認識
「本当にいいんですか?」
「はい、許可はおりました」
「…ありがとうございます」
私は、ダムの中の水を持ち上げ始めた。
「これは…」
「彼女もまた…化け物か…」
ダムの底には、白骨と化したお父さんが、苦しそうに横になっていた。
私は、お父さんをゆっくり持ち運んだ。
「お父さん…楽に眠らせてあげられなくてごめんなさい…私…行ってきます」
「お父さんをお願いします」
「…わかりました。もう行かれるんですか?」
「…はい。急がないといけませんから」
私は、戦闘機に乗り込んだ。はるくん…いや、坂巻晴磨を殺すために。
ー「香住さん、お連れできるのはここまでです。そろそろパラシュートの用意を…」
上空で見下ろした地上には、黒い球体が動いていた。
「…要りません。ありがとうございました」
私は、すぐに戦闘機から飛び降りた。
「ちょっと…!あっ、」
周りの空気を押し返し、落下の反対側にベクトルを与える。
球体は、目の前でどんどん大きくなっていった。
私が地上に降りた途端、それは私に反応した。
「…来る…!」
球体は、私に攻撃を仕掛け始めた。
場に触れれば、そこで終わり…
左から、場が一気に伸び、私を襲った。
闇に包まれた黒い場は、感知を使わずともその範囲がわかる。
私はすぐにNEOを使い自分の身体を動かした。
場が通った先のビルは、下の階が窪み、ゆっくり倒れていった。
次に、球体の右が縮み始めた。
「何を…あっ…!」
そこには、周囲の粒子が集まるようにして何かが生成されていた。
球体は、それを私に思いっきり投げ飛ばした。
「あれは…!」
私は、とっさにそれにNEOをかけ、遠くに飛ばした。
それが飛ばされた先では凄まじい爆発が起き、やがて爆風が私を襲った。
「うっ…!」
球体の攻撃は止まるところを知らず、私を襲い続けた。
でも、わかる。
右手からは「分解」、左手からはプルトニウム…!
暴走状態の分、攻撃パターンが単純…!
でも、相手は「永久機関」。
長引けば当然こっちが不利になる…
やるしかない…!
感知する。
空気中の粒子、一つ一つを、感じ取る。
見える。粒子で満ちた世界が…!
粒子の世界は、球体の領域。
なら、私は粒子を「引き裂く」!
私は、粒子と粒子の間を引き裂き、何もない「空間」を広げた。
「…!」
「いっけーっ!!」
空間は、一気に球体を引き裂いた。
「よし!!やったな香住くん…!これなら…!」
「しかし…坂巻くんにダメージは意味がない…エネルギーは無限に確保できるし、破壊してもすぐに修復するだけ…」
「止めをさすには…一撃で心臓と魂のリンクを絶たなければ…」
戦いは、私の方が有利に進んでいくかに見えた。
しかし、そのときだった。
切り裂かれた球体の裂け目から…一瞬、はるくんの姿が目に映った。
「はるくん…!」




