ!


「ふぅ。家の中は温かいな亜理ぁ…」

「愚兄ぃぃぃー!!!」


 自分の妹様が鬼のような顔でこっちを見ている。

 落ち着こうか…


「亜理亜。知ってるか?「スプーン」を日本語に直すと「さじ」になるんだぜ…」


 もちろんそんなことで亜理亜が落ち着くはずもなく、

 俺はこの後兄と両親が帰って来るまで2時間ほど説教されましたとさ。



 ▽



 今、俺は機嫌がいい。

 そう、上機嫌!

 理由?

 そりゃあさっき亜理亜に説教された時、あの子は怒りで気付かなかっただろうが、


「これだから亜須真兄さんは…」


 と、兄さん兄さんと連発していたのだ。

 いつもは愚兄愚兄言いまくっているが、

 心の中では普通に兄さんと呼んでいたんだなぁと、

 そう思うとついニヤけてしまう。

 ちなみに今ここは自分の部屋。

 ま、この家には自分の部屋以外居場所は無い訳だが。

 亜理亜でチャラだっ!

 言っとくが俺はシスコンでは無いぞ!

 絶対違うからな!

 そんなことを思っていたらだんだん眠くなってきた。

 ベットに入ると考えるのが面倒くさくなったので、

 そこで意識を手放した…


 もちろん次の日、喫茶店には遅れた。

 俺のテンションをおかしくした亜理亜のせいだからな!

 やべー、なんか家族パートの書き易さ異常だ。

 まー、まだ妹しか出してないけどね…

 亜理亜?「G線上のアリア」から取りましたが、何か?

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