終生
覚悟はできてるって思ってた。
はるくんが、戻れないところまでいっちゃう前に、私の手で止める。
「もし俺が暴走したら、殺してでも止めてくれ」
…そう、私が戦わないと、もっとたくさんの人が犠牲になる。
そして…その責任ははるくんが負うことになる。
私情で戦いを躊躇うなんて、あり得ない。
あり得ない…はず。
でも…顔を見ちゃったら…やっぱり…
迷う暇もなく、球体は私に恐ろしいスピードで私に突っ込んできた。
「…!」
私は、NEOを使ってとっさに後に下がった。
戸惑ってちゃだめ…集中しないと…
攻撃は読めてる。
避け続けながら、隙を見て「あれ」を飛ばす。
でも…頭の中でずっと、あの顔が浮かぶ…
それでも…やらないと本当にはるくんは…
私…どうすればいいの…?
球体は、私の気も知らずに猛攻を続け、私に迷う隙を与えなかった。
「はあ…はあ…」
だめ…このままじゃ私のエネルギーが切れちゃう…
できるだけ…早く…
…!見えた!
一定の周期で、わずかだけど、反応が鈍ってる…!
そう、永久機関とはいえど、魂の容量が無限という訳じゃない。
場を維持し、猛攻を続けるためには莫大なエネルギーが必要…!
エネルギーを外から引き込む瞬間、そのときがチャンス…!
正確に心臓を狙って…一撃で仕留める…!
私はその時を狙って、攻撃をかわし続けた。
そして…その瞬間がやってきた。
球体の、真ん中を狙う。
感知。
認識…
分断…!
再び、目の前で「空間」が広がり、球体に向かって駆け抜けた。
そのときだった。
再び、はるくんの顔が頭によぎった。
子供の頃、私に優しくしてくれたこと。
寂しかった私と、ずっと一緒にいてくれたこと。
酷いことをいっても怒らず、壊れかけた私に「いやじゃない」といってくれたこと。
私に、一緒にいようといってくれたこと。
私に…好きっていってくれたこと。
気づけば、空間は球体の中心からずれていた。
そして、切り裂かれた球体の裂け目から、再びはるくんの姿が見えた。
「やっぱり…こんなの無理だよ…私にはできないよ…!」
「だって、はるくんははるくんだもん…!こんな形でもまた会えて嬉しいって思っちゃってるもん…!」
「はるくん…お願い…もうやめて…!お願いだから…私と一緒に帰ろうよ…!!」
「はるくん…!私だよ!!ことなだよ!!本当にわからないの?!お願い…思い出してよ…!」
私は、球体に一歩ずつ近づき始めた。
「こと…な…?」
球体は、私に反応したのか、動きを止めた。
「はるくん…?」
しかし、それも一瞬だけ。
「あっ…」
伸びた黒い場が一気に私の腹を貫いた。
ああ…私…もう死ぬんだ…
でも、諦めない。
「あああああっ!!!」
私は最後の力を振り絞り、球体に近づいた。
そして、球体の中に割り込んだ。
「はるくん!!」
目の前には、はるくんがいた。
やっと、やっと会えた…
最後に、私ははるくんを思いっきり抱き締めた。
「はるくん…□□□□□□」
そして、私の身体は徐々に分解され、消滅していった。




