越境
俺は、日本政府が信用できず、自分の身を守るために力を養ってきた。
でも、そうじゃなかった。
俺の敵は…政府じゃない。
この世界が…全ての非発現者が…俺の敵だ…!
思想は関係ない。
発現者を嫌悪しようが、同情しようが、沈黙しようが、関係がない。
彼らを守るという名目が、俺たちの首を絞めるだろう…
彼らの存在そのものが、俺たちへの脅威だ。
俺たちが少数派である限り、俺たちは虐げられ続けるだろう…
首輪をつけられ、抑圧され、利用され、殺される…
そんな未来…俺が消してやる…!
闇が、少しずつ晴磨を覆い始めた。
いや、正確には、晴磨が光を拒んでいた。
「坂巻!応答しろ!!帰還しろといっている!さかまー」
晴磨は、一気にエネルギーを吸収し、走り出した。
「連絡途絶!!」
「坂巻、指示を無視し高速移動中!!」
「これは…!速さ、200キロを超えています!!」
「何?!どこに向かってるんだ!!」
「この方角は…沿岸です!」
「何をするつもりだ…あの化け物は…!」
晴磨は、海を凍らせ、走り続けた。
「まさか…あいつ…!」
「BREAKING: Unidentified "Black Sphere" crossing the Pacific Ocean」
「Mmm...」
「Mr. President...」
「...I authorize nuclear launch...」
「Y-yes, sir!」
「日本沿岸を離れた正体不明の『黒い球体』は、太平洋を渡り進行を続けています」
「はるくん…何してるの…もうやめて…早く…帰ってきてよ…」
「あ、たった今、速報が入りました!アメリカより、黒い球体への核ミサイルの発射が見受けられました!」
「?!はるくん!!」
「いや、恐らく…効かないだろうね…」
「蘇我さん…?」
「坂巻くんのNEOは…単なる停止の能力ではない」
ー間もなく、核ミサイルが晴磨を襲った。
「…」
しかし、晴磨はそれを気にもせず、ただ走り続けた。
晴磨の場に触れたミサイルは、触れた部分から、瞬時にして消滅していった。
まるで、初めからそこにいなかったかのように。
「The Missile... it's gone...!」
「What?! You have to be kidding me...」
「速報です!核ミサイル、上空にて消失!消失した模様です!黒い球体は依然進行を続けています!」
「やはりか…」
「蘇我さん…どういうことですか?!」
「坂巻くんのNEOの本質は…停止ではない。あの時…坂巻くんの腕を再生させたあのNEOは…あらゆる粒子を停止させ、観測し…思いのままに操る能力だったんだ…!」
坂巻晴磨、アメリカ上陸。




