呼出
俺は、蘇我さんに大事な話があると言われ、蘇我さんのいる研究施設に来ている。
「蘇我さん、お久しぶりです」
「こんにちは、坂巻くん…もうすっかり大人だね。さあ、座りな。お茶でも飲みながら話そう」
「あ、はい。ありがとうございます」
「…これは?」
「マサラチャイだ。この間インドへ調査に行ってきてね…美味しいだろう?」
「はい、美味しいですね…それにしてもインドですか…大変ですね」
「まあ…ハイパーループで行けばすぐだしね。それで、どうしてインドへ向かったかというと…」
「インドで、サンティウムの結晶が見つかったんだ」
「?!サンティウムは日本に落ちた隕石に付着していたはずじゃ…」
「ああ…サンティウムが地球に落ちたのは…これが初めてではないということさ…」
「じゃあ…もしかして発現者も…!」
「いただろうね…古代のインドに」
「古代のインド…」
「火を吹くNEO…風を起こすNEO…古代の人間にはまるで神に思えただろうね」
「そうですね…今でもそういう新興宗教は現れてますし…」
「古代インドの発現者たちは、神として称えられ、畏れられた…そうして、彼らはヒンドゥー教の多神論の元になった…というのが今の学会の見解さ」
「なるほど…今日は、それを言いに…?」
「ああ、すまない。話がそれちゃったね。この話はさておき…本題だ」
「坂巻くん、君は…君のご両親のことを知っているかい?」
「いいえ…二人とも忙しくてあまり一緒に過ごせなかったし…江東区の事件で遺体も見つかってないって…」
「そうか…」
「君のご両親…坂巻純、坂巻遥華教授夫婦は、15年前、サンティウムの研究に参加していた」
「?!本当なんですか…?」
「ああ、本当だ。政府の研究者リストに、確かにあった。確かめるか?」
蘇我さんは、俺にタブレットPCを渡してきた。
俺は、戸惑いながらもそれを受け取り、リストを読み始めた。
坂巻純
家族関係:妻坂巻遥華、子坂巻晴磨
坂巻遥華
家族関係:夫坂巻純、子坂巻晴磨
この写真、忘れかけてはいるけど、確かにお父さんとお母さんだ。
じゃあ本当に…
「そして…お二人は江東区事件から一週間ほど前から消息が絶たれている…」
「じゃあまさか…」
「そう、お二人は、まだ生きているかも知らない」
お父さんとお母さんが…生きているかも知らない。
嬉しいというよりかは…何も感じなかった。
俺は今…何を感じるべきなんだ…?
俺はただ、混乱していた。
その時、蘇我さんの携帯が鳴った。
「ああ、すまない。誰だ…?」
「…」
「蘇我さん…?」
「政府からの呼び出しだ…坂巻くん、君にも来るようにとさ」
「えっ?今からですか…?なんでしょうか…いきなり…」
「さあな…とにかく、行こう。私たちに拒否権はない。従わないと…私たちに人権はないからね」
「…はい」
俺たちは、蘇我さんの車で指定の場所へと向かった。
そこには既に、たくさんの人が集まっていた。
この人たち…全員発現者なのか…?
「はるくん!」
「ことな…!お前も呼ばれたのか?」
その時、向こうから一人の男が姿を現した。
「あれは…峰岸総理?!」
「お集まりいただいたNEO発現者の皆様、誠にありがとうございます」
…よく言うよ
「本日、皆様にお集まりいただいたのは、他ではありません」
「先ほど、我が領空にてミサイルが発見されました」
「戦争が…勃発いたしました」




