プロローグ
海藤亜須真(かいどうあすま)はある喫茶店でコーヒーを飲んでいた。
場所はとある街の寂れた裏路地。
その喫茶店は明かりが少ないぶん薄暗く、客もほとんど居ない。
「苦っ、まずっ」
「じゃあどうしてソレを飲んでいる?」
丸い机、亜須真の正面に座った少女はつまらなそうに聞いた。
「いや、俺後3年で二十歳なんだけどさ。コーヒーぐらい飲めないと、なんかダサいと思ってな」
「あ、そう」
「…何で君から聞いてきたのにそんな興味なさそうにしてんだか」
「興味ないし」
「そうかい」
会話を終えると彼女はそのままパーカーについたフードをかぶり寝てしまった。
彼女は寝るのが早すぎる、と思う。
亜須真は彼女とこの喫茶店で4年前に知り合ったが、いまだ名前はおろか年齢すら知らない。
見た目は14、15ってとこなんだろうな。
そう思いながら彼女を見た。
肩元までかかった綺麗な黒い髪に整った顔、格好はパーカーに膝元まであるスカート、
世間一般的に言えば美少女と言えるだろう。
性格に少々難があるが。
「まぁ、俺には関係ないけどな」
彼女から視線をはずすと目の前のコーヒーという敵に目を向けた。
ズズ…
「にっが!」
というか、コーヒー1杯700円!
どう思う?高すぎだろ!
思うが早し、亜須真はコーヒーを持ってカウンターの前へ歩いて行き、
マスターの前の席に座った。
「すいませんマスター。もう飲めないんですけど…」
「あら、あんなに「飲み切る!」ってはりきってたのにもうダウン?」
「面目ないです」
マスター…彼女はあきれている。
亜須真はマスターの名前は知らない。
いや、この喫茶店に通っている者全員彼女の名前は知らないだろう。
ただ一言いえることといえば美人だということだけ。
ウェーヴのかかった長い銀髪に色っぽい瞳、透き通るような白い肌、それにエプロン。
10人とすれ違ったら10人とも振り返るだろう。
だが見た目は4年前から全く変わっていない。
いったい何歳なのだろうか?
「今失礼なこと考えていなかった?」
「いえ、全くこれっぽっちも考えていませんよ」
読心術?
というか、目が怖い。
笑っているけど目だけ笑っていないってね。
だからマスターに対しては敬語だ。
「てか俺、コーヒー頑張りましたよ」
無理やり話題をコーヒーに移す。
「…まぁ、いいわ。でもマスクちゃんなら軽く2杯はいけるけれど、ブラックで」
「マジですか!」
マスクちゃんというのはさっき亜須真の正面に座って話した少女のことだ。
何故そう呼ばれているのかは後で話そう。
コーヒー2杯って、どんな味覚してんだよ。
しかもブラックって…
「そもそも何でそんなにコーヒー飲めないの?」
「えっ、そんなの苦いからに決まってるじゃないですか」
「はぁ、じゃあどうしてコーヒーを飲もうと思ったの?」
「それはやっぱ、コーヒー飲めるとカッコいいじゃないですか」
「あんた…馬鹿ね」
「確かに馬鹿ですけどそんなあきれ顔しないで下さいよ。へこみますよ、マジで」
そんな顔をされると本気でへこむ。
美人だし、自分はシャボン玉メンタルなのだ。
「今いいこと考えたわね」
「はい?」
ほんと、この人何者なのだろうか?
「砂糖は入っているの?」
「はい、入ってますよ」
「どれくらい?」
「スプーン5杯くらいですかね」
「…それで、苦い?」
「苦いですね」
沈黙。
「あきらめなさい」
「…はい」
亜須真にコーヒーは無理だったようだ。
コーヒーをあきらめた彼は口直しに牛乳を頼んだ。
「ミルクでももらおうか」
「どうして命令口調なのかしら?」
「…すいません。牛乳ください」
そう言うとマスターは食器棚から新しいコップを出し、
牛乳とトクトクと注ぎ、差し出してくれた。
「どうも」
そう言ってコップを受け取ると一気に飲み干し、コップをマスターに返した。
「おいしかったです」
「そう、それは良かったわ…ところで」
今までとは表情を変えて亜須真に話しかけてくる。
「仕事…ですか?」
「ええ」
仕事、そうこの世界で一番危険な仕事…MOONKILL
はい、初小説で初投稿です。
ほんと、難しいですね。文章が全く進まない。
というふうなヘタレな自分ですがよろしくお願いします!
追伸:ミルクネタが分かった人は遊〇王好きな人ですね。分かります。
あ、やばい!ちょっとグダグダ!