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MOONKILL  作者: 月駆 承
3/14

月草GET

 光が収まり目を開けるとさっきと似た空間にいた。

 いや、さっきよりも薄暗く、人の気配もしない。月だ。

 後ろを向くと仮面も居る。

 さて、連絡しとくかぁ。

 ポッケから携帯電話を取り出した。

 この携帯電話はあの変態科学者(狭霧)が作った物でどこから掛けても電波が

 届くという優れものだ。

「万能フォン」とか言っていたが。

 まあ、とりあえずフォンであいつに電話を掛ける。


「もしもし、えー、こちら月に無事到着しました」

「それはそうに決まっているよ!何故ならこの私があのワープ装置に少し改造を…」


 ブチッ!

 すぐさま電話を切る。

 そして腰にぶら下げてあったハンドガンタイプの二つの銃を両手に持つ。

 いわゆる二丁拳銃だ。

 月ではいつムーンに襲われるか分からない。

 なのですぐに戦えるよう準備しておくのだ。

 仮面もすでに斧を手にし、斧についているスイッチを押していた。


「今回は月草だから未開発地域まで行く必要がある…と」


 少しめんどくさいな。

 危険だから給料は高いだろうが…。

 まあ行くか。

 そう思い、白い部屋を仮面と共に出る。

 真っすぐと廊下が続いているのでその廊下にそって歩く。

 しばらく歩くと扉にぶつかる。

 その扉を開けるとカウンターが隣にあり、

 全体は喫茶店のようになっている。

 そう、ここは自分達の居る「MOONKILL」の

 喫茶店の姉妹店として月に作られたのだ。

 そして、外に出た。



 ▽



 亜須真は歩きながら月を改めて観察していた。

 月はコンクリートが敷き詰められ、高層ビルが立ち並び、まるで大都会のようになっている。

 だが一番気になるのは上だ。

 漆黒の宇宙に星が何千、何万と輝いている。

 科学者達は重力を作り、酸素を作り出す方法を見つけたが、本物の空を

 作ることは出来なかった。

 いや、これはこれで十分綺麗だが…。

 亜須真は視線を下に戻した。

 瞬間

 ムーンの灰色で醜い首が吹っ飛んでいった。


「ボサっとすんなよ」


 と、仮面の一言。


「…すまん」


 ここは素直に謝る。

 仮面がムーンを殺していなければ死んでいたのは自分なのだ。


「…ふぅ」


 気を引き締めて歩いて行く。

 歩くこと十歩。


「ガァーーーーーー!!!」


 早速ムーンが現れた。

 ムーンと言われるそいつは全身が灰色で何も着ておらず、身長は十を迎えた子供程度、

 だがつめは驚くほど長く、口は大きく裂けている。

 そして雄たけびをあげたムーンの口には鋭い牙がズラリと並び、粘着性のある涎が、

 したたり落ちている。

 だが口以外に顔のパーツは無い。  

 顔の真ん中に大きな口があると言えば分かるだろうか。

 ムーンはもう一度雄たけびを上げると地を蹴り空高く舞い上がると亜須真を狙い

 突っ込んできた。

 ムーンは跳躍力もあり、身体能力も人より上なのだ。

 ガサガサの肌は岩のように硬い。

 普通の人間がムーンなどに襲われたらひとたまりもないだろう。


「…」


 だが、亜須真は無言のまま右手の銃の標準をムーンに合わせた。

 ムーンは勢いよく突っ込んで来る。

 5メートル

 全ての時間がスローに見える。

 4メートル 

 後少しでその鋭いつめが届いてしまう!

 3メートル

 カチッ、亜須真は引き金を思い切り引いた。

 ムーンは何が起きたか理解できなかっただろう。

 シュンっと音がした瞬間、青い光が見え…

 ムーンは10メートルほど後ろへ吹っ飛び、動かなくなった。


「…」


 亜須真はふうっと息をついた。

 彼が使ったのはいわゆるレーザーガンという物だ。

 これは比較的簡単な構造で、グリップの中にエネルギー源(弾)である

 青いカートリッジを入れるだけでいいのだ。

 このレーザーガンは生物や植物など、有機物に対しては抜群の威力を発揮する。

 が、問題がいくつかある。

 まず、カートリッジを入れ、撃ち尽くすまでたったの8発しかないのだ。

 なので変態科学者に頼み右手用と左手用に二丁用意してもらったのだ。

 カートリッジも小さいとはいえ多めに持っていなければならない。 

 それに、1発を撃つにあたっても莫大なエネルギーが発生するため

 射程距離があまり長くない。最大でも10メートル程だろう。

 だが距離が離れれば離れるだけ威力も下がるので実際は5メートル程で

 撃つのがベストなのだ。 

 このように欠点は多いのだが彼はこの銃の威力を気に入っていた。

 プラス、あの科学者が言うには撃つ時のエネルギーに耐えるだけの

 素材があまり見つからずレーザーガンはかなり少量生産なのだと言う。

 そういう珍しい物を持っているという気持ちが亜須真を少し高ぶらせていた。 

 

「派手に吹っ飛んだな」


 仮面はヒューと口笛を吹いた。

 

「…ああ」


 だが本当はかなり危なかった。

 後一瞬遅ければ自分は八つ裂きになっていた。

 そう思い、身震いをする。


「どうした?」

「いや、やっぱムーン殺しはお前の方がいい」

「それはうれしいことを言う」


 クックっと仮面は笑っていた。

 仮面自体笑ってるからなんだかなぁ。



 ▽


 

 歩くこと約三十分、未開発地域に着いた。

 途中何回かムーンに襲われたのだが、

 仮面がうれしそうにそいつらを殺すもんだから

 特に苦労もなく着いた。

 ちなみに仮面が使っている武器はヒートアックスという武器だ。

 ヒートアックスはその名の通り、刃に熱を通し相手を溶かし切る

 ということが出来る武器だ。

 スイッチによって熱を通すか通さないか選ぶことが出来るのだが、

 使用者がうっかり自分を溶かし切ってしまうという事件が起きてから

 生産中止になってしまった。

 

「月草…あった」


 このあたりはまだアスファルト、コンクリートで固めておらず、

 岩がたくさん転がっている。

 そしてその岩の陰に薄く光っている草がある。

 それが「月草」だ。

 亜須真は月草を十本ほど摘み、

 腰に下げてあるポーチに入れると仮面に向き直った。


「帰るか」

「そうしよう」


 仮面はムーンを殺したのがよほど良かったのか、

 満足そうに頷いた。

 初めての2話同時投稿。

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