表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
MOONKILL  作者: 月駆 承
6/14

家に帰ろう

 とりあえず、帰る前に寄らなくていけない所がある。

 ロッカールームだ。

 何故か?

 一応この喫茶店内では武器を所有することに問題は無いのだが、

 いかんせん此処は日本。

 銃刀法違反がなんとやら、だ。

 という訳でカウンターから向かって右の扉を開き中に入る。

 中はロッカールームという名だけあってカードキー式のロッカーがたくさん並んでいる。

 この部屋はロッカーしか無いくせに無駄に広い。

 自分の番号のロッカー前まで歩いて来ると、

 ズボンの後ろのポッケからキーを取り出し使う。

 ピピッと電子音がした後カチッとロックの外れる音がし、キーが戻ってくる。

 キーはそのままポッケにしまい、ロッカーを開ける。

 ロッカーの中には一振りの刀以外入っていない。

 亜須真は腰に下げてあるレーザーガン、弾であるカートリッジをしまい、

 すぐに占めるとカチッという音がした。ロックが掛ったのだ。

「MOONKILL」に所属すると自分用のロッカーを貸してもらえる。

 ちなみにここのロッカーはキー以外で開けることは出来ず、

 かなり頑丈に作られているので安心できる。

 装備もちゃんとロッカーにしまったし、帰るか。

 左腕の腕時計は午後5時を指している。

 ロッカールームを出て、そのまま帰ろうとすると、声を掛けられた。


「よぉ、沈黙」

「「残虐の紅(くれない)」…」 


「残虐の紅」と言われる彼は真っ赤な髪に赤い服、巨大な深紅の鎌を背負っている。

 年は19,20あたりだろう。

 まあ、問題はそこではない。


「今日の任務、仮面と一緒だったらしいなぁ?」

「…」

「そのだんまりは肯定か?まぁいい。テメェはいつか潰させてもらう」


 分かって頂けただろうか?

 どういう意味だか知らないが彼は仮面、彩月沙良を狙ってるっぽい。

 別に俺にはそんな気無いのだから勝手にライバル視してくるのはやめてほしい。

 彼は言いたいことを言い終えたのか、自分の席へ戻ろうとする。

 …、一応伝えとくか。


「そういえば」

「あぁ!」


 睨むなよ。


「あや…仮面、怪我したぜ」 

「な…に!?」


 あ・ぶ・ねぇ!あやうく本名言っちゃうとこだった。

 紅は一瞬驚いた顔をすると、医療室の方へ駆けて行った。

 ご熱心だなぁ。

 まあ、先生のことだから紅はすぐ追い出されるだろう。

 マスターの方を見ると、彼女は苦笑いを浮かべていた。

 あー、真面目にあいさつして帰るか。

 そう思い、カウンターに近づく。


「ところで…」 

「はい?」


 あいさつしようとしたら、マスターの方から話しかけてきた。


「あなたあの子の名前知ってるの?」


 あれ?いつの間にか真面目モード?

 あの子というのは「笑う仮面」こと彩月沙良のことだろう。

 …マスターには隠すことでも無いか。


「今日知りました」


 おそらくさっきの紅とのやりとりで俺が「あや」と言った時気付いたんだな。 

 マスターってば鋭い!


「どういういきさつかは聞かないけれど、あの子からあなたに名乗ったのよね?」 

「そうですけど…」


 そう答えるとマスターは腕を組み、何やら考え込んでしまった。

 

「え、と?帰っていいですか?」

「少し待って」


 What?マスターが考え終わるまで待てと?

 いやいや、今日はもう早く帰って風呂入って寝たいんだよね。

 マスターは目を閉じて考え込んじゃってるし、帰ってもバレないよな。

 善は急げ!

 180度回転、入り口に向かおうとすると…


「待って!と、言ってるでしょう」


 え。

 後ろを振り返る。

 マスターは考え込んでいる。

 薄く目開けてんのか?

 いや開けてないっ!

 てか、どんくらい考えんのかなぁ。


「後少しで考えがまとまるから」

「…」


 コレもう読心術ってレベルじゃねぇ!

 あきらめた亜須真はカウンターの前へ座る。


「早くして下さいよー」

「うーん、そうね…決めたわ!」

「決めましたかっ!」

「話すと長くなるから明日来て頂戴」

「…」


 今、一瞬マスターに対して殺意沸いた。

 いや、一瞬だよ!ホント一瞬!(大事なことだから二度言う)


「明日7時にここ開けるからすぐに来て」

「開ける時間いつもより早いですね」

「あの子、沙良のことで大事な話だから」


 周りに人が居ないのを確認してマスターが言った。

 断る理由も無いので頷く。

 ちなみにこの喫茶店は午前9時から午後12時までやっている。

 皆、大抵喫茶店内でグダってるか街に出かけているかなので、

 この店はガラガラなのだ。

 かく言う自分は街に出かけるのが面倒くさいので基本ここでグダる派。

 そのせいで任務任命確率が高めなのだが。


「まあ、いいや。それじゃあマスターまた明日!」

「ええ」


 そうやりとりすると喫茶店を出ると、

 カランカランと音を立て扉が締まった。

 外はもう夕方で空が赤く染まっていた。

 さぁて、さっさと帰るか。



 ▽



 亜須真の家と喫茶店は別にそれほど離れている訳ではない。

 普通に歩いて30分ほどですぐに着く。

 近いのはありがたい。

 メンバーの中には毎日3時間やら4時間やら掛けて喫茶店に来る者もいるのだ。


「ふぅ…」


 今日一日のことを考える。

「MOONKILL」に入って4年だが1日でここまで色々あったのは久しぶりだ。

 主にあの変態が…

 うーん、どうしてだろう。

 あの変態のことを考えると胸がドキドキする。

 もしかしてコレが恋?

 今、目の前にアイツが居たら消したい。

 存在そのものを…

 ・・・・・。

 じゃなくて!

 仮面のことだよなぁ、やっぱ。

 多分マスターは明日3年前とやらの話をするんだろうな。

 一応興味はあるけど、俺とは関係無いだろう。

 仮面、いや、彩月とは4年前からお互い面識はあるが、実際によく任務に行き始めたのは

 ここ最近、というか去年からだ。

 そう考えると2年以上前の彩月ことは俺ほとんど知識が無い。


「アイツ謎だらけじゃん」


 いや、その謎を明日マスターが教えてくれるんだよな。

 多分…

 と、色々考えてたら家の前まで着いた。

 家と言っても普通の2階建ての一軒家だ。

 家族は、まー、居るっちゃ居るが俺に対しては冷たい。

「MOONKILL」で働いているのが理由らしい。

 仕事の中で一番死亡率高いしな。

 ま、そんなのは気にしない。いやするけどね。


「ただいまっと…」


 さぁて、今日の家族はどんな反応かね。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