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本戦第二試合

【冬樹のバイト先】

「うしっ。冬樹頑張った」

隣でサポートキャラが頷く。

『当然です。ここでつまずくようでは。

伝五郎様の弟子ではございません』

伝五郎さんが首を傾げる。

「冬樹は、弟子というより孫弟子でだな」

そこに休憩室の扉が開く。

「全く。店長が居ないからって。

仕事中にサボるのはダメじゃない」

と言いながら座るのは、店長の奥さん。

子供を抱えている。

「そっちこそ、応援はしなくていいのか?」

伝五郎さんの問いに。

店長の奥さんが休憩室の奥にあるボタンを押す。

出たのは大きなスクリーン。

「しているわよ。夏様を。だから、大画面で見ないと」

子供も、大きなスクリーンに大興奮している。

「そういうことでは無いんだがなあ」

そう言いながらも、コーヒーを淹れるあたり。

伝五郎さんも本格的に観るつもりらしい。

「なんかあればちゃんと知らせるようになっておるし。

それに、今日は客も来ないだろうよ。

皆、動画バトルを観るのに忙しい」

それもそうか。と頷きながら。

店長の奥さんもスクリーンに目を向けた。


【本戦第二試合】

冬樹が気合を入れなおした頃に、通知音が鳴る。

『お題

“仲の良いシステムとは”』

仲の良いと言えば、友情だが。

どれが正解かわからない。

春『どっかーん?』

春、爆発する友情はない。

夏『紹介動画は使ってしまったわよ』

それは言えている。

秋『どれも使えると言えば使えますが。

歌とダンスは避けた方が無難かと』

ん?ちょっとまてよ。

一覧を確認する。

「なあ、初めて作ってくれた動画。

あれ、確か初めての合作だよな」

秋『ええ、主様が夜中に書かれていたものですね』

それだ。

タイトルは“机の上の三姉妹”

夏『再生数は動画の中で、一番低いから不利よ?』

わかっている。でも。

「内容は、三姉妹の設定集だから。

絵も雑だったけどさ。

春、夏、秋、そして俺の冬。

これ以上のアピールはない」

アップロード画面を眺めながら、秋が静かに問う。

秋『主様。もしかしてシステム審査員を意識しました?』

秋の言葉に頷く。

春『あ、他の人のも出揃ったね』

タイトルを確認する。


俺がシステムで無双する

社交ダンスから初めるシステムとの付き合い方

耐久ダンスバトル対決

今日のワンポイントシステム

相棒と稼ぐ賢い方法

自分好みのシステムを作ってみた

俺の命令に、彼女システムはこう答える

付き合ってくれと言ったらどうなる?

両片思いから始まるドラマ


春『なんか、個性豊かだね』

なるほど。友情じゃなくて、恋愛もあったか。

タイトルから見る限り、被りは無さそうだ。

視聴者タイム。

春『やっぱり冬樹のは少なそう』

上位者に比べて、一段低いのが明らかにわかる。

夏『そりゃ、ほぼ字だけだとね』

夏の扇が仕方なさそうに揺れている。

秋『今ならもっと良いものが作れましたね』

確かに作れるとは思う。

でも、今作り直しても、あの時の感動は無い気がする。


【Bグループ視聴者室】

管理者:現在は、快適にご覧いただけます。

『ざっくりわけて3ジャンル?』

『友情・恋愛・命令系?』

『おっさんの告白シーンがあった』

『稼げるランキングとかあったよ』

『テキストだけのもあった』

『ダンスは安定』

『システムと結婚していた』

『なんかカオスだね今回』

『毎回、一回は恋愛系のお題でるよね』

『システムに武器を持たせていたよ』

『何と戦うの?お題仲良くだよね』

『手書きの絵に設定を書いている』

『何それ?観てくる』


【第二戦結果発表】

春『あ、結果がでた』

Dグループの変動なし。

Cグループ。

春『あれ?31位。

確か今日のワンポイントシステムの人だ』

順位が動いた。

夏『30位に、Cに居た人が来たわ』

てことは。

秋『主様。29位ダンス投稿の人ですね』

まだ上ってことか。

28位に名前を見つける。

春『冬樹!やったね』

いや、プレッシャーに押しつぶされそうなんだけど。

秋『次の試合で、決勝戦進出が決まります』

だから、プレッシャーを与えないで。


【冬樹のバイト先】

「そうくるか?」

伝五郎さんの隣では、お腹を抱えて笑っている店長の奥さん。

「ヒヤヒヤしたわよ」

笑いすぎて出た涙を拭きながら、なんとか復帰する。

「いや、季節は巡る。誰が欠けても成立しない。

お題は完璧にクリアしとるぞ?」

伝五郎さんは冷静に分析する。

『そうですね。審査員相手には完璧でした。

でも、視聴者には刺さりにくいかと』

伝五郎さんのサポートキャラも分析モードのようだ。

「だから、援護射撃したじゃない」

店長の奥さんのスマホの画面には。

チャットルームの表示が出ている。

「流れを少し変える程度ではあるが」

そう言いながら、伝五郎さんのPCを打つ手も止まらない。

「でも、Aグループは観なくていいのか?」

ふと老眼鏡を外しながら、伝五郎さんが聞く。

「そっちこそ。でも、これで最後よ?

次で合流するか。もしくは脱落するか。楽しみね」

悪い顔で笑い合う元四天王の2人。

今頃、胃を押えているであろう冬樹。

この2人の応援は、彼にとっては“後門に狼”に他ならない。

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