任務完了!
ワープ部屋に着いた。
ああ。クソ、あの変態に連絡しなくちゃいけないのか…。
亜須真は携帯を取り出した。
「…もしもし」
「はいはい、沈黙君お帰りなさい!そしてどうなのかな?
月草はたくさん採れたのかな!」
「いいから早く地球に戻せ!」
人を背負いながら片手で電話するのはかなりきついのだ。
美少女を背負っているとしてもだ!
体力的な問題よりも精神的問題の方がでけぇ。
「はぁ分かったよ。それにしてもどうしてそんなに急いでいるのかな?
そうか、そうなんだね!きっと私に会いたいからそんなに急いでいるんだね!
それなら安心してもいいよ!私も君のことは好きだし会いたいよ!
ああ、どうせなら任務に行く前も顔を見せるといい!
行ってらっしゃいのキスを…」
ブチッ
ダメだ。付き合ってらんねぇ。
コイツは誰にでも似たようなことを言いまくっているのだ。
科学者変えてくれないかなぁ。
そう思った瞬間部屋が光に包まれた。
「とぉ、戻って来たな」
先ほどとは違いちゃんと人の気配がする。
背中の彩月沙良はさっきから黙ったままだ。
うーん、マスターに任務終了報告するか…
いや、先に医療室行くか。でもなぁ
まあ、いいや。
ワープ部屋を出るとそのまま隣の部屋に入った。
パソコンやよく分からない機械がたくさんあり、埃が舞っている。「技術室」だ。
そして…
「やあやあやあ!よく来てくれたね!」
そう、この女、ここの唯一の科学者である狭霧麗子だ。
その名前が本名かどうかは知らないが…
見た目は…黒髪のロングストレートで、顔が見えない。
後は、科学者特有のあの長い白衣。声的に20代前半?
顔が見えないのによくキスとか言うもんだ。
だが用があるのはこの部屋のさらに向こうだ。
さっさと歩きだす。
「おやぁ、どうして無視をするんだい?私と君の仲じゃあないか」
「今あんたに用ないし、怪我人いるし」
「ほう、私の愛しの彼にひっついているのは何処の誰…」
バタン!
技術部屋の向こうにある扉を開け、中に入った。
ここはさっきの技術部屋とは違い清楚というか綺麗な部屋だ。全体的に白い。
ベットがいくつかあり薬品の匂いがする。
少し大きめの保健室みたいな感じだろうか。
「何の用だ小僧」
椅子に座って新聞を読んでいた彼は新聞を畳むとこちらに目を向けそう聞いてきた。
白髪の目つきの鋭い男。40代程だろうがその目つきが年齢を感じさせない。
てか、毎回小僧って言うのやめてほしい。
「怪我を見てもらおうと」
「患者か?」
「そんなもんです」
その男も、まぁ、名前を知らないのでただ先生と呼んでいる。
そして先生が近付いて来たので、
彩月沙良をベットに横たわらせ、包帯を解き足を見せる。
「フム、まぁ完治二ヵ月だな」
先生がそう呟いている。
二ヵ月かぁ。
ところでさっきから彼女が一言もしゃべっていない。
「どうした?」
「薬の匂いが嫌い。後足痛い」
あー、それはしゃべる気も失せるよな。
「じゃあ、先生任せていいですか?」
「ああ、大丈夫だ」
「んじゃ、任せます」
そう言い、医療室から出る。
変態がこっちを見ているが無視するか。
「さぁて、理由を聞かせてもらいましょうか。どうして仮面君が
怪我をしていたのかな。私の知るところじゃあここ4年間であの子が
怪我したのは3年前だけなんだけどなぁ。
ハッ、ま、まさかそういうことなんだね!きっと今日の任務で
君は今まで溜まっていた自分の性欲に負け、彼女に獣が如く襲いかかったんだね!
そして君のあれで彼女を突き刺し腰を振り動かし続けた!
で彼女は嫌と思いながらだんだん快楽に負けてきたんだ!
でも君みたいな獣に快楽を与えられるのが屈辱で自分で、
自分の足を刺し痛みで快楽に耐えようとしたのさ!どうだい!合ってるだろう!
全く罪作りな男だね。私がいるのに。君が望めば私はいつだって…」
「違うわぁぁぁぁぁーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!」
無視しようと思っていたのにこの変態の凄まじい
間違いだらけの解釈につい突っ込んでしまった。
「そもそも任務中にそんなことする訳ねぇよ!むしろしたら
アイツに殺されるだろうがぁぁぁーーーーー!!!!!
後あんたは除外」
はぁ、はぁ。
…、でも前半部分が気になるな。
アイツって3年前に怪我してたのか?
「ふふっ、ムキになって。かわいいね君は本当に…」
ゾゾッ
…本当にもうこの人と関わりたく無くなってきた。
でも一応聞いとくか。
「すぅー、はぁー…。ところで、3年前って何かあったか?」
「おや、君は知らないのかい?そうだね。教えてもいいけど、
タダというのはねぇ。うん、そうだ、それがいい!
私とキスしたら…」
「すいませんやっぱいいです」
即答。
「何だつまらない」
「俺は遊ばれてたのか…」
「でもキスしたくなったらいつでも!」
「帰るっ!」
「不貞腐れちゃって…でもそんな君も」
もうホントやだ。
そう思いながら技術部屋を出た。
…あぁ、後任務終了報告しとかないと。
変態に弄ばれてすっかり忘れていた。
汚い廊下を進みカウンターの前に出た。
「あら、お帰りなさい。ちゃんと月草は採れた?」
とマスターが聞いてきたので、
黙って月草の入ったポーチをマスターに渡す。
はぁーーー。
「何かすごく疲れているわね」
「分かります?」
「ええ、まるで魂を抜かれたよう…」
どんな顔してんだ俺は?
「ところでマスクちゃんは?」
もう分かるだろう「笑う仮面」、仮面=マスク、マスクちゃん。
あれ、なんかマスターもセンス無い!?
「ああ、アイツ怪我しました」
「怪我!」
何か、すごく驚いている。
「で、マスクちゃんは!」
「先生に任せましたから大丈夫ですよ」
先生と聞いてマスターがホッとしたような顔を見せた。
あの先生腕は確かだからなぁ。
「そう、どんな怪我を?」
「右足をグサッと」
「切断!?」
「刺し傷です」
なんかマスターはマスターでアイツのことすごく大切に思ってるっぽいよな。
まあ、いいや。俺には関係ないか。
「じゃあ、そういうわけで…」
「あ、ええ、そうね給料は振り込んでおくから」
「了解。じゃ、俺今日はもう帰ります」
「そう、お疲れ様」
さて、装備をロッカーに入れて、帰るか。
やばい、なんか予想以上に変態なキャラができちゃった(汗)
ま、いいか。