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MOONKILL  作者: 月駆 承
4/14

彼女がデレた

 とりあえず月草は十分に摘んだので元来た道を戻っていた。


「…」

「ああ、でも、もっと殺したいな」

 

 帰り道、仮面は隣で物騒なことを言っている。

 まあ何だ。俺には「沈黙の処刑人」なんて大層な二つ名を持っているが、

 処刑人なんて隣のこいつの方がよほど似合っていると思う。

 ところで、何故「MOONKILL」の者達は二つ名というものがあるのか、

 理由は本当に簡単なものだ。

 いつ死ぬか分からないから。

 実際、かなりの者と組んできたが死んだ者も多かった。

「MOONKILL」設立時はまだ登録書類に名前を書くことがあったらしいのだが、

 死亡率が非常に高いので名前を書くことは無くなった。

 なので今は「MOONKILL」に登録したらまず「無名」になるのだ。

 危険故に登録する者はかなり少ないが…。

 そして任務の成功具合や活動様子などを見てメンバーの者達が

 勝手に二つ名を付けるようになった。というところだ。

 隣にいる仮面「笑う仮面」など本当に適当な二つ名だと思う。

 見たまんまだ。センスがないのだろうか?

 そういえば、もうすぐ姉妹店に着くなぁ。

 そんなことを思っていると。


「ガァーーー!!!」

「ウガァーーーー!!!」 


 けっこうな数のムーンに囲まれていた。

 ひぃ、ふぅ、みぃ、6体以上はいるだろうな。

 状況はかなりヤバい。だというのに…


「いいねぇ!もっと来なよ!」


 はい、楽しそうにしてるのが1名。

 仮面だから大丈夫だろうが、少し心配だ。

 1人で突っ込むな…と言おうとしたら、

 すでに突っ込んでいた。


「ガァァァーーーーー!」

「遅いね!」


 彼女は目の前のムーンの顔面をヒートアックスの横払いで溶かし切る。

 ジュワァっという音が聞こえたら、すでにムーンの頭が無くなっていた。 

 と、そのまま後ろまで薙ぎ払うとムーンの1体が巻き添えを食らい、

 腹から上が吹き飛んだ。


「あっははは、楽しいねぇ!」 

 

 あー、ま、分かってたけどな。

 後ろに気配を感じ、振り返る間もなく左手のレーザーガンを後ろに撃つ。


「グ、ガガガ…」


 そして振り返る。左足が吹き飛び、地面に這いつくばっているムーンがいた。

 あぶっな!我ながら素晴らしい直感力だ。

 すぐさま頭を狙い撃つ。頭が吹き飛びそのムーンは絶命した。

 ふぅ。…っ!

 直感に任せてそのまま前に転がりこむ。

 と、さっきまで居た所にムーンがつめを突き刺さしていた。


「…つぁ!」


 両手ののレーザーガンでそのムーンの両足を撃つ。

 バランスを崩したムーンは前に倒れこむ。


「…っとぉ!」


 自分の方に倒れこんできたムーンを転ってかわし、

 すぐに立ち上がり、撃つ。

 

「…ちっ、はぁ」


 やばい疲れた。周りを見る。俺の周りにはもう居ないか?

 後は、あっちか。


「もっと、もっとぉ!」


 仮面の前に1体ムーンが居る。

 というより最後の1体か。

 最後の1体は仮面が恐ろしいと感じたのか、なかなか襲いかからない。


「なら、こっちからぁ!」


 仮面はヒートアックスを真っすぐ振り下ろす。

 右腕が切断された、が、ムーンは仮面の腕に噛みつこうと前へ迫る。

 だが、仮面はそのまま蹴りを繰り出しムーンを引き離した。


「もう終わり?」


 あーなるほど。最後の1体を嬲ってたのか。

 てか、戦いなのによくしゃべるよなアイツ。俺には真似できねぇよ。

 仮面は飽きたのか一気にムーンに近寄るとヒートアックスを振り落とした。

 突然速くなった仮面に反応できなかったのか、

 そのままムーンは正面か縦に真っ二つなり、絶命した。 

 

「…。今日は飽きた。もう満足」


 仮面がそう言った。

 瞬間!

 ビルの陰からムーンが飛び出し、その長いつめを仮面に振り下ろした。


「仮面!」

「!」


 仮面は紙一重で頭や心臓への致命傷は避けたが、右足のふとももにムーンのつめが突き刺さった!


「ぐっ」  

 

 ムーンが自分のつめを引き抜くと仮面が地面に膝をついた。

 

「ガァァァーーー!!!」


 ムーンは勝ち誇ったほうに雄たけびを上げると、

 トドメとばかりに首につめをかけ…られなかった。

 シュンっという音がし、ムーンの頭が消滅したからだ。


「っぶねぇ!」

 

 亜須真がギリギリのところでレーザーガンを撃っていた。


「沈黙の処刑人?」

「処刑人なんて言うんじゃねぇよ!お前もっとしっかりしろ!

 気ィ緩めすぎなんだよ!」

「…ごめんなさい」

 

 仮面を外すと彼女はシュンとうなだれ、そうつぶやいた。


「そもそも、…えっ?」


 自分の耳を疑った。

 え、いまナンテイッタ?ゴメンナサイ?

 …あれ、てか4年間一緒だったけど任務で助けたのって今のが初めて?

 あー、あー、あー?


「…沙良」

「えっ?」

「彩月沙良(あやつきさら)私の名前」

「え」


 えー、ちょっと奥さん4年間謎だったあの子の名前ついに分かっちゃいましたよ!

 というか、少し、マジ、えー!

 少しというか本当についていけない!


「えーっと…」

「マスター以外で名前を教えたのは初めて」

「…」


 マジですか…

 

「え、と、俺、海藤亜須真」


 名乗られたのだから一応こっちも名乗っておく。


「覚えておく」


 覚えられちゃったよ!


「つぅ」


 と彼女、彩月沙良が顔を歪める。

 あぁそうか、怪我してんだよな。


「…見せてみ」


 すると彼女は座ったまま貫かれた右足のふとももを出した。

 …、出血量が酷いな。

 てかスカートだからパンツ…じゃなくて!

 胸のポケットから包帯を取り出すと怪我している所を包帯で巻き、きつく縛る。

 応急処置ってこれで合ってんのかなぁ。


「これで一応良し。行くか」


 彼女はふるふると頭を振っている。

 …歩けないのか?まあ足怪我してんだもんな。

 チッ、しょうがねぇ。

 彼女の前に背中を差し出す。


「…ほらっ」

「?」

「背負うから。お前歩けないだろ」

「ああ」 


 納得したように背中に乗り首に手を掛ける。

 ワープ地点が近いのが幸いだった。

 もう少し離れていればこんなこと出来なかっただろう。

 

「さて行くか」


 想像以上に軽い。

 ちゃんと飯食ってるんだろうか。

 ・・・・・。

 あ、コレちょっとやばいかも。

 背中に胸の感触が…。

 

「海藤亜須真」

「あ?」

「ありがと」

「…」


 喫茶店のワープ部屋まで歩いて行く。

 か、顔が熱いのは気のせいだ!

 ほんとはこんなつもりじゃなかった…。

 下書き?何それおいしいの?

 成り行きで書いてますが何か?

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