設定集 -Love Over Rightness, Embracing Selfishness-
1. 時代
2042年12月25日、日本に宇宙由来の新物質が隕石と共に到来する。
その物質は出所の知れないエネルギーを放ち続けたため、新たなエネルギー源として期待された。
後に、その物質はクリスマスに発見されたことが由来となり「サンタ」から取って「サンティウム」と名付けられる。
日本政府はサンティウム技術を独占するため、秘密裏に実験や研究を行った。
そして、2043年8月12日、事故によってサンティウムより大量のエネルギーが一気に放出され、爆発が起きる。
散らばったサンティウムの粒子は江東区の生存者たちの体に影響を与え、異次元に存在する己の魂と体を繋いだ。
魂からは特殊なエネルギーが放出され、特殊な場を産み出した。
これがNEOの正体である。
およそ8年後より、NEOの発現者が続出、新政権はその隠蔽を目論む。
2053年8月、真嶋孝浩によってNEOの存在や政府の隠蔽が暴露される。
その後、政権が再び交代され、制度による発現者への管理が始まる。
2058年6月、アメリカ連合軍による日本襲撃により戦争が勃発。
その裏にはサンティウムの研究に参加し、日本政府を裏切りその技術をアメリカに売り飛ばした晴磨の両親でもある坂巻純、坂巻遥華教授夫婦の存在があった。
坂巻夫婦はサンティウムのサンプルや研究データを用いて能力者を量産する。
しかし、NEOの力を高めた晴磨に阻止され、戦争は日本の勝利で終わるかに見えたが、突然暴走した晴磨が真のNEO、「粒子操作」に目覚め、太平洋を横切り世界を滅ぼす旅に出る。
あらゆる手段は晴磨に通用せず、世界は滅ぼされるかに見えた。
しかし、ことなの介入により晴磨の暴走は止み、破壊行為も止まった。
37年後、晴磨は蘇我と共に場で地球を覆い、世界の人間の記憶データを元に2042年の世界を再現する。
2. サンティウムやNEOのメカニズム
サンティウムは、異次元と繋がりその世界からエネルギーをこの世界に排出する。
その粒子に人体が被曝された場合、心臓を通り魂と体を繋ぐ道筋が生まれる。
その後、魂は体の外にありながらも体の一部として機能し、新たな主要性感帯になる。
NEO発現者は、口唇期・肛門期・男根期・潜伏期・性器期の次に霊魂期を迎え時折魂よりエネルギーを放出する衝動に駆られる。
これがNEO使用の衝動である。
尚、感情の激化と共に衝動が極まる現象を「暴走」と呼ぶ。
暴走した発現者は極度の暴力性を表し、暴走は魂に貯蔵されたエネルギーが尽きるか、発現者の意識が途切れるまで止まらない。
理論上可能ではあるが現実的には使用が不可能なNEOが存在する。
例えば、鉄を生成する場を繰り出すことは出来ても、それに必要なエネルギーがあまりにも多いため現実的には鉄を生成することが出来ない。
晴磨のNEO、「粒子操作」もこのような事例である。
しかし、晴磨の場は外部よりエネルギーを奪取し循環させることによってエネルギーを充当することができる例外的なものであるため使用に成功する。
3. 晴磨に「接触」した謎の人物の正体
その人物は坂巻晴磨。
正確にはNEOを使い自分の魂の中に新たな多重宇宙を作った「元々の坂巻晴磨」である。(便宜上「始祖晴磨」と称す)
始祖晴磨は、大切な人たちを失い、粒子操作に目覚め、魂の再現を試みるも、叶わず、魂の中に元々の宇宙と同じ条件でビッグバングを起こし、無数の多重宇宙を生み出す。
この行動の目的は、無数の世界線の中でことなを救う可能性を見出だすこと。
作中の「現晴磨」によってこれが叶ったあと満足し、ことなの最期を見届け、目的を果たした全ての宇宙を自分と共に崩壊させる。
現晴磨との接触は、始祖晴磨の意図ではない。
始祖晴磨の魂の中に生み出された世界で、遺伝的に同一な二人の魂が時折共鳴し、二人の自我が繋がる現象が起こる。
この状態を逃れるためには、相手を他者として認識する「他者化」が必要である。
この過程は会話にも見えるが、実際は無意識による一方的な情報の伝達に近い。
始祖晴磨は介入のない純粋な観測のためこの現象が起こったあと、現晴磨の記憶を消去しているが、記憶は消えても潜在意識に何らかの影響を与えることがある。
4. 登場人物の名前のモチーフ
「坂巻晴磨」、「香住ことな」の二つはキャラクトニムである。
坂巻晴磨
坂巻(逆巻き)は、時間を逆に巻き戻すことを意味する。
また、晴磨は、「世界を磨き取り晴らす」という意味である。
