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倒された3匹は、もちろん俺の功績になる。
持ち帰った尾は、剥製師の手で剥製にされる。
ためしに一角のカブトの後ろを見るとよい。
そこには小さく控えめであるが、毛皮で作った房飾りがぶら下がっている。
その一つ一つが、退治された魔狼の尾から作られたものなのだ。
今回のカイ村での功績で、俺のカブトには3つの房飾りが見られることだろう。
だが、よく見てほしい。
カイ村は、俺にとって最初の戦場だったはずだ。
であるのに、俺のカブトには、すでに房飾りが一つ取り付けられている。
しかもこの房飾り、まるで夜のように黒い色をしているのだ。
魔狼には色々な毛色がある。1匹1匹、異なっていると言っていい。
白や黒一色の個体もあるが、多くは灰色や茶色など、様々な色が混じった毛をしている。
しかしこの房飾りは、まるで暗闇のように黒い。
そう……。
あの丸い決闘場の中で、俺は黒華を倒していたのだ。