ことなによる晴磨の呼び方は「はるくん」であるが、これは晴磨の「晴れた部分」のみを認識し、世界を削り取る行為からは目をそらしていることを表す。
ことなが晴磨のフルネームを言いきることは、晴磨の罪を認識するという象徴である。
香住ことな
「香住」に特別な意味はないが、「ことな」は「異なる」をその由来とする。
主人公・晴磨の偏愛の対象であり、世界でただ一人、異なる基準が適応される存在という意味である。
この物語はこの二人から始まっており、他の登場人物は皆偶然巻き込まれた存在であるため、名前に特別な意味は持たせていない。
5. 各話のタイトルの意味
各話のタイトルは、殆どが二重的な意味を持っている。
第1話ー停止
心停止、停止のNEO
第2話ー始動
物語の始まり、「動かす」NEO
第3話ー理解
NEOへの理解、お互いへの理解
第4話ー探索
二人が放火犯を探索、放火犯がNEOを活用し二人を探索
第5話ー爆発
粉塵爆発、ことなの感情の爆発
第6話ー沈没
ダムに沈まされたことなの父親の遺体、壊れて沈んだことなの心
第7話ー同居
二人の同居、組織との同居
第8話ー動機
ことなの戦う動機、動かすNEOの意味
第9話ー日常
下野の変わらない日常、晴磨たちの変わってしまった日常
第11話ー対話
晴磨とことなの対話、晴磨と天沢の身体での対話
第12話ー圧倒
空の圧倒的な力、圧力を操るNEO
第13話ー鳥脅
籠の中の鳥である晴磨たちを脅かす教団、同じく籠の中の鳥である空を脅かす槌井
第14話ー妙手
妙手、切られた晴磨の腕
第15話ー泣風
風の泣く音、空の泣き声
第17話ー接触
始祖晴磨との接触、政府側(富沢)の組織への接触
第20話ー潜行
富沢の潜行、組織の潜行
第21話ー微視
微視的な光子を操るNEO、微視的なエネルギーを感じ取る技
第22話ー見番
研究所の見番、エネルギーを「見る」技
第23話ー両立
同時には使えない「強打」と「感知」、二人で立ちはだかる
第24話ー二重
二つのNEO、二重の罠
第25話ー空隙
隠し通路の先にある空間、空がいない空間
第26話ー心中
晴磨の心の中、空を助けるために他の人を巻き込み危険に晒すこと
第27話ー各自
それぞれの覚悟、それぞれの役割
第28話ー選択
天沢の「何もしない」選択、松阪の「間違った」選択
第30話ー境界
晴磨の「血流加速」へ移る境界、ことなの「感知」習得へ移る境界
第31話ー連結
思考連結のNEO、次回への繋がり
第33話ー疑心
真嶋が政府を疑う、組織が真嶋を疑う
第34話ー組織
政府に立ちはだかる組織、政府という組織
第35話ー爆風
爆風前夜、空登場の前触れ
第36話ー遊山
山への襲撃の比喩表現、山での遊撃
第37話ー山林
山林、風林火山の山、林
第38話ー火風
火を伴う風、風林火山の火、風
第39話ー貫通
貫く弾丸、貫く意思
第40話ー素裸
裸山、白い肌の少女、空(尚、読み方を変え「そら」とも読める)
第41話ー空前
空前の能力者、空、空が前に立つ、前がない、つまり後戻りが出来ない
第42話ー疾走
疾走、痛みに耐え走り続ける
第43話ー悲願
政府への勝利で叶った悲願、悲しくなることを願うも叶わず
第44話ー結束
晴磨とことなの結束、政府が繋いだ首輪
第45話ー呼出
蘇我が晴磨を呼び出す、総理が発現者たちを呼び出す
第46話ー宣言
大切なものを守るために戦うという宣言、ことなだけは必ず守るという宣言
第47話ー脅威
日本を脅かす連合軍、連合軍を脅かす晴磨
第48話ー同族
同族である発現者を殺める、同族である人間を抹殺する決意
第49話ー越境
国境を越える、人間の境地を超越する
第50話ー強行
晴磨の強行、ことなの強行
第51話ー認識
粒子一つ一つを認識、黒い球体の中の晴磨を認識
第52話ー終生
終生の愛、生の終わり
第53話ーことな
香住ことな、異なる存在
第55話ー坂巻晴磨
坂巻晴磨、時間を巻き戻し、磨き取って晴らす
6. LORES
ロアズは、怪談という意味でもあるが、Love Over Rightness, Embracing Selfishnessの略であり、つまり、「独善を抱える、正しさより優先された愛」を意味する。
これは、異能バトルの物語ではない。
たった一人のために、独善で世界の全てを潰してしまう、謂わばヤンデレラブコメディである。
7. 最後に
人は皆、利己的である。
それでも、その利己心を認め、抱くべきだ。
あなたは、どのような選択を取るのか。
あなたがどのような選択を取ろうと、ここまで読んでくれたあなたへ感謝を伝えたい。
私もまた、利己的である故に。




